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毎日新聞 2023/3/9 09:40(最終更新 3/9 09:40) 有料記事 550文字
研究チームが行った、水槽の中でホンソメワケベラに鏡を見せる実験=大阪公立大提供
太平洋などに生息する体長約10センチの魚「ホンソメワケベラ」が、写真に写った姿を自分と認識できることが分かったと、大阪公立大の幸田正典特任教授(動物社会学)らのチームが発表した。チームはこの魚が鏡に映った姿を自分と判別できることを既に突き止めていたが、写真での認識を確認したのは人以外で初めてという。
チームによると、1週間鏡を見せて自分を認識させた後、寄生虫に似せた印を喉に付けた自身の写真を見せた。8匹中6匹が水槽の底の砂や石に自分の喉をこすりつけ、寄生虫を取ろうとした。印のない自身の写真や、印があっても別の個体の写真には反応しなかった。
研究チームが行った、水槽の中でホンソメワケベラに鏡を見せる実験=大阪公立大提供
また自分の顔と別の個体の体を組み合わせた合成写真を見せても攻撃しなかったが、別の個体の顔と自分の体を組み合わせた写真には威嚇する様子を見せた。個体ごとに異なる模様の違いが顔にあり、それで自他を認識しているとみられるという。
鏡だと単に自分の動きと同調する姿を見て自分と認識している可能性があった。動きのない写真でも自分を認識できることが今回分かり、チームは「人と同様、自分がどんな姿をしているかを認識した上で考えて行動していることを示した」としている。
他の魚でも同様の能力があるとみて研究を進めている。研究は米科学アカデミー紀要に掲載された。(共同)