|
毎日新聞 2021/6/30 東京朝刊 有料記事 693文字
なるほドリ 29日未明に沖縄県で大雨が降って大変だったね。
記者 はい。線状降水帯(せんじょうこうすいたい)の影響です。線状降水帯が発生した場合、雨を降らせる積乱雲(せきらんうん)が次々と生じて、上空から見ると長さ50~300キロ程度の帯状(おびじょう)になり、同じ場所で数時間にわたって雨が降り続けます。6~9月に多く、2018年の西日本豪雨(ごうう)や20年の九州豪雨の原因になりました。
Q 大きな被害が出たよね。気象庁は線状降水帯の情報を出さないの?
A 今までは発生を即座に把握(はあく)できなかったのですが、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)などの技術を活用した情報提供(ていきょう)を今月、始めました。今回初めて「(沖縄)本島北部では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています」と速報で警戒(けいかい)を呼びかけました。速報は「降水量が3時間で100ミリ以上の領域が、500平方キロ以上で線状になっている」「災害発生の危険度を示す5段階評価で、土砂災害か洪水の危険度が最も高いか2番目に深刻な地域」などの条件が重なれば、発表されます。
Q 線状降水帯の予報はできるの?
A これまではしていません。積乱雲のもとになるのは海上で発生する水蒸気ですが、その量を観測していませんでした。気象庁は、九州南端から台湾との間に連なる南西諸島の西側の海域に、水蒸気の観測船を派遣するなど、予報の準備を進めています。22年度には、発生の半日ほど前に発表する仕組みを始める意向です。予報ができるようになれば、より早い避難行動につながると期待されています。(科学環境部)