国立公園を訪れる外国人が増えている(上空からの富士山頂)
夏休みに山や海に出かけた人は多いだろう。富士箱根伊豆や日光などの国立公園を外国人に楽しんでもらおうと、政府が呼び込みに力を入れている。来訪者を増やすだけでなく、収益を環境保全につなげる好循環をつくりたい。
三重県志摩市の高台から英虞湾を一望する展望台が外国人の人気を呼んでいる。カフェを併設し、リアス式海岸の絶景を眺めながらくつろげる。中国地方の大山隠岐国立公園でも特別天然記念物オオサンショウウオの観察ツアーが自然愛好家らに評判だ。
これらは環境省が「国立公園満喫プロジェクト」として整備費などを支援した。34ある国立公園には2015年に490万人の外国人が訪れた。これを20年に1千万人に増やす目標を掲げている。
日本列島は山が多く海岸線も複雑で、自然の豊かさは海外に引けをとらない。その魅力を発信し、日本人、外国人を問わず来訪者が増えるのは好ましい。
大事なのは、収益の増加を生態系や景観の保全に生かすことだ。多くの国立公園で維持管理の予算は長く頭打ちで、施設や遊歩道などの老朽化が目立っている。
来訪者から入域料を集め、保全に役立てるのはひとつの手だ。
澄んだ海で知られる沖縄県慶良間諸島の座間味村では船賃に1人100円を上乗せし、トイレ整備などに充てている。新潟県の妙高山・火打山でも同500円を任意で集め始めた。富士山のように入山者が集中する地域では観光公害を防ぐ効果も期待でき、来訪者の理解を得ながら各地で広げたい。
民間の知恵ももっと活用したらどうか。地域の官民がつくる観光地経営組織(DMO)と連携したりIT(情報技術)を活用したりして、来訪者のニーズを探りリピーターを増やす余地は大きい。
日本の国立公園はこれまで現状の維持を基本とし、規制により施設の更新などが進んでこなかった。環境省や自治体が発想を転換し、利用と保全を両立する策を打ち続けてほしい。
日経新聞 社説 2019年8月26日 記事引用
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