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陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
陸上100メートルで人型ロボットがゴールすると場内には9秒39というタイムが表示されました。
観客席からどっと沸く歓声。
中国で開催されたロボット運動会の開幕式での一幕です。
驚きの連続で、ロボット開発に対する中国の“エネルギー”を実感しました。
(中国総局記者 木村隆太)
北京市“肝いり”のロボット運動会
8月22日から5日間、中国の首都・北京で「世界人型ロボット運動会」が開かれました。

会場となったのは2022年の冬の北京オリンピックでも使われたスケートリンク、通称「アイスリボン」。
去年に続いてことしで2回目となる運動会には、中国をはじめ、日本を含む16か国の企業や大学など666チームが参加し、去年の4倍にあたる2056台のロボットが出場しました。
種目は、陸上競技やサッカー、格闘技やダンスなどに加え、飲食サービスやオフィス事務作業など実用性を競うものもあり、あわせて51種目もあります。
ロボットが整然と足並みをそろえて入場行進する様子は、さながら「スターウォーズ」などのSF映画のようです。

さらに開幕式のデモンストレーションでは、テニスでロボットが人とボールを打ち合ったり、音楽にあわせて軽快なダンスを踊ったりする様子も披露され、大勢の人で埋め尽くされた観客席から大きな歓声があがります。
会場の雰囲気から主催した北京市政府の“肝いりイベント”だということがうかがえました。

ダンスをする人型ロボット
“園児”から“少年”のレベルへ
去年と比べて、技術はどれほど向上したのか。注目したのはサッカーです。
出場するロボットはみずからボールや敵と味方の位置を認識してプレーする「自律型」に限られます。
去年は、たくさんのロボットが1つのボールに集まり、1台が倒れるとそれにつまずいて次々に転倒。
サッカーと呼ぶにはほど遠く、ロボットがよちよちと歩きながら、つま先でボールを突いてゴールまで運んでいた姿が印象に残っています。

2025年のサッカー
しかし、ことしは格段に動きが滑らかに。
ペナルティーキックで見事なゴールを決めたり、点を決めるとサッカー選手のように天に矢を放つようなパフォーマンスをしたりする姿も見られました。
ガッツポーズする姿はまるで感情を持っているかのようです。

2026年のサッカー
一方で、改善の余地も多いと感じました。
ドリブルや連携したパス回しはまだ難しいようです。
タイミングを誤って豪快にキックを空振りしたり、シュートを決めていないロボットがなぜかゴールパフォーマンスをしたりして、観客の笑いを誘うシーンもありました。

「ことしのロボットのサッカー選手は、『園児』から『少年』のレベルに引き上げられた」
ロボット運動会の前に開かれた記者会見で、北京市の担当者はこう述べました。
課題はあるものの、技術の向上は誰の目にも明らかでした。
ボルト超えが続出!?
特に会場を沸かせたのは自律型のロボットによる陸上100メートルです。
予選は最初の組から9秒39が飛び出し、その後も9秒台で快走するロボットが続出。

ウサイン・ボルトさんが持つ男子100メートルの世界記録9秒58を超える好タイムを次々にたたき出したのです。
そして迎えた決勝。スタートラインに立った5台のロボットはすべて中国のチームでした。

100メートル決勝
スタートの号砲が鳴り響くと、5台はぐんぐんと加速。
トップは8秒64と驚異的なタイムで駆け抜け、去年の優勝タイム21秒50を大幅に上回りました。
ほかの4台も8秒台をマーク。観客の熱狂を肌で感じました。
ただ、ロボットは勢いのあまり止まることができずゴールの先に用意された大きなクッションのような壁に激突。
火花を散らすロボットもいて、力を使い果たしたかのように地面に倒れ込んでいました。

クッションのような壁に激突するロボット
陸上競技でもサッカーと同じようにハプニングがたくさん起きました。
スタートの合図が鳴っても走り出せずにスタートラインに立ち尽くしていたり、チーム名が呼ばれたとたんに倒れたりするロボットもありました。
安定した動作につなげるための課題はまだ多いのが実情です。

転倒するロボット
実用化に向けた動きも加速
いま、中国では実社会でロボットを運用する動きが加速しています。運動会の会場にも、ロボットが接客をする店が営業していました。

「ありがとうございます。バイバイ!」
接客していたのは、3年前に設立された北京の新興企業が開発したロボットです。
客がタッチパネルで注文したあと表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、支払いを終えると、ロボットが商品のアイスクリームを客に渡します。
中国の国営メディアによると、この企業のロボットが導入された店舗は北京や上海、内陸部の四川省成都など20あまりの都市で150以上あるといいます。

開発した企業「銀河通用」創業者 王鶴さん
「ロボット産業は今後20年から30年にわたって急速かつ持続的に成長していくでしょう。将来は、スポーツや娯楽など幅広い分野で活用されることが期待されています。
人型ロボットが大規模に実用化されれば、私たちの生活に影響を与えていると実感できるようになるはずです」
ことし設立したばかりの北京の新興企業は、調理用のロボットを展示。ここではロボットが包丁で、キュウリを均等に切る様子が披露されていました。

取材時、このロボットはまだ販売されていませんでしたが、担当者はできるだけ早く市場に投入すると意気込んでいました。

開発した企業「物啓星元」創業者 張超さん
「昔からいまにいたるまで料理をする時間は、家事のうちの多くを占めてきました。
もし1日3回の食事で、調理にかける時間を節約できるのなら、私たちはその時間をほかのやりたいことに使うことができるようになるでしょう」
国家戦略として中国政府が後押し
人型ロボットの開発が加速する背景にあるのが中国政府の手厚い支援です。研究開発に補助金を支給するなどの施策を打ち出しています。
中国には、向こう5年間の経済政策の運営方針など国家戦略を定めた「5か年計画」があり、ことしからの計画では人型ロボットなどの分野を新たな成長産業と位置づけています。

世界で開発競争が激しさを増す中、存在感のある人型ロボットメーカーを育て、この分野で主導権を握るねらいです。
中国政府によれば、去年の時点で国内の人型ロボットを製造する企業の数は140社を超え、330種類以上が発表されているといいます。
異業種からの参入も相次いでいて、国内でしのぎを削ることで競争力を高め、世界でもシェアを拡大していくEV=電気自動車や、ドローンと同じような「勝ち筋」を見いだせるかがポイントになります。
8月には、ダンスやカンフーの動きで知られる浙江省杭州にある人型ロボットメーカー「ユニツリー」が上海証券取引所の新興企業向けの株式市場に上場し、話題を呼びました。
時価総額は上場初日の終値でおよそ3400億人民元、日本円で8兆円相当となり、創業10年にして中国の代表的なロボットメーカーの1つに成長しています。

「ユニツリー」が開発したロボット
中国製のロボットに警戒感も
中国の人型ロボットの存在感は世界でも高まっています。
アメリカの調査会社IDCは、去年の人型ロボットの世界での出荷台数は1万8000台を超え、中国企業が9割以上を占めたと推計しています。
こうした動きに警戒しているのがアメリカです。
アメリカのFCC=連邦通信委員会は7月、今後製造される人型ロボットの外国からの輸入を禁止すると発表しました。
サプライチェーンやサイバーセキュリティーにぜい弱性をもたらし、外国の情報機関のためのデータ収集に使われるおそれがあるというのがその理由で、中国を念頭にしたものとみられます。

これに対し中国政府は「中国企業と製品を差別して抑圧するものだ。中国の正当な貿易の利益を著しく損ない、両国の経済と貿易の安定した局面を破壊するもので、断固として反対する」と反発。
アメリカに撤回を求めていて、開発競争は新たな“火種”になっています。
