無人のドローン(小型無人飛行機)と救急隊員のどちらが先に、心停止したという想定の模擬患者のもとに、自動体外式除細動器(AED)を届けられるかを競った結果、ドローンの圧勝だった――。こんな結果を、カナダのSunnybrook Center for Prehospital Medicineで診療部長を務めるSheldon Cheskes氏らが、米国心臓協会(AHA)の蘇生科学シンポジウム(ReSS 2019、11月16~17日、米フィラデルフィア)で発表した。同氏らは、ドローンによるAED輸送システムの実用化には、今後1年もかからないとの見通しを示している。
この結果について、米アラバマ大学バーミンガム校傷害科学センター准教授のMichael C. Kurz氏は「EMSサービスから距離が離れているほど、ドローンによる輸送サービスのベネフィットは大きい可能性が示された」と説明。同氏は今回の研究には関与していないが、「公共の場や大型施設へのAED設置の費用対効果が低い地域や、地形的に救急隊が現場に到着するまで時間がかかる農村部では、ドローンの技術が状況を一変させる可能性がある」との見方を示している。