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Q 多血症、処方薬の注意点
30歳の次女が多血症と診断され、血液をサラサラにする薬を処方されました。生理の時に大量出血してしまったのですが、どうすればよいでしょうか。(大阪府、女性、56歳)
A 生理前に服薬中断も
多血症は、血液に含まれる赤血球の量が多くなる病気です。赤血球そのものが増える絶対的多血症と、脱水などにより液体成分が少なくなる相対的多血症とに分かれます。
絶対的多血症でも特に深刻なのは、血液を作る遺伝子が突然変異し、赤血球が過剰に産生される真性多血症です。10万人に1、2人程度の割合で発症し、現状では完治しません。血液の粘性が高まって頭痛や耳鳴り、皮膚の紅潮といった症状が出ますが、最も注意すべきなのは血管が詰まって血栓症が起こりやすくなることです。60歳以上で脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞など血栓症の既往歴がある人は特にリスクが高いです。
真性多血症の治療には、血液を固める機能を抑えるアスピリンの処方や、血を抜く瀉血(しゃけつ)のほか、リスクが高い人には変異した遺伝子の働きを弱める薬や抗がん剤を使います。アスピリンを服用すると出血しやすくなる場合もあり、生理や抜歯などの際は5日ほど前から服用の中断をおすすめしています。
妊婦は血栓症を起こしやすく、流産や死産の恐れもあるため、インターフェロン注射をすることがあります。慢性骨髄性白血病にも使われていますが、真性多血症には公的医療保険が適用されず費用がかさみます。注射頻度が少なく済む別のタイプのインターフェロンは、日本ではまだ承認されていません。
多血症の原因はさまざまです。健康診断などで赤血球が異常に多いことが分かったら、専門医がいる病院でまず原因を特定することが重要です。【聞き手・野村房代】
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