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毎日新聞2024/2/14 10:00(最終更新 2/14 10:00)895文字
短編映画の撮影をする日韓の学生ら=ソウルで2023年11月24日午後3時9分、日下部元美撮影
2023年11月、映画界での活躍を夢見る日韓の学生がソウルで合作短編映画の撮影を行っていた。13年から日本映画大(川崎市)と韓国芸術総合学校(K-Arts)の間で行われているプロジェクトだ。新型コロナウイルスの影響で一時期休止していたが、4年ぶりに再開した。交互に撮影国を変え、韓国で撮影する際は、日本の学生が監督を担当し、日本で撮影する場合は役割が逆になる。俳優も両国からキャスティングする。
今回は韓国人と日本人の男子学生の対立とサッカーを通じた交流を描いた作品。まず脚本の内容のすりあわせを通訳を介して行った。
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演技担当の韓国人の女子学生が「この女性は非常に積極的な人という印象を受けます」と聞いた。監督の本多俊介さん(23)が「積極的というより、素直。ぐいぐい攻めたりしない」と説明した。似ているようで違う。だが、演技では大きな差になるだろう。言語や文化、表現方法が異なる人同士で作品を作り上げていく難しさを垣間見た。
短編映画の脚本の読み合わせをする日韓の学生ら=ソウルで2023年11月22日午後4時49分、日下部元美撮影
映画の作り方も各国で異なるため、両国の学生が学んできたことも異なる。本多さんは「不安だったが、韓国の撮り方の良さも知る機会になっている。それぞれが作る上で何を大切にしているのか学びたい」と意気込む。大学院生でプロデューサーの徐桂皓(ソゲホ)さん(40)は「撮影文化が大きく違い、最初は難しかった。でも譲歩せずに戦うのではなく、互いに合わせていく雰囲気が良い」と述べた。最近の学生たちは、両国のコンテンツをよく見ているので、日韓の作品名を例に挙げて説明し、共通認識を持てるところに近さも感じるという。
日本映画大の天願大介学長は「ドラマも含め日韓は人的交流が非常に盛んだ。若いうちから互いを知っておくことは必ずプラスになる」とプロジェクトの意義を語る。製作過程では学生同士が衝突することも多いが、最後は必ずうまくいくという。「作り方は違っても映画を作るという目的は一緒だから」と説明する。「相手がわかるまで伝える。伝わらなかったら、わからないということがわかる。相手に押し付けて、無理にやらせるのは作品を作る上で意味がない」。日韓交流のヒントが詰まっていそうだ。