|
ペンギンのようにヨチヨチ歩きのため、つえをついています。頻尿がひどく、何度もトイレに行きます。正常圧水頭症と診断され、心配です。(京都府、男性、78歳)
A 高齢でも改善できる
症状から典型的な特発性正常圧水頭症と考えられます。脳と脳から腰にかけて伸びる脊髄(せきずい)の周りは髄液で満たされています。髄液は循環して体内に吸収されますが、高齢になると何らかの原因で吸収されにくくなり、脳室にたまって脳を圧迫し、脳の機能をまひさせます。これが特発性正常圧水頭症です。
主に65歳以上で発症し、平均発症年齢は70歳前後です。学会の診療ガイドラインに基づく疫学調査では、特発性正常圧水頭症の疑いのある高齢者は1・1%(約35万人)と推計されており、少なくありません。
この病気になると、歩き方が小刻みになったり、すり足やガニ股になったりするなどの歩行障害が表れるため、転倒しやすくなります。他にも、頻繁に尿意を催したり、尿漏れを起こしたりする排尿障害や認知機能の低下が表れます。典型的な例では、コンピューター断層撮影(CT)装置や磁気共鳴画像化装置(MRI)による画像に特徴的な脳室の拡大がみられます。
治療ではチューブを体内に埋めてたまった水をおなか(腹腔(ふくくう))に抜くシャントという方法があり、症状の改善が期待できます。以前は頭からおなかにかけてチューブを通す「VP(脳室-腹腔)シャント」がよく行われましたが、最近は、腰からおなかにかけてチューブを通す「LP(腰部くも膜下腔-腹腔)シャント」が患者に優しい方法として増えています。
高齢でも十分改善できるので、年のせいとあきらめず、脳神経外科の専門医に相談してみてください。【聞き手・河内敏康】
ご相談 募集します
体の悩みや症状を募集します。住所、氏名、年齢、電話番号を記入し〒100-8051毎日新聞医療福祉部「きょうのセカンドオピニオン」係へ。ファクスは03・3212・3978。メールはiryo@mainichi.co.jp
医療・福祉面は水・日曜日に掲載します。ご意見、ご感想をお寄せください。宛先は「きょうのセカンドオピニオン」にある住所へ郵送かメール、ファクスで。