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地球に衝突しそうな小惑星から人類を守ることはできるのか?SF映画さながらの実験を、26日アメリカが行う。
その驚きの方法について水野倫之解説委員の解説。
今回の実験は探査機ごと小惑星に体当たりさせて、どうなるか見ようという世界初のもの。
探査機はNASAが打ち上げた軽乗用車サイズのDARTで、直径160mのディモルフォスめがけて時速2万4000キロで衝突させる。
その後ディモルフォスの軌道がどうなるか地上の望遠鏡などで観測する計画。
このディモルフォスは、今回は実験対象として選ばれたもので、衝突の危険はない。
ただ小惑星は過去に地球に何度も衝突していて、大昔、直径10キロの超巨大な小惑星がユカタン半島に落下して、恐竜絶滅につながったと考えられているし、そこまでいかなくても9年前にロシアに落下したわずか17mの小惑星は、衝撃波でけが人1000人以上の被害をもたらした。
今のところ恐竜絶滅のような被害をもたらしそうな小惑星は見つかっていないが、アメリカは小惑星衝突を現実の脅威と捉え、地球防衛に国を挙げて取り組もうとしている。
天体からの地球防衛についてはこれまで様々な方法が考えられ、映画アルマゲドンでブルース・ウィリスは小惑星に核爆弾を埋め込んで爆発させた。
ただこの方法だとその後大量の破片が地球に降り注ぐことにもなりかねない。
その点、探査機の体当たりは人が行く必要がなく、シンプルで効率がいいと考えられている。
今回の実験でディモルフォスは破壊されることはなく一部がえぐり取られてクレーターができる程度とみられているが、NASAはそれでもディモルフォスの速度が秒速1ミリメートル遅くなり、軌道もわずかに変わると予測。
はたしてその軌道の変化が地球防衛に有効なのかどうか、NASAの観測結果に注目したい。
(水野 倫之 解説委員)