健康的な体重、もしくは適正体重を少しオーバーしている人では、1日の摂取カロリーを300kcal減らすだけで、コレステロール値や血圧、血糖値などが有意に改善し、糖尿病や心疾患リスクを低減できる可能性が、米デューク大学教授のWilliam Kraus氏らにより報告された。研究の詳細は「The Lancet Diabetes & Endocrinology」7月11日オンライン版に掲載された。
「肥満」になる手前の人たちにカロリー制限
今回の研究は、肥満でない健康な人におけるカロリー制限の有効性を調べるCALERIE試験の一部として行われたもの。米国の3カ所の診療施設において、BMIが22.0・27.9kg/m2の肥満ではない21~50歳の成人男女218人を、1日の摂取カロリーを25%制限する群(143人)、または自由に食事を摂取する群(75人)にランダムに割り付け、2年間にわたるカロリー制限が健康に及ぼす影響について調べた。
その結果、カロリー制限群では、指示された25%を達成できるかどうかには差があったが、摂取カロリーが平均で11.9%(1日約300kcal)減っていた。体重は平均7.5kg減少し、その71%は脂肪だった。一方、対照群では0.1kgの体重増加が認められた。
また、カロリー制限群では、研究開始から2年後のコレステロール値や血圧、血糖値、そのほかの代謝疾患のリスクマーカーの値が、研究開始時に比べ有意に低下した。さらに、C反応性蛋白の値やインスリン感受性など、心疾患やがん、認知機能低下に関連する慢性炎症のバイオマーカーの値も、研究開始時に比べ有意に改善していた。
「ちょっとした努力でカロリーを減らせる」
これらの結果を踏まえ、Kraus氏らは、「今回の研究で用いた25%という厳しいカロリー削減でなくても、糖尿病や心血管疾患のリスクを低減できることが示された。夕食後にスナックを食べないようにするといったちょっとした努力で、カロリーは簡単に減らすことができる」と話している。
また、Kraus氏らは、「何がこうした心血管代謝リスクの低減と関連しているのか、そのメカニズムはまだ分かっていないが、カロリー制限には何かがある」として、カロリー制限の有効性に期待を示している。同氏らはすでに、今回の研究への参加者から血液や筋肉、そのほかの試料を収集しており、「この代謝シグナルや〝魔法の分子″が何であるのかを解明すべく、今後も調査を続けていきたい」と話している。(HealthDay News 2019年7月12日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
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