寒い廊下や脱衣所から、熱いお風呂に入ったときに起こりやすい「ヒートショック」対策として、廊下や脱衣所を暖める家が増えています。しかし、家の中では意外なところでも温度差が発生しています。どんな場所、どんな点に注意すればよいでしょうか。
血圧や心拍数の乱高下を防ぐために
ヒートショックは屋内で急激な温度差の影響を受けることで、血圧や心拍数が乱高下し、脳血管障害や心血管障害などを引き起こす要因となります。浴室やトイレなどで起こりやすいことが知られていますが、意外にも同じ居室内でも温度差が発生しています。
暖房をかけているのに座っていると足元が寒い、立ち上がったときに頭のあたりは暖かいのに床が冷たいなどといった経験をしたことはないでしょうか。窓の近くで外気によって冷やされた空気は、床に沿って室内に広がります。冷たい空気は温かい空気よりも重いため、エアコンなどの暖房をつけても、下方に冷気がたまってしまうのです。
天井と床で5℃以上の温度差も
これは「コールドドラフト現象」と呼ばれるもので、不快な冷感をもたらす空気の流れを指します。同じ室内でも、天井付近と床で5℃以上の温度差が生まれることもあります。では、コールドドラフト現象を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
すきま風とは異なるため、いくら窓やドアのすきまを埋めても防ぐことはできません。ポイントは、窓近くの空気をできるだけ冷やさないこと。断熱性の高い家にする、二重窓にするなどのリフォームまでは行わないにしても、ちょっとした工夫で温度差を少なくすることができます。
カーテンは床まで 雨戸は日没前に閉める
まず、カーテンを厚手で床に届く長いものにします。室内の熱は半分程度が窓から逃げると言われており、雨戸がある場合は日没前に閉めると効果的です。逆に、昼の時間帯は雨戸やカーテンを開けて、日光を室内に入れましょう。窓ガラス用の断熱シート、ビニールカーテンなど、市販のグッズを使うのもいいでしょう。
空気を循環 ベッドは窓から離す
室温を均一に保つために空気を循環させるには、サーキュレーターが有効です。扇風機とは異なり、サーキュレーターの風は直線的で遠くまで届きます。エアコンと対角線上の部屋のすみに置き、エアコンに向けて風を送るように設置してください。ただし、室内にいる人に直接風が当たらないようにします。
寝室でも注意が必要です。床に布団を敷いて就寝している場合、窓から遠い位置に布団を敷く。ベッドの場合も、窓から離して設置するのがおすすめ。エアコンを適宜活用して、空気を循環させる工夫もしましょう。ほかに、台所の足元、勉強机の下などでは、足用のホットカーペットなどを用いると効果的です。
コールドドラフト現象は、寒の戻りや朝晩の大きな温度差などから、春先も油断は禁物です。まずは、できることから実践してみましょう。
監修:南雲久美子(目黒西口クリニック院長)