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● 村の英雄
村から、十二人の男が、粉をひいて貰う爲に、町へ行きました。その帰りの道、森の中をくねくねと曲がりくねって続いている道を、粉の袋を背負ったまま通りました。
その、一人の男が、村を出た時と同じ樣に、仲間が十二人そろったままかどうか、気になりました。そこで、その男は、皆を呼び止めて、人数を數えました。
所が、自分を数えなかったので, 十一人しか居ませんでした。「大変だ!」と、その男は叫びました。「誰かが居ないぞ!」
「居なくなったのは、誰だ?」と、他の男が聞きました。「今度は,お前さんが数えて見て吳れ」と、初めの男が言いました。 そこで、二番目の男が数えました。
この男も自分を数えるのを忘れて仕舞いました。「お前の言う通りだ。全部で十一人しか居ないぞ。誰かが居なくなって仕舞った訳だ」今度は、三番目の男が数えました。やっぱり、自分を数えないで他の男達だけを数えたので、十一人しか居りませんでした。
「大変だ。誰かが道に迷って豹(ひょう)にやられたに違いない」十二人の男達はこの豹に食われて仕舞った男の事を悲しみ始めました。 やっと村に近付いて來ました。十二人の男達は一人の仲間をうっかり見失って仕舞った事を、嘆き悲しみました。
「もっと気を付けてやれば良かったなあ!」と、四番目の男が言いました。
「そうとも,そうとも.遲れない樣に 引っ張って來てやれば良かったなあ、そうすれば、豹なんかに食われなかったろうに」 と、 五番目の男が言いました。
「物凄く大きな豹だったなあ!」と、六番目の男が言いました。「でかいばかりか気違い見たいな雌の豹だったぞ!」と、七番目の男が言いました。「それにしてもあいつは武器も持たないで勇敢に戦ったじゃないか!」と、八番目の男が言いました。
「本当に勇ましいやつだったよ」「この国で一番勇ましいやつだったよ」と、九番目の男が言いました。「怖いなんて言う事は一言も言わなかったぞ!」
「でもなあ、あの勇ましい男が、豹の群れに襲われて、食われて仕舞ったと言ったなら、残された御上さんは、なんと言うかなあ」と、十番目の男が悲しそうに言いました。「これまでなんの苦勞もなかったのに可愛そうな家族じゃないか!」と、十一番目の男が言いました。
「勇敢な奴だったばかりか、親切で優しい奴だったなあ!」と、 十二番目の男が言いました。 十二人の男達は村に着くまで 居なくなった仲間のうわさをし続けました。 そしておいおい泣き乍ら村へ入って行きました。 村人達は驚いて飛び出して來ました。
「おうい、皆の衆、悲しい知らせだ。町からの帰り道に大変な事になって仕舞ったぞ!」と、十二人は声をそろえて話し始めました。居なくなった仲間がどんなに勇敢に豹の群れと戦ったか、それから勇ましく死んで行ったかを話しました。
村人達は大騷ぎで、皆口ぐちに話し始めました。丁度その時一人の小さな女の子が十二人の男が地面に降ろした粉袋の間を步き回って数を数えました。袋は十二ありました。
「お母さん」と、女の子は言いました。
「粉の袋は此所に十二あるよ」
「靜かにおし」と、その子のお母さんが言いました。「偉い人が死んだんだよ」
そう言って、おしゃべりを続けました。
「お母さん」と、又その女の子が言いました。
「此処に粉の袋は十二あるよ。だから十二人が居るはずよ」お母さんは、おしゃべりを止めて袋を数えました。 「袋は十二ある。十二人居るはずだ!」と、お母さんは、大声で言いました。村長さんが町から帰って來た男達を数えました。
「ほう、でも、ちゃんと十二人おるわ。居なくなった奴が戾ったぞ。と 村人達は歓声を上げて大喜びをしました。「彼奴は一人で豹の群れを遣っ付けて帰って來たぞ!」 と、 十二人の內の一人が叫びました。「武器のなしで豹を皆殺しにしたんだぞ!」 と、 別の一人が言いました。
「そんな勇ましい奴がこの村に居る何て素晴らしいじゃないか!」そこで踊りを踊り歌を歌い御馳走を食べて、賑やかなお祭りが行われました。それからずっと、この村では、一人の强くて勇ましい英雄の話が伝えられる樣に成りました。
(再話:ク-ランダ-レスロー/訳:渡辺茂男)
● 村の英雄 (에티오피아의 어느 마을의 영웅)
村から、十二人の男が、粉をひいて貰う為に、町へ行きました。その帰りの道、森の中をくねくねと曲がりくねって続いている道を、粉の袋を背負ったまま通りました。
시골마을의 남자 열두명이 읍내로 밀가루를 만들러 갔다가 돌아오는 도중의 계속되는 구비진 숲길을 밀가루 포대를 등에 진 채 걷고 있었습니다.
その、一人の男が、村を出た時と同じ樣に、仲間が十二人そろったままかどうか、気になりました。そこで、その男は、皆を呼び止めて、人数を數えました。
그중 한 남자가 마을을 떠날 때와 마찬가지로 동료 12명이 모두 그대로인지 궁금했습니다. 그래서 그 남자는 일행을 모두 멈추어 세우고 사람 수를 세었습니다.
所が、自分を数えなかったので、 十一人しか居ませんでした。「大変だ!」と、その男は叫びました。「誰かが居ないぞ!」
「居なくなったのは、誰だ?」と、他の男が聞きました。「今度は,お前さんが数えて見て吳れ」と、初めの男が言いました。 そこで、二番目の男が数えました。
그런데 자신을 세지 않았기 때문에 11명 밖에 되지 않았습니다. "큰일 났다." 라고 그 남자는 외쳤습니다. "누군가가 없어졌다." "없어진 사람이 누구냐?" 라고 다른 한 사람이 말했습니다. "이번엔 당신이 한 번 세어 봐 주게."라고 처음 말을 꺼낸 남자가 말했습니다. 그래서 두번 째의 남자가 세어 보았습니다.
この男も自分を数えるのを忘れて仕舞いました。「お前の言う通りだ。全部で十一人しか居ないぞ。誰かが居なくなって仕舞った訳だ」今度は、三番目の男が数えました。やっぱり、自分を数えないで他の男達だけを数えたので、十一人しか居りませんでした。
이 남자도 자신을 세는 것을 잊어버렸습니다. "자네가 말한 그대로다. 모두 11명 밖엔 없다. 누군가가 없어진게 틀림없다." 그래서 이번엔 세번째 남자가 세어 보았습니다. 역시 이 남자도 자신을 세지 않고 나머지 남자들만 세었기 때문에 11명 밖엔 없었습니다.
「大変だ。誰かが道に迷って豹(ひょう)にやられたに違いない」十二人の男達はこの豹に食われて仕舞った男の事を悲しみ始めました。 やっと村に近付いて來ました。十二人の男達は一人の仲間をうっかり見失って仕舞った事を、嘆き悲しみました。
"큰일이다. 구군가가 길을 잃고 헤메다가 표범에게 잡혀 먹힌 게 틀림없다." 12명의 남자들은 표범에게 잡혀 먹힌 남자를 가엽게 생각하면서 마을 가까이까지 왔습니다. 12명의 남자들은 한명의 동료를 잘못하여 잃게 된 것을 매우 애통해 했습니다.
「もっと気を付けてやれば良かったなあ!」と、四番目の男が言いました。
「そうとも、そうとも。遲れない樣に引っ張って來てやれば良かったなあ、そうすれば、豹なんかに食われなかったろうに」 と、 五番目の男が言いました。
"우리가 좀더 신경을 썼더라면 좋았을 텐데." 라고 네번째 남자가 말했습니다. "그렇고 말고. 뒤쳐지지 않도록 이끌고 왔으먼 좋았을 텐데, 그랬다면 표범에게 잡아먹히지 않았을 건데." 라고 다섯번째 남자가 말했습니다.
「物凄く大きな豹だったなあ!」と、六番目の男が言いました。「でかいばかりか気違い見たいな雌の豹だったぞ!」と、七番目の男が言いました。「それにしてもあいつは武器も持たないで勇敢に戦ったじゃないか!」と、八番目の男が言いました。
"굉장히 큰 표범이었을 거 같다." 라고 여섯번째 남자가 말했습니다. "덩치가 클 뿐더러 미친 것 같은 숫표볌인 것 같아." 라고 일곱번째 남자가 말했습니다. "그렇다 하더라도 그 사람은 무기도 없이 맨손으로 용감하게 싸운 것 같아." 라고 여듧번째 남자가 말했습니다.
「本当に勇ましいやつだったよ」「この国で一番勇ましいやつだったよ」と、九番目の男が言いました。「怖いなんて言う事は一言も言わなかったぞ!」
"정말로 용감한 사람인 것 같아요. 이 나라에서 제일 용감한 사람인 것 같아요." 라고 아홉번째 남자가 먈했습니다. "무섭다는 말 한마디도 하지 않은 것 같아요."
「でもなあ、あの勇ましい男が、豹の群れに襲われて、食われて仕舞ったと言ったなら、残された御上さんは、なんと言うかなあ」と、十番目の男が悲しそうに言いました。「これまでなんの苦勞もなかったのに可愛そうな家族じゃないか!」と、十一番目の男が言いました。
"하지만 그 용감한 남자가 표범 무리에게 습격 당해 먹혀버렸다고 말하면 혼자 남은 그의 부인은 얼마나 슬퍼할까." 라고 열번째의 남자가 말했습니다. "이제까지 아무 걱정없던 가족들이 너무 가엾다는 생각이 들어요." 라고 열한번째 남자가 말햇습니다.
「勇敢な奴だったばかりか、親切で優しい奴だったなあ!」と、 十二番目の男が言いました。 十二人の男達は村に着くまで 居なくなった仲間のうわさをし続けました。 そしておいおい泣き乍ら村へ入って行きました。 村人達は驚いて飛び出して來ました。
"그 사람은 용감했을 뿐만 아니라 친절하고 상냥한 사람이었어요." 라고 열두번째 남자가 말했습니다. 12명의 남자들이 마을에 도착할 때까지 사라진 동료에 대한 얘기를 계속하였습니다. 그리고 엉엉 울면서 마을로 들어섰습니다. 마을 사람들은 깜짝 놀라서 뛰어 나왔습니다.
「おうい、皆の衆、悲しい知らせだ。町からの帰り道に大変な事になって仕舞ったぞ!」と、十二人は声をそろえて話し始めました。居なくなった仲間がどんなに勇敢に豹の群れと戦ったか、それから勇ましく死んで行ったかを話しました。
"여러분들 슬픈 소식입니다. 읍내에서 돌아오는 길에 큰일을 당했습니다." 라고 12명의 남자들이 이구동성으로 이야기를 시작하였습니다. 사라진 그 동료가 얼마나 용감하게 표범의 무리들과 싸웠는지, 그리고 장렬하게 죽었는지를 이야기하였습니다.
村人達は大騷ぎで、皆口ぐちに話し始めました。丁度その時一人の小さな女の子が十二人の男が地面に降ろした粉袋の間を步き回って数を数えました。袋は十二ありました。
이 소식에 마을에는 큰 소동이 나서 모두들 저마다 한마디씩 하며 어수선하였습니다. 바로 이 때 한 소녀가 12명의 남자가 땅 위에 내려놓은 밀가루 포대 사이를 돌아다니며 그 포대 수를 세어 보았습니다. 포대 갯수는 12개였습니다.
「お母さん」と、女の子は言いました。
「粉の袋は此所に十二あるよ」
「靜かにおし」と、その子のお母さんが言いました。「偉い人が死んだんだよ」
そう言って、おしゃべりを続けました。
"엄마, 밀가루 포대는 여기에 열두개가 있어요." "조용히 해라. 훌륭한 분이 돌아가셨단다." 라고 그 아이의 어머니는 말했습니다. 그리고는 옆 사람과의 수다를 계속하였습니다.
「お母さん」と、又その女の子が言いました。「此処に粉の袋は十二あるよ。だから十二人が居るはずよ」お母さんは、おしゃべりを止めて袋を数えました。 「袋は十二ある。十二人居るはずだ!」と、お母さんは、大声で言いました。村長さんが町から帰って來た男達を数えました。
"엄마, 여기에 밀가루포대가 12개가 있어요. 그러니까 12명 모두가 돌아온 것이 맞다니까요." 라고 소녀가 재차 말했습니다. 그러자 어머니는 옆 사람과의 수다를 멈추고 포대 수를 세어보았습니다.
"포대는 12개가 있다. 12명이 돌아온 것이 틀림없다!" 라고 소녀의 어머니는 큰 소리로 외쳤습니다. 그러자 마을의 촌장님이 읍내에서 돌아온 남자들을 세어보았습니다.
「ほう、でも、ちゃんと十二人おるわ。居なくなった奴が戾ったぞ。 」と 村人達は歓声を上げて大喜びをしました。「彼奴は一人で豹の群れを遣っ付けて帰って來たぞ!」 と、 十二人の內の一人が叫びました。「武器のなしで豹を皆殺しにしたんだぞ!」 と、 別の一人が言いました。
"그렇군, 꼭 12명 모두가 다 있군. 사라졌던 사람이 돌아온 것이다." 라고 촌장이 말하자 마을 사람들은 환성을 지르며 기뻐했습니다. "그 사람은 무기도 없이 혼자서 표범 무리들을 무찌르고 돌아운 것이다!" 라고 12명 중의 한 사람이 외쳤습니다. "무기도 없이 표범을 모두 해치운 것이다!" 라고 또 다른 한 사람이 말했습니다.
「そんな勇ましい奴がこの村に居る何て素晴らしいじゃないか!」そこで踊りを踊り歌を歌い御馳走を食べて、賑やかなお祭りが行われました。それからずっと、この村では、一人の强くて勇ましい英雄の話が伝えられる樣に成りました。
(再話:ク-ランダ-レスロー/訳:渡辺茂男)
"그렇게 용감한 사람이 우리 마을에 있다니 얼마나 자랑스러운 일인가!" 라며 온 마을 사람들이 춤을 추며 노래를 부르며 음식을 먹으며 성대한 잔치를 벌였습니다. 그로부터 이 마을에는 한 사람의 강하고 용감감한 영웅의 이야기가 계속 전해지게 되었습니다.
(재화: 크란다 레슬로/번역: 와타나베시게오)
(渡辺 茂男: 日本の児童文学者、翻訳家。
元慶應義塾大学文学部図書館学科教授。
1928年3月20日~2006年11月18日)
*再話(ざいわ): 전설 설화 등을 옛날 이야기 식으로 다시 쓴것.