トランプ氏の大統領就任に伴い、今後、米中の対立が激化して中国からの原料調達などに影響が出るのではないかという懸念も出ています。こうした中、京都のベンチャー企業が、中国が産出量のほとんどを占めるレアアースを使用せずにモーターを製造できる技術を新たに開発し、関心が集まっています。
EV=電気自動車向けのモーターなどの開発を手がける京都府のベンチャー企業「ネクストコアテクノロジーズ」は、レアアースの一種で産出量のほとんどを中国が占めるジスプロシウムやテルビウムを使用せずにモーターを製造できる技術を開発しました。
高性能のモーターの製造では、通常、耐熱性を高めるために回転する磁石にジスプロシウムやテルビウムを混ぜる必要がありますが、この会社では金属の精製や加工に独自の技術を活用して、モーター内の温度を上がらないようにすることで、こうしたレアアースを使わなくてもEV向けなどのモーターを製造できるということです。
さらに独自の技術により、モーターの消費電力の大幅な削減も可能で、すでに国内や欧米の自動車メーカーから試作品の発注が相次ぐなど、中国からの原料調達のリスクを避けられる技術として関心を集めています。
山本勇輝社長は「モーターの需要は世界的に高まっているが、中国以外から原料を調達しようという動きが大きくなっている。解決策として展開したい」と話しています。
また、この会社では、海外での販路拡大に向けて、アメリカ・ラスベガスで1月10日まで行われた世界最大規模のテクノロジー見本市CESでも自社の技術を紹介しました。
会場で技術を見た電動自転車メーカーの従業員は「貿易戦争は、産業に影響を与えるため深刻化するとすれば不安だ。効率も高いし、この技術は素晴らしいと思う」と話していたほか、自動車メーカー向けにコンサルティングを行う男性も「さっそく持ち帰って、顧客のメーカーに伝えたい」と話していました。