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日本では紅茶キノコと呼ばれ、海外ではコンブチャと呼ばれている発酵飲料が、糖尿病患者の血糖コントロール改善に役立つ可能性を示唆するデータが報告された。米ジョージタウン大学のDaniel Merenstein氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Nutrition」に8月1日掲載された。
コンブチャは、紀元前200年ごろに中国で飲まれ始めた発酵飲料で、1990年代に入ると米国でも飲用されるようになり、健康に良いと考えて飲む人も少なくない。Merenstein氏らの研究は対象が12人と小規模なものではあるが、その考え方が正しい可能性のあることを示している。
この研究は、無作為化二重盲検クロスオーバー試験として実施された。成人2型糖尿病患者12人を2群に分け、コンブチャまたはプラセボ(各240mL)を4週間摂取してもらい、8週間のウォッシュアウト期間をおいて割り付けを切り替え、再び4週間摂取してもらった。その結果、コンブチャ摂取条件では4週間後の空腹時血糖値が、164mg/dLから116mg/dLへと有意に低下した(P=0.035)。一方、プラセボ条件では162mg/dLから141mg/dLの変化であり、この変化は非有意だった(P=0.078)。
血圧管理、発がん抑制…… 挙がるメリットにエビデンスなく
Merenstein氏によると、これまでにも複数の研究からコンブチャの潜在的なメリットが示されてきているが、糖尿病患者に対する有用性を検討した研究はこれが初めてだという。同氏は、「これは出発点であり、さらに多くの研究が必要だ」と語っている。
この研究報告に対して、米ロングアイランド・ジューイッシュ医療センターおよび米ホフストラ/ノースウェルのドナルド・アンド・バーバラザッカー医科大学のRifka Schulman-Rosenbaum氏は、「確かにコンブチャ摂取条件で空腹時血糖が低下しているが、この結果のみでは何とも言えない」と論評。加えて、「患者がこのような情報を重視するあまり、通院や血糖値のモニタリング、服薬遵守などの、糖尿病治療に欠かせないことを軽視してしまうのではないか」と懸念を表明している。
コンブチャは、紅茶または緑茶に細菌、酵母、砂糖を加え、発酵させて酢酸を生成させるといった方法で作られる。発酵プロセスの進行中に、細菌と酵母はスコビー(SCOBY)と呼ばれる膜を形成する。このSCOBYを含むコンブチャはプロバイオティクスとして作用すると考えられていて、血圧管理から発がん抑制まで、さまざまな健康上のメリットにつながると一部で信じられている。ただしエビデンスはまだない。しかしMerenstein氏は、「データが不足しているだけであって、われわれの研究をきっかけに米国立衛生研究所(NIH)やその他の機関が研究を始めることを期待したい」と語っている。
なお、この研究は外部からの資金提供を一切受けずに行われた。研究に用いられたコンブチャは一つのブランドの製品のみだったが、著者らは、「コンブチャに含まれている主要な細菌や酵母は共通性が高く、ほかのブランドの製品も類似の機能性を有しているのではないか」と述べている。
(HealthDay News 2023年8月1日)
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