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アメリカのトランプ前大統領が起訴された刑事裁判は、延期が相次いでいます。いったいなぜでしょうか?髙橋解説委員とお伝えします。
Q1)
けさのイラストは、トランプ氏がブルドーザーで土砂をかき起こす?
A1)
トランプ氏は、4つの刑事裁判はいずれも「政治的な魔女狩り」で「選挙妨害だ」として無罪を主張し、審理を11月の投票日以降に引き延ばして大統領職に返り咲き、起訴の取り下げなどをねらう作戦とみられています。
不倫相手への口止め料の支払いを隠ぺいするため、ビジネス記録を改ざんした罪などに問われているニューヨーク州の裁判は、当初は来週から陪審員選びが始まる予定でしたが、検察側が膨大な証拠書類を追加提出したことを理由に、ひとまず30日間の延期が認められました。
機密文書を自宅に持ち出して返還せず捜査を故意に妨害したとされる裁判も、初公判は当初5月の予定から、今後の調整次第で夏以降に延期の公算が大きくなっています。
さらに、ジョージア州の選挙結果を覆そうと選管当局に圧力をかけたとされる裁判は、公判日程のメドが立たない異例の展開になっています。
Q2)
どうしてですか?
A2)
担当の地区検事長の女性が、特別検察官として高額の報酬で雇い入れた男性と不倫関係にあり、豪勢な旅行などもしていた疑惑が明るみに出たからです。男性は辞任しましたが、トランプ氏の弁護団は、地区検事長の解任と起訴の取り下げを求めて上訴しています。
さらに、3年前の議会乱入事件をめぐる裁判も、初公判は早くても、選挙戦が終盤に入る秋以降にずれ込みそうです。
Q3)
なぜですか?
A3)
トランプ氏が大統領の“免責特権”は退任後も適用されるとして起こした訴えについて、連邦最高裁が早ければ6月末までに判断を示す可能性があるからです。
仮にトランプ氏の訴えが退けられた場合も、そこから議会乱入事件をめぐる裁判開始まで、88日間の準備期間が設けられる見込みです。投票日前に評決が出る可能性が完全に消えたわけではないものの、引き延ばし作戦は今のところ功を奏しているようです。
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