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米食品医薬品局(FDA)は4月11日、糖尿病網膜症を検出する人工知能(AI)を用いたデバイスを、医療機器として初めて承認したと発表した。このデバイスを用いれば、眼科の専門医でなくても糖尿病網膜症の診断が可能になるという。
この新しいデバイスは、米IDx社が開発した「IDx-DR」と呼ばれるもので、特殊な無散瞳眼底カメラ(株式会社トプコン販売の「NW400」)で撮影した糖尿病患者の網膜画像データを、AIアルゴリズムを用いて解析する仕組みだ。
AIを用いた解析プログラムをインストールしたクラウドサーバーに、撮影した網膜の画像データをアップロードすると、軽度以上の糖尿病網膜症が検出される。具体的には、「糖尿病網膜症を検出;専門医の受診を勧める」あるいは「糖尿病網膜症は未検出;12カ月以内の再検査を勧める」のいずれかの結果が得られる。
今回の承認は、10カ所のプライマリケア施設で登録した糖尿病患者900人から得た網膜画像データを用いて、糖尿病網膜症の診断精度を検証した臨床試験に基づいている。この研究では、IDx-DRは軽度以上の糖尿病網膜症を87.4%の精度で診断できたほか、軽度以上の糖尿網網膜症ではない人を89.5%の精度で識別できることが分かった。
FDAによると、糖尿病網膜症は、米国に3000万人以上いる糖尿病患者が視力を失う主な原因とされる。その管理は早期発見、早期治療が肝要であり、糖尿病網膜症と診断されたら患者は早急に眼科専門医を受診し、詳しい検査を受ける必要があるという。
FDAで眼科医療機器を所管する部門の部門長を務めるMalvina Eydelman氏は「糖尿病の管理では、網膜症の早期発見は重要な課題に位置づけられているが、糖尿病患者の約半数は年1回の眼科医の検診を受けておらず、適切なスクリーニングが実施されていないのが現状だ。今回承認されたAIデバイスは、プライマリケア医でも使いこなすことができるだろう」と話している。
このプログラムはレーザー治療、眼の外科手術や注射を行っている糖尿病患者のほか、永続的な視覚障害やかすみ目、飛蚊症、黄斑浮腫、重症非増殖糖尿病網膜症(NPDR)、増殖糖尿病網膜症(PDR)、放射線網膜症、網膜静脈閉塞症の既往がある患者の網膜症スクリーニングには使用すべきではないとされている。
さらに、妊娠中に急速に進行する網膜症の検出には対応できないため、妊娠中の女性にも用いるべきではないとされている。
(HealthDay News 2018年4月12日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.