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毎日新聞 2021/2/17 東京朝刊 750文字
Q 良性発作性頭位めまい症
立ち上がると2、3分間めまいがあり、頭が重い状態が続いています。良性発作性頭位めまい症で、治療法がないと言われ不安です。(埼玉県、男性、84歳)
A 耳石の浮遊が原因 治療法は一つ
めまいなどの症状から、相談者は「良性発作性頭位めまい症」と考えられます。これは、鼓膜より奥の内耳と呼ばれる部分で起こる病気です。寝返りを打ったり、ベッドから起き上がったり、横になって頭の位置を変えたりした時だけめまいが生じます。
内耳にある耳石(カルシウムの粒)の一部がはがれ、三半規管に入り込むのが原因といわれています。三半規管は、内部にたまったリンパ液の動きから頭部の動きを脳に伝えるとともに、目の動きも制御しています。もし、石が入ってリンパ液の動きに異常が生じると、目が勝手に動く現象が起きます。その結果、脳は周囲のものが動いたり回ったりする感覚、つまり「めまい」と感じるわけです。
頭を動かし、目の動きにどんな異常が表れるかを調べて診断します。三半規管に耳石が入り込んだ状態を改善する薬はありません。頭の位置を変えることで耳石を元にあった場所に戻す「浮遊耳石置換法」が唯一の治療法で、治るまでの期間を短くすることが期待できます。
多くがめまいだけで、10秒前後で治まるタイプと、1分以上続くタイプがあります。めまいの病気の約4割を占め、中高年の女性に特に起きやすいのが特徴です。気になる人は、内耳を熟知している専門医にみてもらいましょう。日本めまい平衡医学会のホームページにある「めまい相談医」の一覧を活用してみてください。【聞き手・河内敏康】
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