|
目次を開く
《海外からは》
中国外務省「理性的な対中政策を望む」
中国外務省の林剣報道官は記者会見で日本の内政についてはコメントしないとした上で、「中日関係が長期的に安定して発展することは、両国民の根本的な利益に合致し唯一の正しい選択だ。中国に対する客観的で正確な認識を確立し、前向きで理性的な対中政策が行われることを望む」と述べました。
また、石破氏が先月、台湾を訪れて頼清徳総統と会談したことについては「中国は日本の政治家が台湾を訪れることに一貫して断固反対で、この立場は明確だ」と述べました。
台湾頼総統 “交流と協力がさらに深まることを期待”
台湾の頼清徳総統は与党・民進党トップの主席としてSNSにメッセージを投稿し、祝意を示しました。
SNSには石破氏と頼総統が握手をする写真とともに「民進党と自民党には深い交流と友好関係がある。石破総裁のリーダーシップのもと、両党のさまざまなレベルの交流と協力がさらに深まることを期待している」などと投稿されています。
また、台湾外交部もホームページに声明を発表し、石破氏の選出に祝意を示した上で「石破総裁が率いる自民党が台湾と日本との包括的で実質的な関係をともに促進し、インド太平洋地域の平和と安定、繁栄を守っていくことを期待している」としています。
韓国大統領府「引き続き協力していく」
韓国大統領府は「新たに発足する日本の内閣と緊密に意思疎通しながら、韓日関係の肯定的な流れを続けていくため、引き続き協力していく。両国は自由、人権、法の支配の価値を共有し、安全保障や経済、地球規模の課題で共同の利益を追求する最も近い隣人でありパートナーだ。両国が前向きな姿勢で未来志向的な関係を発展させるために、ともに努力することを期待している」とするコメントを発表しました。
韓国メディア「安全保障に詳しい」「オタク」
新しい総裁に石破茂氏が選ばれたことについて、韓国メディアは相次いで速報で伝えるとともに、石破氏の人となりや主張してきた政策などを紹介しています。
このうち、通信社の連合ニュースは、石破氏がさまざまな閣僚を歴任し、とりわけ安全保障に詳しいなどとした上で、憲法改正にも積極的だなどと報じています。
また、日韓関係をめぐり、石破氏が過去にブログで「日本が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが、多くの問題の根底にある」と記したなどとして、「ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と岸田総理大臣が改善してきた両国関係を、少なくとも歴史問題のために悪化させることはないという評価が出ている」などと指摘しています。さらに、プラモデルや鉄道、軍事、カレーなどの「オタク」だと、人となりを紹介しています。
このほか、全国紙のソウル新聞は、石破氏を「歴史的な認識において『ハト派』という評価だ」とした上で、「歴史問題に対して穏健な姿勢をとっているため、韓日関係は今後も良好な流れが続くと予想される」と報じています。
《国内からは》
経団連 十倉会長「幅広い政策に精通 手腕に期待」
経団連の十倉会長は「石破氏は地方創生や防衛分野をはじめとする幅広い政策に精通しており、経験豊富な政治家だ。変革を推し進めるにふさわしいリーダーといえ、その手腕に大いに期待する」というコメントを発表しました。
その上で「わが国はデフレからの完全脱却に向けた正念場を迎えている。国内の産業活動の基盤となるエネルギー政策、とりわけ原子力の最大限の活用などは欠かせない。また、将来不安の払拭に向けた公正・公平で持続可能な全世代型社会保障制度の構築や多様性を尊重する社会づくり、被災地の復興支援なども急がれる。こうした課題を前に、政策を迅速に推進できる安定した政治の態勢が確立されることを期待する」としています。
日商 小林会頭 “経済転換を一緒に”
日本商工会議所の小林会頭は「石破氏は政策通で議員の経験も長く、さまざまな課題から逃げずに正面から取り組む姿勢を評価してきた。これから安定的な政策運営をお願いしたい」と述べました。
その上で「日本は経済的に岐路にあり、経済の好循環や賃上げ、それにエネルギー政策や社会保障、あらゆる面で転換が必要な時期だ。経済政策に関してはデフレの30年を転換すべく始動しており、賃上げを含めて前向きな経済成長に向かって一歩を踏み出せたところで、新総裁と一緒にこれを進めていきたい」と述べました。
また、石破氏が地方創生を訴えていることについては「中小・零細企業への支援など地方活性化に向けた取り組みを二人三脚で進めていきたい」と述べ、地方の活性化が進むことに期待を示しました。
経済同友会 新浪代表幹事「政治とカネの問題に決着を」
経済同友会の新浪代表幹事は「地方創生の推進や民間主導による潜在成長率の向上など、重要課題の解決にまい進されることを期待する。特にデフレからインフレへの移行を踏まえた新たな経済・財政政策をはじめ、令和の時代に即した雇用・労働市場改革や社会保障制度改革、地政学リスクの高まりに備えた経済安全保障、デジタル化の進展を見据えたエネルギーの安定供給について着実な成果を挙げていただきたい」というコメントを発表しました。
一方、今回の総裁選挙を振り返って「政治資金問題に端を発する自民党への不信感の払拭にはつながらなかった」と指摘し、「新総裁には政治資金規正法のあり方をはじめとする『政治とカネ』の問題に決着をつけるべくリーダーシップを発揮していただきたい」と求めました。
JPX 山道CEO「政策継続や新しい施策に期待」
日本取引所グループの山道裕己CEOは定例の会見で「日本は過去20数年間にわたってデフレに悩んできたが、安倍・菅・岸田の3政権のさまざまな努力によって、賃金と物価の好循環に入っているかを確認しようというところまできている。新しい総裁もその認識は持っているはずで、日本を前に進める政策の継続や新しい施策に期待している」と述べました。
また、石破氏が以前、金融所得課税に言及したことについて問われると「そうした発言があるのは報道では承知している。ただ、詳細な内容が分かっていないので現時点では何かをコメントする状況ではない」と述べました。
日本郵政 増田社長「強力なリーダーシップを」
日本郵政の増田寛也社長は「今、日本が抱えている問題は外交・安全保障、デフレ経済からの脱却、財政、社会保障の持続可能性の確保など多岐にわたる。こうした問題について骨太な大きな絵を描いて、強力なリーダーシップを取って国を導いていただきたい」と期待を寄せました。
また、人口減少の問題について「このままでは東京と地方の対立が激化し、地方の存在感が今後、希薄になる気がする。地方の問題に非常に詳しい方なので、これまでの知見や感覚を生かして国をリードしていただくことを期待している」と述べました。
輪島 災害対策や復旧支援に期待する声
能登半島地震と今回の大雨で被災した石川県輪島市では、災害対策や復旧支援に期待する声が聞かれました。
能登半島地震で自宅が被害を受け、片づけなどのため仮設住宅と自宅を行き来しているという60代の女性は「災害は二度と起きてほしくないですが、再び起きた時には被災者を助けてほしいということが、石破さんが選ばれた時に最初に頭に浮かびました。災害が起きても、みんなが助かることを期待しています」と話していました。
また、仮設住宅に住む70代の男性は「大雨で浸水した仮設住宅があり、とても気の毒だ。まさかこんな大水害が起こるとは思っていなかった。地震と水害で市民の心が痛んでいるので、一日も早い復旧をお願いしたい」と話していました。
「被爆体験者」の岩永千代子さん「長崎に来てほしい」
長崎に原爆が投下された際、国が定める地域の外にいたため、被爆者と認められていない「被爆体験者」の岩永千代子さんは「石破さんには長崎に来て私たちの本意を直接聞いてほしい。被爆の実相を外部被ばくだけでなく、内部被ばくも含めて知ってほしい」と話していました。
その上で「岸田総理大臣は長崎に来て『合理的に解決する』と言ったので期待していたが、被爆者だと認められなかった。広島と同じように全員を被爆者と認めてほしい」と話していました。
横田早紀江さん「拉致問題 一番に取り組んで」
47年前、中学1年生の時に北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母親の早紀江さん(88)は「これまで何人もの総理大臣に拉致問題の解決をお願いしてきました。ここまで来たら本当に解決してもらわないといけません。40何年間という重い年月のある拉致問題に一番に取り組んでいただきたい」と話しました。
その上で「日朝首脳会談に向け、北朝鮮が『いいかげんなことはできない』と思えるような形をしっかり作ってほしい」と求めました。
松本京子さんの兄・孟さん「帰国に力を尽くしてほしい」
1977年に北朝鮮に拉致された鳥取県米子市の松本京子さんの兄の孟さんは、「総裁が交代したということは1つのチャンスが訪れるかもしれない。妹は46年間の長きにわたって北朝鮮に留め置かれて、どんな境遇にいるのかも分からない。一日も早く帰れるように力を尽くしてほしい」と話しました。
地元鳥取「若い世代に寄り添った政策を」
石破氏が新総裁に選出されたことを受けて、鳥取県内のおよそ50か所で新聞の号外あわせて1万部が配られ、このうちJR鳥取駅前では市民が次々に受け取っていました。
鳥取市の女子高校生は「鳥取出身の方なのでとてもうれしいです。私たちのような若い世代に寄り添った政策を進めてほしいです」と話していました。
60代の男性は「日本を次の世代につなげられる政治ができるように、頑張って欲しいです」と話していました。
全国知事会「希望と安心に満ちた未来を」
全国知事会は「人口減少対策の推進や子ども・子育て政策の強化、相次ぐ災害からの復旧・復興の加速化など、国と地方が手を携えて協力して取り組まなければならない課題は、多岐に及ぶ。強いリーダーシップを発揮して、わが国全体と各地域を力強く発展させ、希望と安心に満ちた未来を切りひらいてもらうことを強く期待している」とするコメントを出しました。
鳥取県 平井知事「辣腕をふるってもらいたい」
鳥取県の平井伸治知事は、石破氏の支援者の会合で「普段選挙では泣かないが、きょうは泣いた。皆さんと喜びを分かち合いながら、次の日本を私たちの手で作っていこう」と呼びかけました。
このあと平井知事は報道陣に対し、「地方を歩み続けて政権の中枢に立たれた石破新総裁こそができる仕事を成し遂げてもらうために、我々はエールを送りたい。人口減少問題や防災の課題、これからの経済対策などで辣腕をふるってもらいたい」と期待を寄せていました。
専門家 “高齢化対策の議論が必要”
社会保障や労働政策に詳しい慶應義塾大学の駒村康平教授は、今後、高齢者がさらに増える一方で働き手は減る可能性があることを見据えて、新政権がその準備を進める必要があると指摘し、「厚生年金に加入する人を増やしていく議論や、65歳以降も働きやすい環境の整備に向けた議論が必要だ」と述べました。
そして、「今の政策で本当に少子化を食い止められるかは分からない部分が多い。少子化の一番の原因は未婚率の上昇なので、若い人の賃金を引き上げて結婚しやすい状況を作ることも対策としては有効だ。結婚できる経済条件を若い世代に保証するという政策などにも期待したい」と話していました。
また、労働政策については「新政権では正社員と非正規労働者の処遇の差をなるべく小さくしていく必要があると思う。特にこれまでの政権では女性活躍とは言ってきたが、いまだに非正規で働く女性が多いという課題がある。女性が結婚や出産でキャリアを中断することがないよう仕組みをつくり、男女ともに仕事と暮らしの両立が可能になるよう急いで取り組まなければならない」と述べています。