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Q 多発性骨髄腫と診断された
多発性骨髄腫と診断され、完治しないと言われました。2種類の薬(ベルケイド、レナデックス)を服用していますが、注意点はありますか。(大阪市、男性、69歳)
A 骨もろく転倒けが注意
多発性骨髄腫は、細菌やウイルスが侵入していないのに、免疫細胞の一つの形質細胞が異常に増殖するがんの一種です。腎機能の低下、貧血、骨折などの症状が表れます。
現時点で完治させる方法はなく、かつて生存期間も3年程度と予後の悪い病気でした。しかし、新しい薬が次々と開発され、昨年に計9種類の薬が使用可能になりました。生存期間を10年以上に延ばすことも現実味を帯びてきました。この数字には重要な意味があります。患者の大半が高齢者なので、発症しても日本人の平均寿命をほぼまっとうできる計算になるからです。「近い将来、治癒可能な疾患になるのでは」と考える専門医もいます。悲観する必要はありません。
治療法については主治医や他の専門医に相談してください。というのは、現在使っている2種類の薬は長い間、標準的な薬として利用されていますが、患者によって、その他の新薬との併用でよりよい結果も出ています。一方、骨がもろくなっていくのがこの病気の特徴なので、日常生活では転倒やけがに注意が必要です。
新規患者は年7000人程度と推計されていますが、腎不全や骨粗しょう症などの患者に多発性骨髄腫が隠れていると言われています。超高齢社会を迎え、まれな病気ではなくなるでしょう。早期治療すれば症状も抑えられます。若い人なら骨髄移植もできます。初期症状は、めまいや腰痛など多くの人が経験する訴えだけに軽視しがちです。年に1回は血液と尿の検査を受けてください。【聞き手・田中泰義】
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