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DHCの公式オンラインショップDHCの公式オンラインショップに掲載されたコラム「ヤケクソくじについて」より
化粧品大手「DHC」の公式オンラインショップ上に、吉田嘉明会長名義で「NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう」などとつづった文章が4月10日までに掲載された。NHKは朝の報道番組「おはよう日本」で、在日コリアンに対する差別的な文章がDHCの公式サイト上に掲載されていることを報じていた。
何が起きているのか
DHCは、公式オンラインショップのサイトに「ヤケクソくじについて」という文章を掲載している。吉田嘉明・代表取締役会長の名義で、2020年11月に書かれたものとしている。
自社製品サプリの優位性をアピールする文章で、同じくサプリを手掛けるサントリーについて、「CMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です」と主張。
在日コリアンへの蔑称を交えた呼称を使った上で、「ネットでは揶揄されているようです」などと綴っている。なお、この部分について根拠は一切示されていない。
この文章が話題になると、在日コリアンへの差別だとしてTwitterで抗議の声が続出。12月16日には「#差別企業DHCの商品は買いません」というハッシュタグがトレンド入りした。
DHC広報は当時、ハフポスト日本版の取材に対し、「回答することは特にございません」とコメント。また、名指しされたサントリーは、「当社からコメントすることは差し控えさせていただきます」とした上で、「サントリーは人権方針を定めており、基本的な考え方として、社会の一員として人権尊重の重要性を認識しております」とコメントしていた。
「在日コリアンを蔑む表現をしています」NHKが報道
NHKは2021年4月9日、朝の情報・報道番組「おはよう日本」で、この問題を取り上げた。
番組では、2月に東京都内で行われたDHCへの抗議行動を報道。DHC公式サイトに掲載されたコラムを紹介し、「在日コリアンを蔑む表現をしています」とナレーションで伝えた。
また、DHCの商品を愛用してきたという在日コリアン4世の女性が、「ただの失言という域を超えて私たちが直接攻撃されているような、そんな気持ちにもなってしまいました」とコメントする様子や、国会で問題が取り上げられたことも報道した。
番組は、DHCの会長から寄せられた以下のコメントも紹介した。
「小生のことをマスコミ(これもコリアン系ばかり)は人種差別主義者だと言うが、人種差別というのは本来マジョリティがマイノリティに対して行う行動を指すのであって、今や日本におけるコリアン系はマイノリティどころか日本の中枢をほとんど牛耳っている大マジョリティである」
「NHKに対してひと言感想をと言われれば、『NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう』」
「NHKは日本の敵です」「社員ほとんどがコリアン系である」DHC、根拠示さず掲載
報道を受け、DHCはコラムを掲載したページを4月10日までに更新した。
声明は吉田会長名義で、「おはよう日本」のディレクターから取材依頼があったことをつづった上で、「NHKは幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系である。出演者についても、学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系であり、ひどいことに偶然を装った街角のインタビューさえコリアン系を選んでいる」などと根拠を一切示さず主張。在日コリアンの外見を揶揄し、蔑む表現も含まれていた。
また、「誰がこんなふうにしてしまったのかというと自民党の一部のコリアン系の国会議員であるが、野党はコリアン系だらけだからNHKのやることには誰もストップをかけない」「彼らは東大・京大・一橋・早稲田を出ていることから政界・財界・法曹界・マスコミ界という日本の中枢をすべて牛耳っている大マジョリティである」などと、一方的に主張した。
声明の最後は、「NHKに対してひと言感想をと言われれば、『NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう』」と、NHKに寄せたコメントと同様の内容で締めくくっている。