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● 一飛び/단숨에 뛰어 내리기
ある船が世界をひと回りして、国へ帰るとちゅうであった。ある日のこと、その日は天気もよく波も靜かだった。船に乘り組んでいた人たちは大部分かんぱんに出ていた。一匹の大ざるが、かんぱんをとび回ってみんなを喜ばせていた。
さるはへんなかっこうをしたりこっけいな顔つきをしたり人の真似をしたりしていた。さるはみんなのおもしろがるのがわかるらしくいい気になっていろいろな芸当をしているのだった。
そのうちにさるはひとりの少年のそばにとんでいったかと思うと、いきなり少年のぼうしをうばい取り、それを自分の頭にひょいとのせて、するするとマストの上へ登っていった。少年はことし十二才、船長のむすこである。みんなは、どっとわらいだした。
少年はわらったらいいのか、はらをたてたらいいのか、自分でもわからない気持ちだった。さるはいちばん下のほげたにこしをおろして頭からぼうしを取ると、口と手でそれを引きさき始めた。そして少年をからかうように指さしをしたりへんてこな顔をしてみせたりした。見ている人はいっそう大きな声でわらいだした。
少年はまっかになって、上着をぬぎすて、 さるのあとを追ってなわばしごにとびついた。そしてみるみるうちに一のほげたまで登った。しかし、さるのほうは、少年よりもっとすばしこかった。少年がぼうしをつかもうとしたしゅんかんに、もっと上へ上がってしまった。
「よし、今度こそにがさないぞ」少年は、 そうさけんで、さらに上へよじ登っていった。さるは「ここまでおいで」と、少年をからかってでもいるように、あいてをそばまでおびきよせておいては、ずんずん高く登っていく。少年も負けるものかと意地になって追いかけていく。こうして、あれよあれよというまに、さると少年は、いちばん上のほげたまで登ってしまった。
さるは、そこまで來ると、後ろ足でつなにつかまりながら、からだを思いきりのばしほげたのはしに、ぼうしをかけてしまった。 そして自分はマストのてっぺんの旗のある所まで登って、へんな身ぶりをしながら、 白い歯をむき出してわらうのだった。
マストからほげたのはしまでは、一メ-トル半ほどである。つなとマストから手を放さなければ、ぼうしを取ることはできない。むちゅうになっている少年はマストから手を放しほげた伝いに步き始めたのだ。 かんぱんの上では、はじめ、みんながさると少年の追いかけっこをおもしろがって見ていた。
しかし少年がつなを放して両手をふりながらほげたの上を步きだしたのを見ては、わらうところではなくなった。あまりのおそろしさにみんな、はっと息をのんだ。あたりは急にひっそりと靜かになってしまった。もし一步でもふみはずしたら少年はかんぱんについらくしてしまうだろう。
たとえ足をふみはずさなかったとしても、 ほげたのはしまで步いていってぼうしを取り、それから向き直ってマストまでひき返す、ということは、とてもできそうなことではないのだ。一同はむごんのままどうなることかとはらはらしながら手にあせをにぎって少年を見つめていた。
この時あまりのおそろしさに 「あっ」と聲を出した者があった。少年はその声を聞いて、はっとわれに返った。ふと下を見おろした時、少年は、思わずよろよろした。 ちょうどその時、少年の父の船長が愛用の鉄ぽうを持って船室から出てきた。船長はかもめをうとうと思って出てきたのだ。
船長はほげたの上に立っているわが子を見るが早いか、すぐに鉄ぽうをかまえて、わが子にねらいをつけた。そしてさけんだ。 「海へとべ.すぐ海へとびこめ!そうしないと、うつぞ」少年は、父のことばがよくのみこめないらしい。父はふたたびさけんだ。「とびこめと言ったら、早く、いいか… 一、二 … 」
父が「三」というかけ声をかけると同時に,少年は,勇気を出して、ざんぶと海にとびこんだ。少年のからだが波にのまれるか、のまれないかという時に、二十人のたくましい水夫たちが、ひき続いてザブンザブンと、船から海へとびこんだ。
四十秒ばかりたって(この四十秒は、みんなにとって、たまらなく長く思われた)、 少年のからだは、ぽっかりと水面にうき上がった。海へとびこんだ水夫たちは、さっそく少年を船にすくい上げた。数分後、少年は口から水をはき出して「フ-ッ」と息をふき返した。
船長はこれを見るとまるで何かにのどをしめられてもしたように、とつぜん大きなうめき声を出した。そして、ないているところを人に見られないようにと、急いで自分の船室にかけこんだ。
(作 トルストイ)
● 一飛び (단숨에 뛰어 내리기)
ある船が世界をひと回りして、国へ帰るとちゅうであった。ある日のこと、その日は天気もよく、波も靜かだった。船に乘り組んでいた人たちは大部分かんぱんに出ていた。一匹の大ざるが、かんぱんをとび回ってみんなを喜ばせていた。
한 배가 세계를 일주하고 귀국하는 도중의 어느 날이었다. 그날은 날씨도 맑고 파도도 잠잠하였다. 배에 타고 있던 대부분의 사람들은 갑판에 나와 있었다. 커다란 원숭이 한 마리가 깁판을 뛰어다니며 부리는 재롱에 모두가 즐거워하고 있었다.
さるはへんなかっこうをしたりこっけいな顔つきをしたり人の真似をしたりしていた。さるはみんなのおもしろがるのがわかるらしくいい気になっていろいろな芸当をしているのだった。
원숭이는 짓궂은 행동을 하거나 우스꽝스런 표정을 지으며 사람 흉내를 내기도 하고 있었다. 원숭이는 모두가 즐거워하고 있는 것을 알기라도 하는 듯이 기분이 한껏 고조되어 여러가지 재주를 부리고 있었다.
そのうちにさるはひとりの少年のそばにとんでいったかと思うと、いきなり少年のぼうしをうばい取り、それを自分の頭にひょいとのせて、するするとマストの上へ登っていった。少年はことし十二才、船長のむすこである。みんなは、どっとわらいだした。
그러던 중 원숭이는 한 소년 옆으로 다가가자 마자 갑자기 그 소년의 모자를 낚아채고는 자신의 머리에 눌러 쓰고 재빨리 돛대 위로 올라갔다. 소년은 올해 12살인 선장의 아들이었다. 모두는 와하고 환성을 질렀다.
少年はわらったらいいのか、はらをたてたらいいのか、自分でもわからない気持ちだった。さるはいちばん下のほげたにこしをおろして頭からぼうしを取ると、口と手でそれを引きさき始めた。そして少年をからかうように指さしをしたりへんてこな顔をしてみせたりした。見ている人はいっそう大きな声でわらいだした。
소년은 웃어야 할지 화를 내야 할지 자신도 모를 기분이 되었다. 원숭이는 돛대의 제일 하단에 걸터 앉아 머리에 쓰고 있던 모자를 벗어 들고 입과 손으로 그 모자를 찢기 시작했다. 그리고는 소년을 조롱아라도 하는 듯이 손짓을 하기도하고 괴상한 표정을 지어 보이기도 하였다. 보고 있는 사람들은 한층 더 큰 환성을 질렀다.
少年はまっかになって、上着をぬぎすて、 さるのあとを追ってなわばしごにとびついた。そしてみるみるうちに一のほげたまで登った。しかし、さるのほうは、少年よりもっとすばしこかった。少年がぼうしをつかもうとしたしゅんかんに、もっと上へ上がってしまった。
소년은 얼굴이 벌게져 상의를 벗어 던지고 원숭이의 뒤를 좇아 줄사다리로 뛰어가 오르기 시작했다. 그리고 순식간에 돛대의 제일 하단에까지 올라갔다. 그러나 원숭이는 더 빨랐다. 소년이 모자를 잡으러고 하자 더 높은 곳으로 올라가 버렸다.
「よし、今度こそにがさないぞ」少年は、 そうさけんで、さらに上へよじ登っていった。さるは「ここまでおいで」と、少年をからかってでもいるように、あいてをそばまでおびきよせておいては、ずんずん高く登っていく。少年も負けるものかと意地になって追いかけていく。こうして、あれよあれよというまに、さると少年は、いちばん上のほげたまで登ってしまった。
"좋아, 이번이야말로 놓치지 않겠다." 소년은 그렇게 외치고 다시 기어 올라갔다. 원숭이는 "이곳까지 와봐라." 라는 듯이 소년을 조롱하는 투로 소년이 가까이 오면 다시 더 높은 곳으로 올라가는 것이다. 소년도 지지 않고 오기를 내어 좇아 가고 있다. 이렇게 하여 아니 저런저런 하는 사이에 원숭이와 소년은 돛대의 제일 상단까지 올라가 버렸다.
さるは、そこまで來ると、後ろ足でつなにつかまりながら、からだを思いきりのばしほげたのはしに、ぼうしをかけてしまった。 そして自分はマストのてっぺんの旗のある所まで登って、へんな身ぶりをしながら、 白い歯をむき出してわらうのだった。
원숭이는 그곳까지 오자 뒷다리로 밧줄에 매달리면서 팔을 힘껏 펼쳐 최상단 돛대의 끝에 모자를 걸어 놓아 버렸다. 그리고는 자신은 돛대기둥의 제일 꼭대기의 깃발이 걸린 곳까지 올라가서는 이상한 몸동작을 하면서 흰 이빨을 보이며 웃고 있는 것이었다.
マストからほげたのはしまでは、一メ-トル半ほどである。つなとマストから手を放さなければ、ぼうしを取ることはできない。むちゅうになっている少年はマストから手を放しほげた伝いに步き始めたのだ。 かんぱんの上では、はじめ、みんながさると少年の追いかけっこをおもしろがって見ていた。
돛대기둥에서 상단돛대의 끝까지의 거리는 1.5 미터 정도였다. 밧줄과 돛대기둥에서 손을 놓지 않으면 모자를 집을 수 없는 거리이다. 몰두하고 있던 소년은 돛대기둥에서 손을 놓고 돛대의 끝 쪽으로 걷기 시작한 것이다. 갑판 위에서는 처음엔 모두가 원숭이와 소년의 술레잡기 놀이를 재미있게 보고 있었다.
しかし少年がつなを放して両手をふりながらほげたの上を步きだしたのを見ては、わらうところではなくなった。あまりのおそろしさにみんな、はっと息をのんだ。あたりは急にひっそりと靜かになってしまった。もし一步でもふみはずしたら少年はかんぱんについらくしてしまうだろう。
그러나 소년이 밧줄에서 손을 놓고 두 팔을 허우적거리며 돛대 위를 걷기 시작하는 것을 보고는 재미있어 할 일이 아니었다. 너무나도 아찔한 광경에 모두들 침을 삼켜고 있었다. 갑판 위는 갑자기 조용한 침묵만 감돌았다. 만약 한 발만이라도 헛디디면 소년은 갑판으로 추락하고 마는 것이다.
たとえ足をふみはずさなかったとしても、 ほげたのはしまで步いていってぼうしを取り、それから向き直ってマストまでひき返す、ということは、とてもできそうなことではないのだ。一同はむごんのままどうなることかとはらはらしながら手にあせをにぎって少年を見つめていた。
설령 발을 헛디디지 않고 돛대의 끝까지 걸어가서 모자를 집는다 하더라도 방향을 되돌려 돛대기둥까지 되돌아 온다는 것은 아무리 생각해도 불가능한 일이다. 갑판 위의 모두는 침묵 속에서 사태가 어떻게 전개될 것인가 하고 손에 땀을 쥐고 소년을 응시하고 있었다.
この時あまりのおそろしさに 「あっ」と聲を出した者があった。少年はその声を聞いて、はっとわれに返った。ふと下を見おろした時、少年は、思わずよろよろした。 ちょうどその時、少年の父の船長が愛用の鉄ぽうを持って船室から出てきた。船長はかもめをうとうと思って出てきたのだ。
이때 너무나도 긴장한 나머지 "앗"하고 소리를 낸 사람이 있었다. 소년은 그 소리를 듣고 번쩍 정신이 들었다. 문득 아래를 내려다 본 순간 소년은 응겁결에 비틀비틀 하였다. 마침 그때 소년의 아버지인 선장이 애용하는 총을 가지고 선실에서 나왔다. 선장은 갈매기를 쏘러고 나온 것이었다.
船長はほげたの上に立っているわが子を見るが早いか、すぐに鉄ぽうをかまえて、わが子にねらいをつけた。そしてさけんだ。 「海へとべ.すぐ海へとびこめ!そうしないと、うつぞ」少年は、父のことばがよくのみこめないらしい。父はふたたびさけんだ。「とびこめと言ったら、早く、いいか… 一、二 … 」
선장은 돛대 위에 서 있는 아들을 보자마자 곧바로 총을 들어 올리고는 아들을 향해 겨냥을 하였다. 그리고는 외쳤다. "바다로 뛰어. 바로 바다로 뛰어 내려! 그러지 않으면 총을 쏘겠다." 소년은 아버지의 말을 알아 듣지 못하는 것 같았다. 아버지는 다시 외쳤다. "뛰어 내리라니까 빨리 알겠는가... 하나 둘..."
父が「三」というかけ声をかけると同時に、少年は、勇気を出して、ざんぶと海にとびこんだ。少年のからだが波にのまれるか、のまれないかという時に、二十人のたくましい水夫たちが、ひき続いてザブンザブンと、船から海へとびこんだ。
아버지가 "셋" 이라고 소리침과 동시에 소년은 용기를 내어 풍덩하고 바다로 뛰어 내렸다. 소년의 몸이 파도에 파묻힐듯 말듯 하고 있는 사이에 20명의 건장한 선원들이 연이어서 풍덩 풍덩 배어서 바다로 뛰어 내렸다.
四十秒ばかりたって(この四十秒は、みんなにとって、たまらなく長く思われた)、 少年のからだは、ぽっかりと水面にうき上がった。海へとびこんだ水夫たちは、さっそく少年を船にすくい上げた。数分後、少年は口から水をはき出して「フ-ッ」 と息をふき返した。
꼭 40초가 지나서(이 40초는 모두에게 있어서 견딜 수 없이 길게 느껴졌다), 소년의 몸은 배 위로 건져저 올라오게 되었다. 수 분 후 소년은 입에서 물을 토해 내며 의식이 돌아왔다.
船長はこれを見るとまるで何かにのどをしめられてもしたように、とつぜん大きなうめき声を出した。そして、ないているところを人に見られないようにと、急いで自分の船室にかけこんだ。
(作 トルストイ)
선장은 이를 지켜보다가 뭔가에 목이 조인듯이 돌연 커다란 울먹임의 소리를 내었다. 그리고는 울고 있는 모습을 다른 사람들에게 보이지 않게 하려고 서둘러 자신의 선실로 뛰어 갔다. (글쓴이 : 톨스토이)