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毎日新聞 2023/7/15 東京朝刊 有料記事 668文字
大阪府吹田市教育委員会が市立小中学校を対象に実施した君が代の暗記調査の回答シート
なるほドリ 大阪府吹田市(すいたし)の教育委員会が子どもたちの君(きみ)が代(よ)の暗記状況を尋ねる調査をしてたんだって?
記者 調査は3月、市内に54ある全市立小中学校を対象に実施されました。市教委の学校教育部が各校長に対し、国歌の歌詞を暗記している児童・生徒数の回答を求めていました。
Q 学校はどのような方法で調べたの?
A 市教委は調査目的や確認方法を示しませんでした。このため音楽の先生への聞き取りで概数(がいすう)を把握した学校もあれば、子どもに挙手させた学校もありました。
Q なぜ調査が必要だったのかな?
A 自民党市議から「教育現場での国歌の認知度を知りたい」と市議会で質問され、市教委は調査を決めたといいます。市教委は結果を市議に伝えただけで他の利用はないとしますが、教職員組合や保護者らは抗議しています。
Q 反発の理由は?
A 調査自体が国歌斉唱(せいしょう)の強制につながりかねず、憲法で保障された「思想(しそう)・信条(しんじょう)の自由(じゆう)」を脅(おびや)かすと危惧しているからです。憲法学者からも同様の懸念が示されています。
Q 学校での国歌斉唱にルールはあるの?
A 政府は1999年の国旗・国歌法の制定に際し、「国民に強制はしない」と説明しています。文部科学省は学習指導要領(がくしゅうしどうようりょう)で「いずれの学年でも歌えるよう指導する」とする一方、子どもの内心に立ち入らないよう配慮を求めています。今回の問題が、君が代との向き合い方を考えるきっかけになってほしいですね。(大阪社会部)