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毎日新聞 2022/3/3 東京朝刊 有料記事 792文字
ガソリンスタンドの給油機= 東京都内で、米田堅持撮影
なるほドリ ガソリンの値段が高いね。値段を下げるための「トリガー条項(じょうこう)」という言葉を聞くようになったけど、どういうものなの?
記者 「トリガー」は「引き金」という意味で、あらかじめ定めた一定の条件を満たすと発動される価格抑制策が「トリガー条項」です。具体的には、総務省が毎月発表するガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で1リットルあたり160円を上回った場合に、ガソリンにかけている税金を減らします。ガソリンには消費税とは別に、1リットルあたり53・8円のガソリン税をかけていて、このうち25・1円を減らします。軽油(けいゆ)にかけている税金も同様に17・1円を減らします。
Q あれ? 3カ月連続で160円を超えているみたいだけど、発動されていないね?
A 実は、今のままでは条件を満たしても発動できません。トリガー条項は旧民主党政権下の2010年に導入(どうにゅう)されました。ところが、翌11年に東日本大震災が発生。復興(ふっこう)のために使うお金を確保しなければいけなくなり、減税する余裕がなくなりました。発動すると、一定期間後には確実にガソリン価格が下がります。それを見越してドライバーが買い控え、価格が下がった瞬間を狙ってガソリンスタンドに行列を作る懸念も広がり、条項を使えなくしてしまったのです。条項の復活には法律の改正が必要です。
Q 実際に復活しそうなの?
A ガソリンスタンドなど流通現場の混乱や税収(ぜいしゅう)が大きく減るというデメリットがあるため、政府・与党はトリガー条項の復活には慎重で、石油の元売り会社に補助金を出すことでガソリン価格を抑える対策を行ってきました。ただ、ウクライナ情勢がますます緊迫化し、原油価格が高い状況がしばらく続きそうです。そのため、岸田文雄首相はトリガー条項も含めた追加の対策を検討していくとしています。(経済部)