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【Q】胸からあごにかけて痛みが続いています。内科で心電図と超音波の検査を受け、不安定狭心症の疑いと言われました。どんな病気でしょうか。(愛媛県今治市、女性、67歳)
【A】胸を締め付けられるような痛みの出る発作の頻度が増えていきます。速やかに診断、治療を受けることを勧めます。
狭心症には安定型と不安定型の2種類があります。安定狭心症は、階段を5階まで上るなど一定の負担のかかる運動をした時に発作が起きるのが特徴です。発作は同様の運動をするたびに起き、締め付けられるような胸の痛みが5分ほど続きます。発作が起きる運動を避けるよう生活を工夫することで対処できます。
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一方、不安定狭心症は、胸が痛むのは同じですが、発作の起きる頻度が増えてきます。例えば発作に至るまでの歩く距離や階段の段数が減ったり、発作の続く時間が長くなったりする場合です。時間の経過とともに病状は悪化するため、速やかに診断・治療を受けることをお勧めします。
狭心症は心臓の筋肉に血液を送る冠動脈の内側にコレステロールなどがたまり細くなることが原因の病気です。相談者が受けた心電図や超音波の他、冠動脈のどこが細くなっているかを調べるため、コンピューター断層撮影(CT)やカテーテルを使った画像検査で診断を確定します。
治療は、病気の進み具合に応じて3段階に分かれます。まず血管を広げたり血圧を下げたりする薬で治療します。発作がひどい場合には、網状の筒形の器具「ステント」を冠動脈の細い部分に入れて広げます。細い部分が複数あるなど状態が悪い時は、血液の別の通り道を作るバイパス手術が必要になります。
狭心症の特徴は胸の痛みですが、逆流性食道炎や胃潰瘍など心臓以外の病気でも起きるため、診断を確定させるのが難しい面もあります。
回答者 桃原哲也部長(榊原記念病院・循環器内科)
<毎日新聞医療福祉面で好評連載中のQ&A「きょうのセカンドオピニオン」を医療プレミアでも紹介します。原則毎週金曜日に掲載します。質問者の年齢や回答者の肩書は取材時点のものです>