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Q 掌蹠膿疱症で水仕事つらい
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)でいろいろな皮膚科へ通いましたがよくなりません。手のひらがかゆく皮もむけ、水仕事がつらいです。治療法がないと聞き困っています。(山口県下松(くだまつ)市、女性、45歳)
A 離れた病巣と関連か
掌蹠膿疱症は、うみのたまった「膿疱」という無菌性の1~5ミリの水疱が手のひらや足の裏に多発します。膿疱は乾いて周囲の皮とともにはがれ落ちることを繰り返します。足の裏にできると痛くて歩きづらくなるなどQOL(生活の質)を著しく下げる病気で、40~60代の女性、特に喫煙者に多く見られます。
原因不明と言われてきましたが、これまでに聖母病院で診察した500人以上の分析では、4分の3の人は発症の引き金となる病気が確認されています。
中でも半数は、歯の根元や歯槽骨が溶けて「歯周ポケット」という歯と歯茎の間に深さ4ミリ以上のすきまができる中等度以上の歯周炎。他には扁桃(へんとう)炎や副鼻腔(びくう)炎が主な原因です。元の病巣から離れた場所で別の病気を起こす「病巣感染」という過剰な免疫反応に関連したメカニズムが働いていると考えられますが、自覚症状がなく早期発見は困難です。まれに金属アレルギーで起こることもあります。
これらの病巣を取り除くのが根本的治療法です。歯周炎は歯科や口腔(こうくう)外科、扁桃炎は耳鼻咽喉(いんこう)科の医師が当たります。皮膚科医に紹介を依頼するか、かかりつけの歯科や耳鼻科で相談してください。病巣除去後に症状が一時悪くなった後、半年から1年で徐々によくなります。根本治療を実施した上で、悪化を防ぐためステロイドや活性化ビタミンD3などの塗り薬を使います。禁煙も大切です。
一方、原因が分からず治療がうまくいかない人も一定の割合でおり、生物学的製剤の開発が進んでいます。【聞き手・野田武】
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