著名人の「自殺報道」、厚労省が20回目の注意喚起。場所を伝えるのは「やってはいけない」報道
「セクシー田中さん」などで知られる漫画家の芦原妃名子さんが亡くなりました。メディアは報道の仕方について注意が必要です。
Keita Aimoto
2024年01月30日 11時30分 JST
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PhotoTalk via Getty Images
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小学館「姉系プチコミック」で連載中の「セクシー田中さん」などで知られる漫画家の芦原妃名子さんが1月29日、亡くなっているのが見つかった。自殺の可能性が報じられていることを受け、一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」と厚生労働省が同日、メディア関係者に報道の仕方について注意喚起した。
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今回も亡くなった場所を報じるメディアが
同センターによると、著名人の自殺に関する報道や、その手段・場所などの詳細を報じることは、特に子どもや若者、自殺念慮を抱えている人に強い影響を与えかねない。
メディアがセンセーショナルに有名人の自殺を報じると、自殺が増える現象「ウェルテル効果」の存在も指摘されており、同センターと厚労省は著名人の自殺が報じられるたびに繰り返し注意喚起してきた。
厚労省のサイトによると、自殺報道に関する注意喚起は今回が20回目となったが、今回も芦原さんが亡くなった場所を特定できる形で報じた大手紙があった。
同センターは、メディアにWHO(世界保健機関)発行の「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017 年版」(自殺報道ガイドライン)に沿った報じ方を求めている。特に注意すべき4つの報じ方は次の通りだ。
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①《有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること》
有名人の自殺は十分に報道する価値があるとみなされ、それらを報道することは人々のためになると考えられることも多い。しかし、こうした報道は自殺リスクの高い人に模倣自殺を誘発させる可能性を特に高めてしまう。有名人の死を美化することで、気付かないうちに社会が自殺関連行動を称賛し、その結果、別の人の自殺関連行動を促進させてしまう可能性を意味している。
②《自殺に用いた手段について明確に表現しないこと》
自殺リスクのある人が行為を模倣する可能性を高めてしまうため、自殺手段の詳細な説明や議論は避けなくてはならない。例えば、薬の過剰服用を伝える際には、服用した薬のブランド/薬品名、性質、服用量、飲み合わせや、どのように入手したのかを詳細に伝えることは、人々に害を及ぼす可能性がある。
③《センセーショナルな見出しを使わないこと》
「自殺」という語は見出しで使わない。また、自殺手段や自殺の現場を明確に示すことも避けるべきである。本文記事の作成者以外のメディア関係者が見出しを書く場合、本文作成者は見出しを書いた人と協力して、適切な見出しが付けられているかを確かめること。
④《自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと》
ある場所が「自殺現場」として有名になってしまうのはよくあることである。例えば、自殺が発生した橋、高層ビル、崖、列車の駅、踏切などである。そのような場所をセンセーショナルな言葉を用いて伝えたり、その場所で起きた事件の数を過度に強調したりすることで、自殺現場としてその場所をさらに知らしめることが無いように、メディア関係者は特に注意を払わなくてはならない。
「やるべき」「やるべきではない」
また、自殺関連の報道で「やるべきこと」「やるべきでないこと」もまとめてある。
「やるべきこと」は、①有名人の自殺を報道する際には特に注意する②支援策や相談先について正しい情報を提供する③日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道する④自殺と自殺対策についての正しい情報を報道する、の4つ。
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「やるべきでないこと」は、①報道を過度に繰り返さない②自殺に用いた手段について明確に表現しないこと③自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えない④センセーショナルな見出しを使わない⑤写真・ビデオ映像・デジタルメディアへのリンクなどは用いない、の5つだ。
生きるのが辛いと感じている人や、周りに悩んでいる人がいる場合、以下のような相談窓口がある。