|
● イソップ寓話51. 鷲の恩返し (독수리의 보은)
或人が野原を歩いて居ると、ばたばたと言う音が聞こえて来ました。側へ行って見ると、一羽の大きな鷲が罠網に掛かって、出ようと踠(もが)いているのでした。
「何だ、鷲が罠に掛かったのか。」 行き過ぎようとすると、鷲は悲しそうな声で泣いて、「どうか助けて下さい。」 と言う様に 男の人を見詰めました。
「可哀想だな。事に依ったら、この鷲は 巣に子供を置いて、来ているのかも知れない。母鷲が捕まったら雛達は飢え死にする事だろう。そうだ、助けてやろう。」
男の人は罠を外して鷲を外へ出してやりました。鷲は嬉しそうに舞上がると、 「有り難う御座います。」と言う様に、男の人の 頭の上で何度も輪を描いて、それから山の方へ飛んで行きました。
明くる日の事、男の人は町へ出掛けました。 途中に古い大きな家がありました。男の人は草臥れたので、その家の塀の陰で休みました。
石に腰を下ろして居ると、鷲が飛んで来 て、行き成り帽子を掴んで逃げました。 「や、何をする。」 男の人が見上げると、 助けてやったあの鷲です。
「何て、恩知らずだ。こんな事なら、昨日罠から出して助けてやる事は無かった。」
男の人は帽子を取り返そうと追い掛けました。
塀から十步ばかり離れた時です。どどどっと、物凄い地響きを立てて、塀が崩れました。罅(ひび)が入っていたのです。 腰を掛けていた所は崩れた石で埋まっています。
「ああ、良かった。危なく命を無くす所だった。」 その時、鷲が空からぽんと帽子を落しました。「さては、お前が助けてくれたんだね。ありがとう。」 今度は男の人が鷲にお礼を言いました。
● イソップ寓話52. 意地悪犬 (심술쟁이 개)
意地の悪い犬がいました。お腹を空かして ひょろひょろと歩いていました。 「食べ物が欲しいよう。」牧場までふらふら来ました。すると、 桶の中に枯れ草が沢山入っていました。
牧場の牛の食べ物です。犬は桶の中を悔しそうに睨み付けて言いました。「牛にはこんなに沢山食べ物がある。でも 僕にはこんなものは食べられない。よし、 爵に障るから、牛何かに食べさせてやるものか。」
犬は桶の中へ入りました。枯れ草の上にどさりっと寝転がりました。 間も無く牛が お腹を空かして戻って来ました。「犬さん、桶の中から出て下さい。其処に 私の食べ物が有るのです。」「駄目だ、食べさせるものか。退くものか。」
犬は吠えて、牛を寄せ付けません。 牛達は 呆れ返って笑いました。「犬さん、自分で食べられ無い物は好きな者に食べさせたらどうだい。笑われるよ。」犬は よたよた 逃げ出しました。
● イソップ寓話53. 猿と豆 (원숭이와 콩)
「嬉しいな、嬉しいな。お豆が沢山嬉しいな。」 猿が仲良しの友達から、両手に一杯豆を貰って大喜び。上機嫌で道をぴょこぴょこ走って来ました。
「美味しそうなお豆だな。煮て食べようかな、それ とも煎って食べようかな・・・。そうだ、半分煮豆にして、はん分煎り豆にしようっと。」
ぽろりん 転転・・。その時、猿の手から小さな豆粒が一つ転がり落ちました。「しまった、大変だ。」猿は慌てて拾おうとしました。けれど、 さあ困りました。両手は豆を持っているので使えません。
「困った、どうしよう。ああ、そうだ。良い事がある。」猿は両手に持っている豆を 零さないようにして、そっと静かにしゃがみました。
口で銜えて、落ちた豆を拾おうと思ったのです。所が大変ん、あっと言う間に、ぱらぱら、ぱらぱらっと、今度は十粒程落として仕舞いました。
「しまった、困った。どうしよう・・・。」 猿は慌てました。「何とか上手に拾える良い方法はないかなあ。」猿が 焦れば焦る程、ぽろん、ころん、ぱら ぱら・・・。両手に持った豆はどんどん転がり落ちます。
「ええいっ。」突然猿は顔を真っ赤にして怒りだしました。「もう面倒くさいやっ。こんな豆何かもう要ら無いよっ。」
猿は両手に残っている豆をぱっぱっと辺りに撒き散らして、足で踏みつけると、 ぷんぷん怒り乍ら、 さっさと家へ帰って行って仕舞いました。
● イソップ寓話54. 驢馬の陰 (당나귀의 그늘)
旅人がお金を出して驢馬に乗りました。 驢馬の持ち主はぱかぱか驢馬を引いて行きました。お日様はかんかん照って焼け付くようです。「暑い暑い、一寸降りて休んで行こ う。」
旅人は驢馬から降りました。が、日陰が有りません。そこで、驢馬の陰に入って休みました。すると、それを見ていた驢馬の持ち主が、 「驢馬はお貸ししましたが陰まではお貸ししませ ん。」と、旅人を押し除け様としました。
「そんなばかな話しがあるか、私の借りた 驢馬の陰だから私のだ。」「いえいえ、驢馬の陰は私のものです。 退いて下さい。」
二人は押し合っていましたが、到頭喧嘩を始めました。その間に、驢馬は背中が軽くなったので、 大喜びで逃げて行って仕舞いました。
● イソップ寓話55. 叔母さんの失敗 (아주머니의 실패)
叔母さんが鶏を五羽飼っていました。どの鶏も毎日黃味が二つ入った卵を産みました。「偉い、偉い。」と、叔母さんは鶏を褒めて、大よろ媚び。
「卵でござい。卵でござい。黄味が二つ 入った、産み立ての大きな卵でござい。」 叔母さんは毎日大きな声を出して、町へ卵を売りに行きました。
「卵屋さん、卵を下さい。何れ何れ、割って見ましょう。おや、まあ、本当だよ。何れにも黄味が二つ入っている。」卵は皆に喜ばれて良く売れました。「有り難い、有り難い。」と、叔母さんはお金がどんどん溜まって、嬉しくて成りません。
「さあ、鶏さん、皆んな此方へおいで。 お風呂に入れて上げましょう。足を洗って上げましょ う。羽を磨いて上げましょう。」 叔母さんは水だらけに成って鶏を洗ったり、頭を撫でたりして、大騒ぎ。
「鶏さん、おはよう。おお、今朝も立派な卵を皆んな良く産んでくれた。お礼に綺麗な鶏小屋を作って上げよう。今まで、 原っぱで育てて居てごめんね。 おお、可愛い可愛い、鶏さん。」
間も無く立派な鶏り小屋が建てられました。 広い運動ばも作られました。叔母さんも住んでいた古い家を壊して、新しい綺麗な家を建てました。
その内に、叔母さんは段々欲ばった考えを起こして来ました。「鶏は毎日に卵を一つずつ産むけれ ど、 二つずつ産ませたいものだ。はてな、どうしたら二つずつ産むかしら。うん、そうだ。鶏の御馳走を二倍増やせば産むだろう。」
叔母さんは自分の考えがとても上手いと思いました。「私は何て頭が良いのだろう。 今に、お金が家に入り切れない程沢山溜まっ て、 困って仕舞う。」
叔母さんは嬉しくなって踊り出しました。 毎日、鶏に餌を二倍遣りました。鶏はぐんぐん 太りました。 大きく大きく成りました。体が重くなって、動く事が出来ません。
皆んなのそりのそりと歩いて、運動をする事も出来ません。どの鶏も卵を産ま無くなりました。叔母さんが鶏のお腹を叩いて頼んでも、卵は一つも産ま無く成りました。
● イソップ寓話56 豚と駱駝 (돼지와 낙타)
或日、豚と駱駝が散歩の途中で林檎の木を見付けました。「わあっ、美味しそうなの林檎だなあ。豚君、早く食べようよ。」駱駝は大媚びで首を伸ばすと、高い木の枝に生っている林檎を、ぽくぽく食べ始めました。
「駱駝君、僕も食べたいんだけれど背が届かないんだよ・・・。」「ふうん、それは気の毒にね。背が低いと言うのは随分不便なものなんだねえ。」
駱駝は美味しそうに林檎を食べながら、澄ました顔で言いました。或日の事です。豚と駱駝は又散歩に出掛けました。すると、 今度は周りをぐるりと柵で囲んだお芋の畑を見付けました。
「わあっ、美味しそうなお芋だなあ。駱駝君、速く食べようよ。」豚は柵を潜り抜けるとむしゃむしゃ美味しそうにお芋を食べ始めました。
「豚君、僕も食べたいんだけれど背が高過ぎて・・・。」「ふうん、背が高過ぎるのも、不便なものだねえ、 気の毒に。」豚は 澄まして言いました。
● イソップ寓話57. 飛び越え競走 (뛰어넘기 )
「ぴょん吉君、向こうの山へ遊びに行か無いか。」 豚のぶう太が兎のぴょん吉に言いました。 「うん、行こう。」二人は仲良く並んで歩いいて行きました。 良いお天気です。青い空にお日様が眩しく 光っています。
「君達、何処へ行くの。」狐のこん助が駆けて来ました。「向こうの山へ遊びに行くんだよ。」「僕も行こう。」豚は 澄まして言いました。こん助も仲間に入りました。
栗鼠のりす子ちゃんも木から降りて来ました。小鳥のぴい子ちゃんも飛んで来ました。皆んなは声を揃えて、歌を歌い乍ら行きました。
此方の山と向こうの山の間に道が有りました。「やあ、この道を飛びっ越しないか。」 ぴょん吉が言いました。「うん、飛んで見よう。」ぶう太が言いました。
「じゃあ、僕が審判官になるよ。」こん助が言いました。「此方側から向こうの草原まで上手く飛べた者を飛びっ子の選手にしようよ。」
こん助が言うと皆んな賛成 しました。じゃんけんして勝ったので、ぴょん吉が先に飛ぶ事に成りました。「一、二、三。」
ぴょん吉は長い後足で地面を蹴りました。 ぴょうんと飛んで行きました。 けれど、惜しい事に向うの草原にもう少しの所で落ちて仕舞いました。ぴょん吉は其処に立って、 「わっ、残念だ。」と言いました。
今度はぶう太です。 「ぶう太は遠くから駆けて来て、ぽうんと 飛びまし た。所が、ぴょん吉よりももっと 手前で、落ちて 仕舞いました。「おやおや。」
ぶう太はふうふう 息をしながら、頭あたまを描きました。ぴょん吉は 振り返って、 「こん助さん、僕の方が 沢山飛べたから 僕が 選手だね。」と言いました。
するとこん助は、「違うさ。向こうの 草原まで 飛べなかったんだもの、二人とも 選手では無いよ。」と言いまいた。
● イソップ寓話58. 鼠の工夫 (쥐의 궁리)
兄さんと弟の仲良し鼠が居ました。「お兄ちゃん、 鶏の卵が落ちているよ。」「美味しそうだね。転がして家へ運んで食べよ う。」
「でも、あっちへころころ、此方へころころ転がって、上手く運べ無いよ。」困っていると、悪い狐が走って来ました。
「待て、その卵を寄越せ。」 「あっ、 取られては大変だ。弟よ、卵を抱えてひっくり変えれ。お前の尻尾を引っ張って運ぶから。」
「はい、これで良いかい。」「えいさ、えいさ。」兄弟の鼠は卵を巣の中へ上手に運びました。
● イソップ寓話59. 狼と羊飼い (이리와 양치기)
羊飼いの 男の子が山道を帰って来ると、 「助けてくれえ。」と、声が聞こえて来ました。見ると、狼が深い穴に落ちて出られ無いで困っているのでした。
「お願いです。助けて下さい。そうしたら、決して貴方の羊は取りません。」「本当かい。」「本当ですとも。」
そこで、羊飼いは綱で狼の前足を縛って引き上げ様としましたが、上手く行きません。やっと手を伸ばして引き上げました。
狼は穴から出ると、「良くもお前は俺を綱で 縛ろうとしたな。 さあ、食べてやるから、そう思え。」 と、 行き成り飛び掛かりました。
羊飼いは吃驚。「私はお前を助けてやったんじゃないか。 それを食べよう何て恩知らずだ。」男の子と狼が争っていると、 猿が やって来て止めました。
「待ちなさい。何で喧嘩をしているのか、 私が裁判をして上げよう。」 羊飼いの男の子は狼を助けてやったのだと言います。 狼は羊飼いが綱で足を縛ろうとして 酷い目に 会わせたのと言います。
そこで、利口な猿は言いました。「では、 もう一度その時の通りにやって、 私に見せて下さい。」「良いとも。」 狼は穴の中へ 飛び込みました。
すると、「恩知らずの狼さん、何時までも其処にそうして居ると良いよ。」猿は羊飼いの男の子と連れだって、さっさと行って 仕舞いました。
● イソップ寓話60. 雌鳥と小麦 (암탉과 밀)
雌鳥と豚と家鴨が、一つの家に住んでいました。或日の事です。 雌鳥がせっせと畑で 働いていると、のんびりと豚が歌を歌い乍ら通り掛かりました。
「豚さん、豚さん。 」 雌鳥は豚に声を掛けました。 「一緒に畑を耕して下さいな。」「雌鳥さん、畑何か耕してどうするの。」「麦の種を撒くのです。」 「麦の種を播いてどうするの。」
「美味しい麦を沢山実らせるんですよ。」 「麦を実らせてどうするの。」「石臼で碾いて、小麦粉を作るんですよ。」「小麦粉をどうするの。」「美味しいケーキのを作るんです。」「ふううん・・・。」「豚さんも美味しいケーキが食べたいでしょう。」
「それは食べたいさ。ケーキは大好きもの。」「それなら、一緒に畑を耕して下さいな。」「悪いけれど雌鳥さん、僕は面倒な事が大嫌いでね。お手伝いは出来無いよ。」豚はそう言うと、雌鳥の言う事等聞こうともしないで、さっさと行って 仕舞ました。
やがて雌鳥の畑には大粒の見事な麦が沢山沢山実りました。「さあ、石臼で麦を碾いて、沢山小麦粉を作りましょう。」働き者の雌鳥は休む暇のも無く、 今度は重い石臼をごろごろ回して、小麦粉を作り始めました。
「があがあがあ、雌鳥さん、何をしているんですか。」家鴨が通り掛かって雌鳥に声を掛けました。 「あっ、家鴨さん、丁度良い所に来てくれました。 一寸 手伝ってくれませんか。」
「ええっ、私がそんな事、とんでもない。」「でも家鴨さん、こうして置けば、 何時でも美味しいケーキが作れるんですよ。」「 雌鳥さん、私は今とても忙しいんです。ですから、とてもお手伝い何か、している暇は無いんですよ。」
家鴨はそう言うと、お尻を振り振り行って 仕舞ました。ごろ、ごろ、ごろごろ・・・。 重い石臼を雌鳥は一生懸命回し続けて、 真っ白な小麦粉を沢山作りました。
「さあ、皆んな 美味しいケーキを作るから、お手伝いして頂戴ね。」「はい、お母さん。」雌鳥のお母さんは雛達に 手伝って貰って、ケーキを作り始めました。
「小麦粉に卵とお砂糖を混ぜるのよ。それ から牛乳も入れましょうね。」暫くすると、 雌鳥の部屋に美味しそうなケー キの 匂いが一杯に広がりました。 「さあ、焼き上がりましたよ。皆んなテーブルに着きなさい。」
「わあっ、美味しそうだなあ。」雛達は大よろ喜びです。「皆んな、お母さんのお手伝いを有難うね。 さあ、頂きましょう。」
その時、ケーキの匂いに誘われて、豚と家鴨がそっと雌鳥の部屋を覗き込みました。 でも、何もて手伝わ無かった豚と家鴨は、 よだれを流し乍ら、見ているよりほか仕方が有りませんでした。