Q 腰椎(ようつい)すべり症で悩んでいます。足の裏に痛みが走り、右足がしびれていて、排便も困難です。どうしたらいいでしょうか。(大阪府羽曳野市、女性、89歳)
A 症状が軽ければ保存療法を選びます。コルセットを巻くなどして腰への負担を軽くし、鎮痛薬や、神経の興奮を抑えて痛みを取るブロック注射で症状の改善を図ります。それでも改善しなければ手術も検討します。金属などを使って腰椎を固定し、すべりを矯正します。
腰椎は、五つの椎体骨が椎間板と交互に積み重なり、背骨の一部を構成しています。この椎体骨が前方にすべり出て、いろんな症状を引き起こす病気が「腰椎すべり症」です。
腰椎すべり症は加齢に伴う変性すべり症と、元々ある分離すべり症(腰椎が、椎体と椎弓の間に分離がある状態)に分類され、多くは高齢者の変性すべり症です。すべり症は、動いてもあまり変わらない安定しているすべりと、動くとひどくなる不安定なすべりがあります。症状から、相談者は脊柱(せきちゅう)管狭窄(きょうさく)を伴った腰椎すべり症だと考えられます。分離症や不安定性は、レントゲンで確認できます。
症状には、腰痛のほか、腰から爪先に伸びる座骨神経が圧迫されて起こる座骨神経痛があります。背骨中央にある脊柱管が狭くなり、中を走る脊髄や馬尾(ばび)神経が圧迫されると、下半身にしびれや痛み、さらにひどくなると排尿障害も出ます。相談者は平均寿命を超えていますが、全身の健康状態によっては手術もできるので、専門医に相談してみてください。
腰椎すべり症は予防も大切です。還暦を過ぎたころから、腹筋や背筋などの体操や、ストレッチ、1日20分ほどのウオーキングを心がけるといいでしょう。
回答者・水野順一医師(新百合ケ丘総合病院・脊髄外科)
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