|
毎日新聞 2022/6/16 11:54(最終更新 6/16 12:08) 896文字
世界大会に出場する向陽高物理部と、日本リーグを制した向陽中理科部のメンバーら=和歌山市太田で、加藤敦久撮影
和歌山県立向陽高校(和歌山市太田)の物理部ロボット班がコンテストで優勝し、7月11日にタイ・バンコクで開幕予定の世界大会への出場を決めた。回路設計や組み立てなどを担当した部長の岸田健吾さん、ソフト開発・改善担当の團栗良太さん、吉川優冴さんの2年生3人で、「コンテストではうまく動いてくれてほっとした。世界大会では、できるだけ高い順位を獲得したい」と意気込む。3人はロボットの改良など、準備を進めている。
優勝したのは4月22~24日、京都府で開催された「ロボカップジュニア・ジャパンオープン2022けいはんな」のレスキューライン競技のワールドリーグ。19歳以下が対象で、競技には全国各ブロックを勝ち抜いた大学生や高校生ら20チームが参加した。
コース上を進む向陽高のロボット=和歌山市太田で、加藤敦久撮影
競技は災害時のがれきや悪路の中での人命救助を模したもので、8分の時間制限内に障害物や傾斜、段差を回避、通過してチェックポイントに向かう。遠隔操作はできず、自律型ロボットでコース面に複雑に描かれた黒いラインをセンサーで読み取って進む。他のチームが障害物などで脱線したり、急カーブでラインを見失ったりして減点される中、向陽高の4輪ロボットは着実にポイントを稼ぎ、2位に大差をつけて、念願の初優勝を飾った。
校内に模擬コースを作り、どんな障害設定となってもクリアできるように重心を安定させるなど、半年間工夫を重ねてきた成果が実ったという。3人は「ロボットは思うように動いてくれないことも多いが、成功した時の喜びは大きい」と製作の楽しみを話す。
一方、競技ではレスキューキットと呼ばれる立方体を運搬すると高得点につながるが、コンテストでは十分に成功しなかった。現在、装置の形状を変更しているという。岸田さんは「世界大会はレベルが高い。技術を学び取ってきたい」と向上心に燃えている。
向陽中理科部が別クラスで優勝
また、コンテストでは別クラスの日本リーグで、併設されている向陽中の理科部ロボット班3年生チームの南悠大さん、辻唯人さんが優勝した。2人は「身近に目標となる先輩がいて良かった。世界大会では楽しんできてほしい」とエールを送っていた。【加藤敦久】