地球温暖化による自然災害の被害などを減らすための気候変動適応法が今月、施行された。さまざまな対策を加速させなければならない。
温暖化対策では、温室効果ガスを減らして気温上昇を抑える「緩和」が注目されがちだ。たしかに、緩和策で気温の上昇幅を小さくすることは、温暖化対策の柱の一つである。
ただ、それだけでは十分ではない。異常気象や自然災害、海面上昇などが世界各地で見られ、暮らしや経済、環境に影響が及び始めている。そうした被害を避けたり軽くしたりするため、備えを万全にしていく「適応」も重要だ。温暖化対策の国際ルール・パリ協定は、緩和策とともに適応策にも力を入れるよう各国に求めている。
政府は今回の法施行にともなって適応計画を閣議決定し、関係省庁による会議を新設した。政府と自治体が役割を分担し、適応策を進めていく枠組みが整ったことになる。
想定される対策は、インフラ整備、農作物の品種改良、ハザードマップの作成など数多い。熱中症や感染症、水不足への対策のように、生活に直結するものも少なくない。綿密な計画をもとに取り組む必要がある。
その土台となるのは、政府が今後の気候変動とその影響を科学的に分析・評価し、産業や防災、健康など分野ごとに示す対策の方向性だ。社会や経済の幅広い分野に関わっており、想定外の被害で対策が後手に回らぬよう、きめ細かな分析・評価と情報共有が求められる。
気候変動の影響は地域ごとに異なるため、自治体は実情に応じて対処しなければならない。国からの支援や助言を受け、地域にふさわしい対策を練ってもらいたい。近隣の自治体との連携も、有力な選択肢だ。
息の長い取り組みとなるよう、工夫も必要だろう。
気候の変化に応じて開発した新品種の農作物を新たな特産品にしたり、災害に強い観光地として売り出したりすれば、地域の活性化につながる。適応のために技術開発を進め、企業がビジネスとして展開することがあってもいい。国内で効果のあった対策を海外で生かす、という国際貢献の視点も重要だ。
あってはならないのは、温暖化対策の名を借りて関係の薄い事業に予算をつけることである。便乗した公共事業が全国各地で増えるようでは困る。第三者の目を入れ、厳しくチェックするべきだ。
朝日新聞 社説 2018年12月21日 記事引用
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