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免疫チェックポイント阻害薬による治療を中止した進行大腸がん患者の多くは、治療中止から2年後でもがんが進行していないことが、新たな研究で確認された。本研究論文の上席著者である米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの消化器腫瘍内科のVan Karlyle Morris氏は、「ほとんどの患者のがんが治療中止後も進行しなかったという事実は、医師から治療の中止を提案された患者を安堵させるはずだ」と話している。
免疫チェックポイント阻害薬は、多くの大腸がん患者に新たな希望をもたらしている。通常、この治療薬により腫瘍が収縮するか安定化した場合には、医師は患者に治療の中止を提案する。当然のことながら、患者は、効果が現れている上に副作用も少ない治療を中止することに不安を抱く。Morris氏は、「ステージ4の大腸がん患者が、治療を中止した場合の再発リスクを心配するのは当然だ。この研究に着手した当初、われわれはそのリスクがどの程度のものなのかを知らなかった」と米国がん学会のニュースリリースで述べている。
この研究では、DNAミスマッチ修復機能欠損(dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の転移性大腸がんまたは進行大腸がんと診断され、2014年から2022年の間に免疫療法を受けて奏効が確認された患者64人(免疫療法開始時の年齢中央値64歳)の医療データが後ろ向きに評価された。これらの患者は、治療開始時にがんの切除は不可能と判断され、キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)やオプジーボ(一般名ニボルマブ)などのヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体単剤での、あるいはヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体との併用による免疫療法を受け、治療効果(48人)または副作用(16人)を理由に免疫療法を中止していた。免疫療法を受けた期間の中央値は17.6カ月(範囲1.3〜51.9カ月)だった。
治療再開後も効果大きく
その結果、治療中止から中央値22.6カ月(範囲0.3〜71.7カ月)後でも88%(56/64人)の患者でがんは進行していないことが確認された。全患者での無増悪生存期間の中央値は53.9カ月であり、治療中止から1、2、3年後の無増悪生存率は、同順で98%、91%、84%と推定された。この結果は、免疫療法の中止理由にかかわりなく同様であった。8人の患者で認められた再発/進行は肺転移とのみ有意な関連を示し、共存変異や原発巣の位置、免疫療法との関連は有意ではなかった。再発/進行が認められた8人中7人で免疫療法が再開され、治療完了時には全員で奏効または病勢の安定が認められたという。最終的に2人が死亡したが、うち1人の死因はがんとは無関係だった。
Morris氏は、「BRAF遺伝子変異を持つ患者の治療を中止するのは気が進まないという話をがん専門医からよく聞くが、この研究では、変異の有無とがん再発の可能性との間に関連性は認められなかった」と述べている。
ただし、研究グループは、本研究が単施設で実施された小規模な後ろ向き研究である点を強調している。本研究は米国国立がん研究所(NCI)から資金提供を受けて実施された。
(HealthDay News 2023年12月20日)
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