|
腹部超音波検査で膵臓(すいぞう)に約2センチの膵のう胞と膵管拡張が見つかりました。経過観察と言われましたが、がんになる可能性は高いのでしょうか。(栃木県真岡市、男性、77歳)
A 経過観察の例が最多
膵臓は胃の裏側にある横に細長い臓器です。消化酵素である膵液を十二指腸に分泌して食物の消化を促す働きと、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌し体のバランスを保つ働きがあります。
膵液が流れる膵管には、直径1~2ミリの太い主膵管と、そこから分岐した分枝膵管があります。膵管が何らかの原因で詰まったり狭まったりすると膵液が流れず膵管拡張を起こします。また膵管が拡張することで、袋状に粘液がたまったのう胞ができることがあります。画像診断の進歩により、こうした膵臓の異常が見つけやすくなりました。
膵のう胞にはがんに関係するもの(腫瘍性)と、関係のないもの(非腫瘍性)があります。膵炎が治癒する過程でできる仮性のう胞は、がんに関係のないのう胞の代表例です。
腫瘍性ののう胞で注意が必要なのは多量の粘液を産生して膵管が袋状に拡張するIPMN(膵管内乳頭状粘液産生腫瘍)です。特に主膵管にIPMNが発生した例ではがんの合併率が80~90%と高く、手術治療が勧められます。膵臓がんの約5分の1がIPMN由来と推計されています。
一方、分枝膵管型IPMNで、のう胞も小さい場合、がん化のリスクはとても低いとされています。実臨床で最も多く見つかるのもこうしたケースです。このため、分枝膵管型IPMNが見つかった場合は、CT(コンピューター断層撮影装置)などを使って、大きさなどに変化がないかを数年間にわたって経過観察することが推奨されています。【聞き手・高野聡】
ご相談募集します
体の悩みや症状を募集します。住所、氏名、年齢、電話番号を記入し〒100-8051毎日新聞医療福祉部「きょうのセカンドオピニオン」係へ。ファクスは03・3212・3978。メールはiryo@mainichi.co.jp
医療・福祉面は水・日曜日に掲載します。ご意見、ご感想をお寄せください。宛先は「きょうのセカンドオピニオン」にある住所へ郵送かメール、ファクスで