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毎日新聞 2023/12/4 東京朝刊 有料記事 783文字
なるほドリ 「大麻(たいま)グミ」っていう商品を食べた人が体調不良になったって聞いたよ。なんでなの?
記者 大麻の成分に似た物質が入っていたからです。大麻はアサ科の草で、脳に影響(えいきょう)を与える違法な薬物です。
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Q どんな物質なの?
A 大麻にはカンナビノイドと総称される成分が含まれ、代表的な有害成分に「THC(テトラヒドロカンナビノール)」というのがあります。そのTHCに似た構造を持った合成化合物(ごうせいかごうぶつ)「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」が商品に入っていました。人工的に作られたとみられ、この成分を含む商品の製造や販売などは、法律で禁止されていませんでした。
Q 体にどんな影響があるの?
A THCを服用すると、陶酔感(とうすいかん)が得られ、大量に摂取(せっしゅ)すると吐(は)き気(け)や幻覚(げんかく)などを引き起こします。湘南医療大(しょうなんいりょうだい)の舩田正彦教授(ふなだまさひこきょうじゅ)(精神薬理学(せいしんやくりがく))は、HHCHにも同じような効果があると考えています。
Q とっても危険だね。
A HHCHが含まれていたとみられる商品を食べた後に救急搬送(きゅうきゅうはんそう)された例が全国で相次ぎました。このため、厚生労働省はHHCHを医薬品医療機器法(いやくひんいりょうききほう)(薬機法(やっきほう))の指定薬物に追加して、今月2日から販売や所持などを禁止しました。
Q これでもう大丈夫だね。
A そうとは言えません。舩田教授は、ある商品にHHCHに似た成分が含まれていたとしても、安全性の確認がないまま流通する危険性を指摘しています。健康被害を防ぐため、厚労省は薬機法の「包括指定(ほうかつしてい)」制度で、早ければ来年1月にも類似物質をまとめて規制する方針です。(くらし科学環境部)