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毎日新聞 2022/7/29 10:06(最終更新 7/29 10:06) 675文字
テープカットなどで完成を祝った地熱を利用した水素製造実証プラント=大分県九重町で2022年7月28日午前11時45分、津島史人撮影
清水建設は、大分県九重町に建設していた地熱を利用して水素を製造する実証プラントを完成させ、28日に報道陣や関係者に公開した。8月1日から稼働する予定。【津島史人】
地球温暖化対策が求められる中、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素は次世代エネルギー源として注目されている。完成したプラントは地元に豊富にある地熱を利用することにより、水素製造時のコスト削減などを目指す。年末まで各種データを収集し、将来の実用プラント建設に生かしたい考えだ。
今回のプラントは環境省の委託事業で作られ、総事業費は8億7100万円。
完成したプラントではスギの木材チップを炭化させ、地熱の水蒸気を加えて高温で化学反応させることで、水素を含むガスを生成する。このガスをさらに高温で化学反応させたり特殊な金属膜で分離させたりして、最終的に高純度の水素を製造する仕組みだ。
水素製造に使用する木材チップ。地元産のスギ材という=大分県九重町で2022年7月28日午前10時43分、津島史人撮影
このプラントで今後、約25日の連続運転を3回実施し、1時間に高純度の水素を4キロ以上製造できることを確認する。
地熱や地元の木材といったバイオマス資源を活用することで、太陽光などを使った水電解による水素製造と比較したコストを3分の1以下にし、製造時に排出されるCO2の量を既に市販されている水素と比べて10分の1以下とすることを目標にしているという。
清水建設ではこの事業で得られるノウハウを活用して、九州を中心に中小地熱発電所と併設する水素製造の実用プラントの自社開発を目指す、としている。
この日は環境省の関係者や県の吉田一生副知事、九重町の日野康志町長らがテープカットなどで完成を祝った。