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毎日新聞 2023/7/17 東京朝刊 有料記事 830文字
生の鶏肉による食中毒に注意を呼び掛ける厚生労働省のツイッター
なるほドリ カンピロバクターという細菌(さいきん)が原因で食中毒(しょくちゅうどく)が起きているらしいね。
記者 カンピロバクターは生や半生、加熱不足の鶏肉(とりにく)に付着していて、刺(さ)し身、たたき、ユッケなどに注意が必要です。感染すると、腹痛や下痢を起こすことがあります。死亡に至る例はまれですが、子どもや高齢者は重症化(じゅうしょうか)するリスクがあります。また、手足や顔面神経のまひ、呼吸困難を来(きた)す「ギラン・バレー症候群(しょうこうぐん)」を発症(はっしょう)する恐れがあります。
Q お店で新鮮(しんせん)なものを食べてもらえば、大丈夫じゃないの?
A 鹿児島県(かごしまけん)のように鶏肉の生食(なましょく)に衛生(えいせい)基準を設けている地域もありますが、カンピロバクターによる食中毒の7割は飲食店で起きています。飲食店が提供しているから安心とは限りません。新鮮な鶏肉にも付着しています。
Q 夏場は食べ物が傷みやすいよね。
A カンピロバクターによる食中毒はもともと夏場に多い上に、新型コロナウイルス対策の緩和で、飲食店を利用する機会も増えています。カンピロバクターによる食中毒はコロナ禍(か)の2020~22年は、700~900人台と例年と比べて半減していました。最近、各地で発生が報告されていて、厚生労働省(こうせいろうどうしょう)は、よく加熱されたものを食べるように呼び掛けています。
Q お店の人も注意が必要だね。
A 兵庫県(ひょうごけん)内の飲食店で鶏肉のたたきを食べた40代の男性が、ギラン・バレー症候群を発症し、手足に障害が残った事例があったとして、日本食品衛生協会が注意を呼び掛けています。飲食店は示談(じだん)で約1億円を支払ったといいます。食品安全に取り組む日本HACCP(ハサップ)トレーニングセンターの浦上弘(うらかみひろし)理事長は「食品安全を徹底してほしい」と呼び掛けています。(くらし科学環境部)