憂楽帳
教官の言葉
毎日新聞 2023/4/17 東京夕刊 有料記事 463文字
市川寛さん
おまえはおまえの守備範囲を守れ。弁護士の市川寛さん(57)はその言葉が忘れられない。検察官だった30年近く前。司法修習生時代の教官に「同期が難しい事件を担当しているのに俺は簡単な事件ばかり」と漏らすと、そう言われた。今の自分にできることを精いっぱいやれ。そんな意味だと理解すると、迷いがなくなった。
なのに転落した。2001年、農協の背任事件で「ろくな証拠もない」と感じながら上司の方針に逆らえず、組合長を逮捕する。「ぶっ殺すぞ」と怒鳴り、作文した自白調書に署名させた。自責の念に駆られ、法廷で暴言を告白。組合長の無罪確定後、検事を辞めた。
「今度は冤罪(えんざい)から守る側に」と07年、弁護士に転身した。だが、無実と感じる事件でも厳しい判決を受ける日々。力不足を実感する。
昨年、「冤罪の人を早く救えるよう法律を変える活動のメンバーに」と日本弁護士連合会から声が掛かった。ビラ作りなど縁の下で支える。「自分にできることで、少しでも役に立てるなら」。教官の言葉に、市川さんはようやく応えられているのかもしれない。【安高晋】
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23.04.17 16:13
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