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GPSも自動運転も「失敗を肯定する組織」から生まれた…「ものづくり大国・日本」復活のために破壊すべき昭和の慣習 / 12/12(金) / プレジデントオンライン
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/voyata
政府はAI・半導体・量子・宇宙・核融合・バイオの6分野を「国家戦略技術」に指定し、投資促進や人材育成に取り組む方針だ。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「戦後日本の成功モデルが足枷となっている。日本が技術を活かすためには、これまでの前提を『終わらせる』意思決定が必要だ」という――。
【写真をみる】インターネットやGPSを「たった200人」で作った組織
■ なぜ日本人の給料は上がらないのか
日本は今、戦後最大の岐路にいる。AI、半導体、量子、宇宙、核融合、バイオといった国家戦略技術が、これからの国の安全保障・経済・雇用・産業・外交のすべてを決める時代になった。
しかし多くの議論は、いまだに、「どの技術にいくら投資するか」「どの大学を重点支援するか」「どの補助金制度がよいか」といった“政策の部品”に終始している。
だが、筆者が記事〈ノーベル経済学賞研究で「日本人の給与が上がらない理由」がわかった…日本の生産性を下げた“悪しき文化”〉で述べたように、日本の賃金停滞とは「創造されず、破壊されず、よって成長しない経済」である。それは安定ではなく、“動かない構造”であった。
国家戦略技術でも、まったく同じ構造的問題が再現されつつある。技術が足りないのではない。創造が足りず、破壊が足りず、成長へと変換されず、制度OSが技術の進化についていけない。そのために国家全体が「動かない構造」に戻ろうとしているのである。
国家戦略技術とは本来、国家が未来の稼ぎ方・守り方・働き方・学び方・戦い方を総入れ替えするための国家創造プロセスである。さらには、国家戦略技術とは、日本が未来へ生まれ変わるための“国家創造エンジン”である。
そしてそこに必要なのが、筆者が前述の記事で用いてきた、創造λ(ラームダ:挑戦密度)・破壊(壊すべき現実)・成長γ(ガンマ:価値の増幅率)・制度OS(循環を止めない国家基盤)という4つの国家エンジンである。
この4つが同期して回転したとき、日本は初めて未来へ進む。逆に言えば1つでも回らなければ、日本は再び“止まる国家”へ戻ってしまう。
これから提示するのは、日本が国家として創造的破壊をどう設計し、どのように未来をつかみ取るかという「国家戦略の設計図」である。
■ 優れた技術を活かせない根本原因
第1章:国家戦略技術とは“国家OSの創造的破壊”である
国家戦略技術とは、単なる技術支援や研究強化のことではない。それは国家が未来へ向かうために避けて通れない“自らのOS更新”である。
国家OSとは、国家を動かす深層構造であり、以下のような領域が含まれる。
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産業構造
行政構造
働き方と雇用制度
賃金と評価構造
学術・教育システム
安全保障の価値観
財政・予算制度
国際連携の哲学
失敗と挑戦に対する文化
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国家戦略技術が動くためには、これらが未来仕様に書き換えられていなければならない。
AIも半導体も量子も宇宙も、未来の技術は未来の国家構造の上でしか動かない。
逆に言えば、国家構造が昭和のままなら、未来技術は必ず停止する。
研究費を増やしても、大学を強化しても、次世代半導体工場を誘致しても、国家のOSが古いままなら、それは「古いOSに新しいアプリを入れる」のと同じである。
動くわけがない。動いてもすぐフリーズする。国家戦略技術を語るとは、国家OSそのものに手を入れる覚悟の話である。
■「1980年代の成功モデル」に依存したまま
第2章:未来と現在を隔てる“国家の裂け目”――日本はなぜ未来へ進めないのか
国家戦略技術が前に進まない日本。その核心にあるのが、「未来の国家像」と「いまの国家構造」の衝突によって生じる“深いギャップ(国家の裂け目)”である。
これは単なる制度の不備ではない。国家そのものが、自分の内部に“相容れない二つの国家”を同時に抱えている状態である。
以下、この裂け目の正体を描き出す。
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① 未来の技術構造vs.過去の収益モデル
日本は未来をAI・量子・宇宙・半導体で構築しようとしている。しかし国家財政と企業収益の大部分は、自動車、機械、化学、中間財といった“1980年代の成功モデル”に依存している。未来へアクセルを踏みながら、同時に過去へブレーキを踏んでいる。これが最初の裂け目である。
② 技術の進む速度vs.国家の動く速度
AIは日次で進化し、量子は月次で研究が進展し、宇宙ビジネスは年単位で桁違いのシステムが生まれる。しかし行政は年度ごと、企業は根回しごとに動く。速度差は100倍以上。未来はすぐそこにあるのに、国家はそこへ届かない。これが第二の裂け目である。
③ 世界市場での競争vs.国内基準の文化
国家戦略技術は世界市場が前提であるにもかかわらず、日本は“国内ユーザー基準”で仕様や構造を考える。世界が求めるスピード・価格・標準・安全性――そのいずれもが日本の意思決定文化とはかけ離れている。
④ デュアルユースが世界標準vs.防衛忌避が日本の通念
前回記事で取り上げたように、AIも量子も宇宙も半導体も、世界では完全に軍民両用である。しかし日本では、「防衛との一体化」を避ける空気が根強い。国家戦略技術の先端領域は、安全保障と不可分である。しかし日本のOSはそこを避けるよう設計されている(参照〈世界の軍需企業大手100社の防衛売上は「98兆円」…日本人だけ認識がズレている巨大市場の正体〉)
⑤ 10年投資でしか育たない技術vs.1年予算で動く国家
量子も核融合も半導体もAI基盤も、回収まで10年かかる。しかし日本の国家予算は“1年間で使い切る文化”で動く。未来を10年スパンで育てるべき国家が、現在を1年スパンでしか管理できない。これが最も危険な裂け目である。
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これらの“国家の裂け目”を埋めずにいくら国家戦略技術を進めても、未来へ進む力は国家内部で消失してしまう。
では、この裂け目をどう塞ぎ、どう未来へ進むのか。その答えが次章の創造λ・破壊・成長γ・制度OSである。
■「4つのエンジン」で日本は再起動する
第3章:創造λ・破壊・成長γ・制度OS――国家を動かす4つの巨大エンジン
日本が未来へ進めない最大の理由は、技術の不足ではない。国家を前へ押し出すべき4つのエンジンが、同時に回転していないからである。
この章で論じるのは、国家戦略技術を単なる「政策の集合」ではなく、国家を動かすメカニズムとして捉え直すための“国家機構論”である。国家はどのように未来へ進むのか。答えは、この4つが同期した瞬間に現れる。
国家を未来へ動かす4つのエンジン――創造λ・破壊・成長γ・制度OS――の中で、実は「破壊」こそが全体を動かす最重要エンジンである。
その理由は三つある。
第一に、破壊は創造の前提である。創造は、空白から生まれるものではない。古い前提・古い制度・古い価値観・古い構造――これらが国家の内部を塞いだままでは、どれほどAIを育てても、量子を研究しても、宇宙を開発しても、新しいエネルギーが流れ込む“空間”が存在しない。創造が芽を出すには、まずその芽を押し潰す土壌を崩す必要がある。破壊は、創造が宿るための“スペースをつくる行為”である。
第二に、破壊は国家の行動を解放する。国家は多くの場合、“やるべきこと”ではなく“やめるべきこと”によって前に進む。惰性で続く制度、守られ続けた既得権、手放されない過去、これらが国家の進路を塞ぐ「見えない重り」として機能する。破壊とは、この重りを外す行為であり、国家を未来に向かって再び動けるようにする“解放プロセス”である。破壊がない国家は、アクセルを踏んでもブレーキが踏まれたままの状態だ。
■ 最重要なのは、成長でも改革でもない
第三に、破壊は国家の方向性を決める唯一の行為である。創造λは挑戦の量を増やし、成長γは価値の増幅を促し、制度OSは循環を維持する。しかし、それらがいくら整備されても
「国家として何を終わらせるのか」が決まっていなければ、日本は未来に進めない。国家戦略技術において最も危険なのは、“未来を掲げながら、過去の構造を一つも終わらせない”ことである。破壊は、国家がどの未来へ進むのかを決定づける、唯一の「選択の行為」である。
だからこそ今回のテーマ、「国家戦略技術×創造的破壊」においては特に破壊が最重要になる。なぜなら、日本が抱える最大の問題は“技術がないこと”ではなく、技術を動かす国家構造が、未来に適応できないまま固定していることだからだ。
創造を語りたい国家は多い。成長を望む国家も多い。制度改革を叫ぶ国家も多い。しかし、「壊すべきものを壊す」と宣言できる国家だけが未来をつくる。
破壊とは、国家が未来へ進むための“ゼロ地点”であり、国家戦略技術の全プロセスを解き放つ最初のエンジンなのである。
以上の認識のもとで4つのエンジンを論じていく。
■ 挑戦の絶対量が圧倒的に足りない
創造λ:国家の挑戦密度が未来の広さを決める
「挑戦が少ない国家に未来は生まれない」
創造λ(ラームダ)とは、国家が未来へ向けて仕掛ける“挑戦の密度”である。λが高ければ、国家全体が未来へ向かって前のめりに進む。λが低ければ、どんなに優れた技術を持っていても国家は動かない。
現在の日本は、挑戦の絶対量が圧倒的に不足している。
大学には研究者がいても、挑戦の機会が少ない。
企業には技術があっても、本業が重すぎて動きが取れない。
行政には危機感があっても、仕組みが挑戦を抑制する。
国家として未来へ踏み出すには、λを国家レベルで跳ね上げる必要がある。
それはたとえば、日本版DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:国防高等研究計画局、米国国防総省のもとで軍事技術の研究・開発を担う機関)を本気で稼働させ、年間20〜30件の国家ミッションを立ち上げることかもしれない。あるいは、若手研究者が10億円単位の資金を手にし、失敗を前提に挑戦できる研究文化をつくることかもしれない。
それはまた、大企業の本業の一部を国家戦略技術へと振り向ける、痛みを伴う意思決定であるかもしれない。
国家は挑戦の総量で未来を形づくる。
挑戦が増えれば、国家の未来は広がる。
挑戦がなければ、国家の未来は縮む。
創造λとは、未来の広がりそのものである。
■ 必要なのは「終わらせる」意思決定
破壊:国家が自らの構造を壊さないかぎり未来は始まらない
「壊す覚悟がない国家の挑戦は、必ず途中で止まる」
創造的破壊という言葉の通り、創造は破壊から始まる。そして日本にもっとも欠けてきたのは、この「破壊の覚悟」である。
破壊すべきものは、技術ではない。国家の深層構造そのものである。
戦後日本の成功モデルは、いまや未来を妨げる壁となっている。終身雇用・年功序列・ジェネラリスト文化は、AIや量子の専門人材を世界水準で処遇する妨げとなる。
縦割り行政は、AI×宇宙×量子×防衛といった複合的領域を扱う国家戦略技術にとって、“構造的不適合”そのものである。
防衛忌避文化は、AI・宇宙・量子といった世界標準の軍民両用技術を日本だけが「封印」することを意味し、国家戦略技術の半分を自ら放棄しているようなものだ。
さらに、完璧主義の品質文化は、「まず動かし、進化させる」という技術世界の標準と根本的に矛盾する。
単年度予算主義は、核融合や量子の10年投資に耐えられない。
日本が未来に向かうには、これらの前提を「終わらせる」意思決定が必要である。
破壊とは、痛みではない。破壊とは、未来への解放である。国家は、壊すべきものを壊した分だけ前へ進む。
■ なぜ研究成果が産業につながらないのか
成長γ:挑戦を価値へ転換できる国家へ
「挑戦が挑戦で終わる国家」と「挑戦が国力へ跳ねる国家」
日本の最大の課題は、挑戦の“増幅率”が低い点にある。挑戦(研究・PoC)は起きても、価値(ビジネス・安全保障・国際競争力)に変換されない。
それは、γ(ガンマ)が低い国家であるということだ。
研究者がすばらしい成果を出しても、それが産業へつながらなければ国家の力にならない。PoCが成功しても、それが世界市場・安全保障・国内課題解決へ接続しなければ価値は生まれない。
国家戦略技術が意味を持つのは、挑戦が国家価値に跳ね返る構造が成立したときである。
そのためには、挑戦の出口を最初から「三重構造」で設計することが必要だ。
ひとつは世界市場であり、もうひとつは安全保障であり、そしてもうひとつは国内課題(少子高齢化・災害・地域社会)である。この三つを同時に満たすことではじめて、挑戦は国力へと増幅される。
さらに、日本がγを高めるためには、研究者→起業→大企業→政府→大学という“高速回遊キャリア”を制度として認める必要がある。
人材の循環は、国家の循環である。速度が高い国家ほど、挑戦は価値へと変換される。
挑戦を価値へ最大増幅する国家――これがγが高い国家である。
■ 米国国防総省の「小規模組織」が生み出したもの
制度OS:挑戦が止まらない国家の深層ソフトウェア
「制度が挑戦を生み、制度が挑戦を止める」
制度OSとは、国家の深層ソフトウェアのことである。制度OSが古ければ、挑戦は生まれず、破壊は拒まれ、成長は起きない。
制度OSが国家戦略技術の成否を決定づけるという指摘は、抽象論ではない。世界の技術立国はいずれも「制度が技術を生んだ」ことを示している。象徴的なのが、米国DARPA(国防高等研究計画局)である。DARPAはわずか200人規模の組織であるにもかかわらず、インターネット、GPS、ステルス、音声認識、自動運転といった世界史級の技術革新の起点となる研究開発を次々に生み出した。DARPAが偉大なのは資金量ではなく、「失敗が許され、越境が奨励され、スピードが最優先される制度」を組織内部に組み込んだ点である。制度そのものが技術を生む装置になっているのである。
制度が未来を開くことを示す例は他にもある。イスラエルは人口990万ながら、AI、サイバー、防衛技術で世界指折りの国になった。その基盤はタルピオット(イスラエル国防軍が運営する、数学・物理・コンピュータ科学などに卓越した人材を選抜し、研究開発リーダーを育成するエリート訓練プログラム)に象徴される「国家人材OS」であり、軍・大学・産業をひとつの循環に統合した制度が、挑戦と価値創造を途切れなく生み出している。
また、エストニアは行政サービスのほとんどがデジタル化されているが、それを可能にしたのは技術そのものではなく、住民IDとデータ連携を基盤とするX-Roadという国家OSである。制度が未来を許したとき、小さな国家でも構造は劇的に変わる。
これらの事例が教えるものは明確である。国家を未来へ動かすのは、個別の技術ではなく、その技術が動くことを可能にする制度OSである。制度が変われば、国家は跳ぶ。制度が止まれば、国家は停滞する。
日本が未来へ進めるかどうかは、まさにここにかかっている。
■ 人口減少時代に「本当に必要なこと」
国家の制度OSを未来仕様へ更新するとは、国家の“進化速度”そのものを上げるという意味である。
未来仕様の国家OSとは何か。それは、挑戦が挑戦を生み、破壊が次の創造を呼び、挑戦と破壊と成長の循環が止まらない国家構造である。
国家技術インテリジェンス本部によって国家の勝ち筋を常時可視化し、ミッション型国家運営によって、“省庁”ではなく“未来課題”を中心に国家が動く。
人口減少時代に必要なのは“高流動×強セーフティネット”であり、挑戦が失敗しても次に向かえる国家である。
そして何より重要なのは、規制哲学の変革である。日本の規制は「原則禁止」であり、未来の技術を初期段階で封じ込めてしまう。
未来仕様の国家OSは「原則許可・安全弁」である。まず動かし、問題があれば止める。この哲学が、国家の挑戦のスピードと範囲を一気に広げる。
制度OSとは、国家の“見えない基盤”である。制度が未来を許すかどうかによって、国家の未来は決まる。
■「技術を持つ国」から進化した姿とは
最終章:技術で未来をつくる国家へ――創造的破壊がひらく日本の新しい姿
日本は、技術を持っている国である。だが未来を持っている国ではないかもしれない。その違いは、技術の問題ではなく国家OSの問題である。
創造λで挑戦密度を高め、破壊で未来を妨げる前提を取り除き、成長γで挑戦が国力へ跳ね返り、制度OSで挑戦が止まらない国家へ。
この4つが同期したとき、日本はようやく“技術を持つ国”だけではなく、“技術で未来をつくる国家”へ進化する。
日本が国家戦略技術を本当に動かし、4つの国家エンジンが同期して回り始めた未来は、単なる概念としての「技術立国」ではない。それは、私たちの生活・産業・安全保障・行政のすべてが具体的な形で書き換わった国家である。
その未来の姿は、次のような光景として立ち上がる。
■「国家戦略技術」6分野は何を変えるのか
AIとロボティクスは、もはや“人手不足対策”ではなく、社会の基盤そのものになっている。介護施設ではロボットが利用者の移動や食事をサポートし、職員は人間にしかできない寄り添いのケアに集中する。建設現場では自動化とロボット導入が加速しており、重労働や危険作業の一部を機械が担いはじめている。物流現場ではAIが需要を予測し、在庫は必要最小限で維持されるようになっている。
量子暗号通信は、国家の“目に見えない安全保障”の要として機能しつつある。行政データは量子暗号によって保護され、重要インフラはサイバー攻撃に強い耐性を獲得しはじめている。災害発生時には、自治体のクラウドが量子暗号ネットワークで安全に連携し、AIが最適な救援ルートを瞬時に導き出す社会が近づいている。
宇宙は、もはやロマンではなく日本社会の“神経系”である。独自の衛星コンステレーションは地震の前兆や気象の急変を常時監視し、人々の生活リスクを可視化する。離島や山間地への輸送の多くは軌道輸送とドローンが担い、安全保障では宇宙監視網が領域警備の常識を変える。
半導体は、世界中のロボット・自動車・医療機器の“感覚器”を担う。日本は最先端ロジック競争ではなく、装置・材料・回路設計の三位一体で独自の勝ち筋を確立し、世界の半導体エコシステムを支える存在に戻る。
核融合と水素は、国家の自立性を支える最後のピースである。国産エネルギー比率が飛躍的に高まり、地政学リスクによって揺さぶられない国家が成立する。
■ 日本が再び力を取り戻すために
このように、未来国家の姿とは、技術が国家の周りを飾るのではなく、技術が国家の骨格を形づくり、社会のすみずみまで具体的効果をもたらす国家である。
若者は挑戦が評価される国家に戻り、失敗しても立ち上がれる社会構造ができあがる。
研究と起業、産業と政府、学術と防衛が、分断ではなく循環として機能する国家――これこそが国家戦略技術が導く“未来の日本の姿”である。
未来は、偶然にはやって来ない。未来は、創造的破壊によってつくられる。
日本は今こそ、自らの手で未来の国家OSを書き換えるべきである。国家の創造的破壊――それこそが日本の未来を開く唯一の鍵である。
日本が国家戦略技術に挑むということは、単に未来を創るという意味ではない。もし創造的破壊を国家として実行できなければ、未来は自然と閉じていく。国家の衰退は大声で崩れるのではなく、静かに進行する。挑戦が減り、破壊がためらわれ、制度が変わらず、挑戦が価値に変換されない。技術は存在するが国力にはつながらない――。そうした“静かな衰退”こそ、日本が最も避けなければならない未来である。
未来は挑戦をやめた国家に味方しない。
そして未来は、破壊をためらった国家に二度目のチャンスを与えない。
日本の未来は、今まさにこの分岐点に置かれている。
日本は技術を持つ国から、技術で未来をつくる国家へ。そのために必要なのは、創造ではなく、破壊の覚悟である。
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田中 道昭(たなか・みちあき)
日本工業大学大学院技術経営研究科教授、戦略コンサルタント
専門は企業・産業・技術・金融・経済・国際関係等の戦略分析。日米欧の金融機関にも長年勤務。主な著作に『GAFA×BATH』『2025年のデジタル資本主義』など。シカゴ大学MBA。テレビ東京WBSコメンテーター。テレビ朝日ワイドスクランブル月曜レギュラーコメンテーター。公正取引委員会独禁法懇話会メンバーなども兼務している。
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日本工業大学大学院技術経営研究科教授、戦略コンサルタント 田中 道昭
https://news.yahoo.co.jp/articles/55d9c535d98388a1ebe740bb6b6d34d9e04b1ce3?page=1
GPS도 자율주행도 실패를 긍정하는 조직에서 나왔다... '제조대국·일본' 부활을 위해 파괴해야 할 쇼와 시대의 관습 / 12/12(금) / 프레지던트 온라인
정부는 AI·반도체·양자·우주·핵융합·바이오 등 6개 분야를 '국가전략기술'로 지정해 투자 촉진과 인재 육성에 나설 방침이다. 다나카 미치아키 일본공업대학 대학원 기술경영연구과 교수는 전후 일본의 성공 모델이 족쇄가 되고 있다. 일본이 기술을 살리기 위해서는, 지금까지의 전제를 「끝내는」의사결정이 필요하다」라고 한다 ―― .
■ 왜 일본인 월급 안 오르나
일본은 지금 전후 최대 기로에 있다. AI, 반도체, 양자, 우주, 핵융합, 바이오와 같은 국가전략기술이 앞으로의 국가안보·경제·고용·산업·외교의 모든 것을 결정하는 시대가 되었다.
그러나 많은 논의는, 아직도, 「어느 기술에 얼마를 투자할 것인가」「어느 대학을 중점 지원할 것인가」「어느 보조금 제도가 좋은가」라고 하는 「정책의 부품」으로 시종하고 있다.
하지만, 필자가 기사 〈노벨 경제학상 연구에서 「일본인의 급여가 오르지 않는 이유」를 알게 되었다…일본의 생산성을 낮춘 "나쁜 문화"〉에서 말한 것처럼, 일본의 임금 정체란 「창조되지 않고, 파괴되지 않고, 따라서 성장하지 않는 경제」이다. 그것은 안정이 아니라, "움직이지 않는 구조"였다.
국가전략기술에서도 똑같은 구조적 문제가 재현되고 있다. 기술이 부족한 것은 아니다. 창조가 부족하고 파괴가 부족하며 성장으로 변환되지 않아 제도 OS가 기술의 진화를 따라가지 못하고 있다. 그 때문에 국가 전체가 「움직이지 않는 구조」로 돌아가려 하고 있는 것이다.
국가전략기술이란 본래 국가가 미래의 돈을 버는 방법·지키는 방법·일하는 방법·배우는 방법·싸움하는 방법을 전면 교체하기 위한 국가 창조 프로세스이다. 나아가 국가전략기술이란 일본이 미래로 거듭나기 위한 "국가창조엔진"이다.
그리고 거기에 필요한 것이, 필자가 전술의 기사에서 사용해 온, 창조 λ(람다: 도전 밀도)·파괴(부술어야 할 현실)·성장γ(감마: 가치의 증폭율)·제도 OS(순환을 멈추지 않는 국가 기반)라고 하는 4개의 국가 엔진이다.
이 4개가 동기화되어 회전했을 때, 일본은 처음으로 미래로 나아간다. 반대로 말하면 하나라도 돌아가지 않으면 일본은 다시 "멈추는 국가"로 돌아가 버린다.
이제부터 제시할 것은 일본이 국가로서 창조적 파괴를 어떻게 설계하고 어떻게 미래를 포착할 것인가 하는 「국가 전략의 설계도」이다.
■ 뛰어난 기술을 살리지 못하는 근본 원인
제1장 : 국가 전략 기술이란 "국가 OS의 창조적 파괴"이다
국가전략기술이란 단순한 기술지원이나 연구 강화를 말하는 것이 아니다. 그것은 국가가 미래를 향하기 위해서 피할 수 없는 "자신의 OS 갱신"이다.
국가 OS란 국가를 움직이는 심층 구조로, 다음과 같은 영역이 포함된다.
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산업 구조
행정 구조
일하는 방식과 고용 제도
임금과 평가 구조
학술·교육 시스템
안전 보장의 가치관
재정·예산 제도
국제 제휴의 철학
실패와 도전에 대한 문화
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국가전략기술이 움직이려면 이들이 미래 사양으로 고쳐져야 한다.
AI도 반도체도 양자도 우주도, 미래의 기술은 미래의 국가 구조 위에서만 움직인다.
반대로 말하면, 국가 구조가 쇼와대로라면, 미래 기술은 반드시 정지한다.
연구비를 늘려도, 대학을 강화해도, 차세대 반도체 공장을 유치해도 국가 OS가 오래돼도 그것은 오래된 OS에 새로운 앱을 넣는 것과 같다.
움직일 리가 없다. 움직여도 금방 멈춰. 국가전략기술을 얘기한다는 것은 국가 OS 자체에 손을 대는 각오다.
■ '1980년대 성공모델'에 의존한 채
제2장 : 미래와 현재를 가르는 "국가의 분열"--일본은 왜 미래로 나아가지 못하는가
국가전략기술이 앞으로 나아가지 않는 일본. 그 핵심에 있는 것이 '미래의 국가상'과 '지금의 국가구조'의 충돌로 생기는 '깊은 간극(국가의 갈라짐)'이다.
이는 단순한 제도 미비가 아니다. 국가 자체가 자신의 내부에 "상용되지 않는 두 개의 국가"를 동시에 안고 있는 상태이다.
이하, 이 갈라진 틈의 정체를 그려낸다.
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① 미래기술구조 vs. 과거수익모델
일본은 미래를 AI·양자·우주·반도체로 구축하려 하고 있다. 그러나 국가 재정과 기업 수익의 대부분은 자동차, 기계, 화학, 중간재 같은 "1980년대 성공 모델"에 의존하고 있다. 미래에 액셀을 밟으며 동시에 과거에 브레이크를 밟고 있다. 이것이 첫 번째 갈라진 틈이다.
② 기술이 발전하는 속도 vs. 국가가 움직이는 속도
AI는 일차에서 진화하고, 양자는 월차에서 연구가 진전되고, 우주 비즈니스는 연 단위로 월등한 시스템이 생겨난다. 그러나 행정은 연도별로, 기업은 뿌리째로 움직인다. 속도차는 100배 이상. 미래는 바로 거기에 있는데, 국가는 거기에 도달하지 못한다. 이것이 제2의 균열이다.
③ 세계시장에서의 경쟁 vs. 국내기준 문화
국가전략기술은 세계시장이 전제됨에도 불구하고 일본은 "국내 사용자 기준"으로 사양이나 구조를 생각한다. 세계가 요구하는 스피드·가격·표준·안전성--그 모두가 일본의 의사결정 문화와는 동떨어져 있다.
④ 듀얼유스 세계표준 vs 방위기피 일본통념
전회 기사에서 다루었듯이, AI도 양자도 우주도 반도체도, 세계에서는 완전히 군민 양용이다. 그러나 일본에서는, 「방위와의 일체화」를 피하는 분위기가 뿌리깊다. 국가전략기술의 첨단 영역은 안전보장과 불가분이다. 그러나 일본의 OS는 그곳을 피하도록 설계되어 있다(참조<세계의 군수기업 대기업 100개사의 방위매출은 '98조엔'…일본인만 인식이 어긋나는 거대시장의 정체>)
⑤ 10년 투자로만 육성되는 기술 vs. 1년 예산으로 움직이는 국가
양자도 핵융합도 반도체도 AI 기반도 회수까지 10년이 걸린다. 그러나 일본의 국가 예산은 "1년간 다 쓰는 문화"로 움직인다. 미래를 10년간 키워야 할 국가가 현재를 1년간만 관리할 수 있다. 이것이 가장 위험한 균열이다.
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이러한 "국가의 갈라진 틈"을 메우지 않고 아무리 국가 전략 기술을 추진해도, 미래로 나아가는 힘은 국가 내부에서 소실되고 만다.
그렇다면 이 갈라진 틈을 어떻게 막고 어떻게 미래로 나아갈 것인가. 그 대답이 다음 장의 창조 λ·파괴·성장γ·제도OS이다.
■ '4가지 엔진'으로 일본은 재기동한다
3장 : 창조 λ · 파괴 · 성장 γ · 제도OS ―― 국가를 움직이는 4개의 거대 엔진
일본이 미래로 나아가지 못하는 가장 큰 이유는 기술의 부족이 아니다. 국가를 앞으로 밀어내야 할 4개 엔진이 동시에 회전하지 않기 때문이다.
이 장에서 논하는 것은 국가전략기술을 단순한 '정책의 집합'이 아니라 국가를 움직이는 메커니즘으로서 다시 파악하기 위한 '국가기구론'이다. 국가는 어떻게 미래로 나아갈 것인가. 답은 이 네 가지가 동기화되는 순간 나타난다.
국가를 미래로 움직이는 4개의 엔진--창조 λ·파괴·성장γ·제도OS--중에서, 실은 「파괴」야말로 전체를 움직이는 가장 중요한 엔진이다.
그 이유는 세 가지다.
첫째, 파괴는 창조의 전제이다. 창조는 공백에서 나오는 것이 아니다. 낡은 전제·오래된 제도·오래된 가치관·오래된 구조 ―― 이것들이 국가의 내부를 막은 채로는, 아무리 AI를 키워도, 양자를 연구해도, 우주를 개발해도, 새로운 에너지가 흘러드는 "공간"이 존재하지 않는다. 창조가 싹을 틔우려면 먼저 그 싹을 틔우는 토양을 무너뜨릴 필요가 있다. 파괴는 창조가 깃들기 위한 "공간을 만드는 행위"이다.
둘째, 파괴는 국가의 행동을 해방시킨다. 국가는 많은 경우 "해야 할 일"이 아니라 "그만둬야 할 일"에 의해 앞으로 나아간다. 타성으로 이어지는 제도, 지켜진 기득권, 놓지 않는 과거, 이들이 국가의 진로를 가로막는 보이지 않는 무게로 기능한다. 파괴란 이 무게를 빼는 행위로, 국가를 미래를 향해 다시 움직일 수 있게 하는 '해방 프로세스'다. 파괴가 없는 국가는 액셀을 밟아도 브레이크가 밟힌 상태다.
■ 가장 중요한 것은 성장도 개혁도 아니다
셋째, 파괴는 국가의 방향을 결정하는 유일한 행위이다. 창조 λ는 도전의 양을 늘리고, 성장γ는 가치의 증폭을 재촉하고, 제도 OS는 순환을 유지한다. 그러나 그것들이 아무리 정비되더라도
국가로서 무엇을 끝낼 것인가가 결정되지 않으면 일본은 미래로 나아갈 수 없다. 국가전략기술에 있어서 가장 위험한 것은 "미래를 내걸면서 과거의 구조를 하나도 끝내지 않는다"는 것이다. 파괴는 국가가 어느 미래로 나아갈 것인지를 결정짓는 유일한 선택의 행위다.
그렇기 때문에 이번 테마, 「국가 전략 기술×창조적 파괴」에 있어서는 특히 파괴가 가장 중요하다. 왜냐하면, 일본이 안는 최대의 문제는 "기술이 없는 것"이 아니라, 기술을 움직이는 국가 구조가, 미래에 적응하지 못한 채 고정하고 있는 것이기 때문이다.
창조를 얘기하고 싶은 국가는 많다. 성장을 바라는 국가도 많다. 제도개혁을 외치는 국가도 많다. 그러나 부술 것을 부수겠다고 선언할 수 있는 국가만이 미래를 만든다.
파괴란 국가가 미래로 나아가기 위한 "제로 지점"이며, 국가전략기술의 전 과정을 풀어내는 최초의 엔진이다.
이상의 인식을 바탕으로 4개의 엔진을 논해 나간다.
■ 도전 절대량이 압도적으로 부족하다
창조 λ: 국가의 도전 밀도가 미래의 넓이를 결정한다
도전이 적은 국가에 미래는 생기지 않는다
창조 λ(람다 lambda)란, 국가가 미래를 향해 걸어가는 "도전의 밀도"이다. λ높다면 국가 전체가 미래를 향해 앞으로 나아갈 것이다. λ가 낮으면 아무리 뛰어난 기술을 갖고 있어도 국가는 움직이지 않는다.
현재 일본은 도전의 절대량이 압도적으로 부족하다.
대학에는 연구자가 있어도 도전의 기회가 적다.
기업에는 기술이 있어도 본업이 너무 무거워 움직일 수가 없다.
행정에는 위기감이 있어도, 구조가 도전을 억제한다.
국가로서 미래로 나아가려면 λ를 국가 차원에서 끌어올릴 필요가 있다.
그것은 예를 들어, 일본판 DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency: 국방고등연구계획국, 미국 국방부 하에서 군사기술의 연구·개발을 담당하는 기관)를 진심으로 가동시켜, 연간 20~30건의 국가 미션을 시작하는 것일지도 모른다. 혹은 젊은 연구자가 10억엔 단위의 자금을 손에 쥐고 실패를 전제로 도전할 수 있는 연구문화를 만드는 것일 수도 있다.
그것은 또한 대기업의 본업의 일부를 국가전략기술로 돌리는 고통스러운 의사결정일 수 있다.
국가는 도전의 총량으로 미래를 형성한다.
도전이 늘어나면 국가의 미래는 넓어진다.
도전이 없으면 국가의 미래는 쪼그라든다.
λ창조 λ는 미래의 확산 그 자체이다.
■ 필요한 건 '끝내기' 의사결정
국가가 스스로의 구조를 깨지 않는 한 미래는 시작되지 않는다
부술 각오가 없는 국가의 도전은 반드시 중간에 멈춘다
창조적 파괴라는 말처럼 창조는 파괴에서 비롯된다. 그리고 일본에서 가장 부족한 것은 이 '파괴의 각오'이다.
파괴해야 할 것은 기술이 아니다. 국가의 심층구조 그 자체다.
전후 일본의 성공 모델은 이제 미래를 가로막는 벽이 되고 있다. 종신고용·연공서열·제너럴리스트 문화는, AI나 양자의 전문 인재를 세계 수준으로 처우하는 데 방해가 된다.
종적관계 행정은 AI×우주×양자×방위라는 복합적 영역을 취급하는 국가전략기술에 있어서 "구조적 부적합" 그 자체이다.
방위 기피 문화는 AI 우주 양자 같은 세계 표준의 군민 양용 기술을 일본만이 봉인하는 것을 의미하며 국가 전략 기술의 절반을 스스로 포기하는 것과 같다.
더욱이 완벽주의 품질문화는 먼저 움직이고 진화시킨다는 기술세계의 표준과 근본적으로 모순된다.
단년도 예산주의는 핵융합이나 양자의 10년 투자를 감당할 수 없다.
일본이 미래로 향하기 위해서는 이러한 전제를 「끝내는」 의사결정이 필요하다.
파괴는 고통이 아니다. 파괴는 미래에 대한 해방이다. 국가는 부술 것을 부순 만큼 앞으로 나아간다.
■ 왜 연구성과가 산업으로 이어지지 않을까
도전을 가치로 전환할 수 있는 나라로
도전이 도전으로 끝나는 국가와 도전이 국력으로 뛰는 국가
일본의 최대 과제는 도전의 "증폭률"이 낮다는 점에 있다. 도전(연구·PoC)은 일어나도 가치(비즈니스·안보·국제경쟁력)로 변환되지 않는다.
그것은, γ(감마)가 낮은 국가라는 것이다.
연구자가 훌륭한 성과를 내더라도 그것이 산업으로 이어지지 않으면 국가에 힘이 되지 않는다. PoC가 성공해도, 그것이 세계 시장·안전 보장·국내 과제 해결에 접속하지 않으면 가치는 생겨나지 않는다.
국가전략기술이 의미를 갖는 것은 도전이 국가가치로 되돌아가는 구조가 성립되었을 때이다.
그러기 위해서는 도전의 출구를 처음부터 삼중구조로 설계하는 것이 필요하다.
하나는 세계시장이고, 또 하나는 안전보장이며, 또 하나는 국내 과제(저출산·고령화·재해·지역사회)이다. 이 세 가지를 동시에 충족시켜야 도전은 국력으로 증폭된다.
게다가 일본이 감마를 높이기 위해서는, 연구자→창업→대기업→정부→대학이라고 하는 "고속 회유 캐리어"를 제도로서 인정할 필요가 있다.
인재의 순환은 국가의 순환이다. 속도가 높은 국가일수록 도전은 가치로 변환된다.
도전을 가치로 최대 증폭하는 국가--이것이 감마가 높은 국가이다.
■ 미국 국방부 '소규모 조직'이 만든 것
제도 OS : 도전이 멈추지 않는 국가의 심층 소프트웨어
제도가 도전을 낳고, 제도가 도전을 멈춘다
제도 OS란 국가의 심층 소프트웨어를 말한다. 제도 OS가 오래되면 도전은 생기지 않고 파괴는 거부되며 성장은 일어나지 않는다.
제도 OS가 국가전략기술의 성패를 결정짓는다는 지적은 추상론이 아니다. 세계의 기술입국은 모두 「제도가 기술을 낳았다」를 나타내고 있다. 상징적인 것이 미국 DARPA(국방고등연구계획국)이다. DARPA는 불과 200명 규모의 조직임에도 불구하고 인터넷, GPS, 스텔스, 음성인식, 자율주행과 같은 세계사급 기술혁신의 기점이 되는 연구개발을 속속 만들어냈다. DARPA가 위대한 것은 자금량이 아니라 '실패가 허용되고 월경이 장려되며 속도가 최우선되는 제도'를 조직 내부에 편입한 점이다. 제도 자체가 기술을 낳는 장치가 되고 있는 것이다.
제도가 미래를 여는 것을 보여주는 예는 또 있다. 이스라엘은 인구 990만 명이지만 AI, 사이버, 방위기술로 세계에서 손꼽히는 나라가 됐다. 그 기반은 탈피엇(이스라엘 국방군이 운영하는 수학·물리·컴퓨터 과학 등에 탁월한 인재를 선발해 연구개발 리더를 육성하는 엘리트 훈련 프로그램)으로 상징되는 '국가인재 OS'로 군·대학·산업을 하나의 순환으로 통합한 제도가 도전과 가치 창조를 끊임없이 만들어내고 있다.
또, 에스토니아는 행정 서비스의 대부분이 디지털화되어 있지만, 그것을 가능하게 한 것은 기술 그 자체가 아니라, 주민 ID와 데이터 제휴를 기반으로 하는 X-Road라고 하는 국가 OS이다. 제도가 미래를 허락할 때 작은 국가에서도 구조는 극적으로 바뀐다.
이러한 사례가 가르치는 바는 명확하다. 국가를 미래로 움직이는 것은, 개별의 기술이 아니라, 그 기술이 움직이는 것을 가능하게 하는 제도 OS이다. 제도가 바뀌면 국가는 뛴다. 제도가 멈추면 국가는 정체된다.
일본이 미래로 나아갈지 여부는 바로 여기에 달려 있다.
■ 인구 감소 시대에 '정말 필요한 것'
국가의 제도 OS를 미래 사양으로 갱신한다는 것은 국가의 "진화 속도" 그 자체를 올린다는 의미이다.
미래 사양의 국가 OS란 무엇인가. 그것은 도전이 도전을 낳고, 파괴가 다음 창조를 부르고, 도전과 파괴와 성장의 순환이 멈추지 않는 국가구조이다.
국가기술인텔리전스본부에 의해 국가의 승수를 상시 가시화하고, 미션형 국가운영에 의해 "부처"가 아닌 "미래과제"를 중심으로 국가가 움직인다.
인구 감소 시대에 필요한 것은 "고유동×강 세이프티 넷"이며, 도전이 실패해도 다음을 향할 수 있는 국가이다.
그리고 무엇보다 중요한 것은 규제철학의 변혁이다. 일본의 규제는 원칙적 금지이며, 미래의 기술을 초기 단계에서 봉쇄해 버린다.
미래 사양의 국가 OS는 「원칙 허가·안전판」이다. 우선 움직이고 문제가 있으면 멈춘다. 이 철학이 국가 도전의 속도와 범위를 단숨에 넓힌다.
제도 OS란 국가의 "보이지 않는 기반"이다. 제도의 미래 허용 여부에 따라 국가의 미래는 결정된다.
■ '기술을 가진 나라'에서 진화한 모습은
최종장 : 기술로 미래를 만드는 국가로 -- 창조적 파괴가 가능한 일본의 새로운 모습
일본은 기술을 가지고 있는 나라이다. 하지만 미래를 가지고 있는 나라는 아닐 수도 있다. 그 차이는 기술의 문제가 아니라 국가 OS의 문제이다.
창조 λ로 도전 밀도를 높여 파괴로 미래를 가로막는 전제를 제거하고, 성장γ로 도전이 국력으로 껑충 뛰어 제도 OS로 도전이 멈추지 않는 국가로.
이 4개가 동기화되었을 때, 일본은 겨우 "기술을 가진 나라" 뿐만 아니라, "기술로 미래를 만드는 국가"로 진화한다.
일본이 국가전략기술을 진정으로 움직이고 4개의 국가엔진이 동기화되기 시작한 미래는 단순한 개념으로서의 기술입국이 아니다. 그것은, 우리의 생활·산업·안보·행정의 모두가 구체적인 형태로 고쳐 쓴 국가이다.
그 미래의 모습은 다음과 같은 광경으로 떠오른다.
■ '국가전략기술' 6개 분야는 무엇을 바꿀 것인가
AI와 로보틱스는 더 이상 인력난 대책이 아니라 사회의 기반 그 자체가 되고 있다. 돌봄시설에서는 로봇이 이용자의 이동과 식사를 돕고, 직원은 인간만이 할 수 있는 몸을 돌보는 데 집중한다. 건설현장에서는 자동화와 로봇 도입이 가속화되고 있어 중노동이나 위험작업의 일부를 기계가 담당하기 시작했다. 물류 현장에서는 AI가 수요를 예측하고 재고는 필요 최소한으로 유지되도록 돼 있다.
양자암호통신은 국가의 "눈에 보이지 않는 안전보장"의 요체로서 기능하고 있다. 행정 데이터는 양자암호에 의해 보호되고, 중요 인프라는 사이버 공격에 강한 내성을 획득하기 시작하고 있다. 재난 발생 시에는 지자체의 클라우드가 양자암호 네트워크로 안전하게 연계돼 AI가 최적의 구원 루트를 순식간에 도출하는 사회가 다가오고 있다.
우주는 이제 낭만이 아니라 일본 사회의 "신경계"이다. 독자적인 위성 컨스텔레이션은 지진의 전조나 기상의 급변을 상시 감시해 사람들의 생활 리스크를 가시화한다. 낙도나 산간지에의 수송의 대부분은 궤도 수송과 드론이 담당해, 안전 보장에서는 우주 감시망이 영역 경비의 상식을 바꾼다.
반도체는, 전세계의 로봇·자동차·의료 기기의 "감각기"를 담당한다. 일본은 최첨단 로직 경쟁이 아니라, 장치·재료·회로 설계의 삼위일체로 독자적인 승수를 확립해, 세계의 반도체 에코 시스템을 지지하는 존재로 돌아간다.
핵융합과 수소는 국가의 자립성을 뒷받침하는 마지막 조각이다. 국산 에너지 비율이 비약적으로 높아져 지정학 리스크에 의해 흔들리지 않는 국가가 성립한다.
■ 일본이 다시 힘을 얻기 위해
이처럼 미래 국가의 모습이란 기술이 국가의 주위를 장식하는 것이 아니라 기술이 국가의 골격을 형성하고 사회의 구석구석까지 구체적 효과를 가져오는 국가이다.
젊은이들은 도전이 평가받는 국가로 돌아가 실패해도 일어설 수 있는 사회구조가 만들어진다.
연구와 창업, 산업과 정부, 학술과 방위가 분단이 아니라 순환으로서 기능하는 국가--이것이야말로 국가전략기술이 이끄는 "미래의 일본 모습"이다.
미래는 우연히 오지 않는다. 미래는 창조적 파괴로 만들어진다.
일본은 지금이야말로 스스로의 손으로 미래의 국가 OS를 고쳐 써야 한다. 국가의 창조적 파괴--그것이야말로 일본의 미래를 여는 유일한 열쇠이다.
일본이 국가전략기술에 도전한다는 것은 단순히 미래를 만든다는 의미가 아니다. 만약 창조적 파괴를 국가로서 실행할 수 없다면 미래는 자연스럽게 닫혀 있을 것이다. 국가의 쇠퇴는 큰 소리로 무너지는 것이 아니라 조용히 진행된다. 도전이 줄어들고 파괴가 망설여지며 제도가 바뀌지 않고 도전이 가치로 변환되지 않는다. 기술은 존재하지만 국력에는 연결되지 않는다--. 그런 '조용한 쇠퇴'야말로 일본이 가장 피해야 할 미래다.
미래는 도전을 포기한 국가의 편을 들지 않는다.
그리고 미래는 파괴를 주저한 국가들에게 두 번째 기회를 주지 않는다.
일본의 미래는 지금 바로 이 분기점에 놓여 있다.
일본은 기술을 가진 나라에서, 기술로 미래를 만드는 국가로. 그러기 위해서 필요한 것은, 창조가 아니라, 파괴의 각오이다.
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타나카 미치아키(田中道昭)
일본공업대학 대학원 기술경영연구과 교수, 전략컨설턴트
전문은 기업·산업·기술·금융·경제·국제 관계등의 전략 분석. 일·미·유럽의 금융기관에도 오랜 세월 근무. 주된 저작에 「GAFA×BATH」 「2025년의 디지털 자본주의」 등. 시카고대학 MBA. TV도쿄 WBS코멘테이터. TV아사히와이드스크램블월요 레귤러코멘테이터. 공정 거래 위원회 독금법 간담회 멤버등도 겸무하고 있다.
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일본공업대학 대학원 기술경영연구과 교수, 전략컨설턴트 타나카미치아키
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