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毎日新聞 2023/4/12 07:00(最終更新 4/12 07:00) 685文字
給食の食べ残しを発酵させて生じるガスを燃料とするバイオガスプラント=天童環境提供
山形県天童市は11日、市内の小中学校から回収した給食の食べ残しを、バイオガス発電用のリサイクル資源として活用する取り組みを始めた。生ごみの有効活用だけでなく、これまで焼却処分の際に発生していた二酸化炭素(CO2)を抑制し、ごみ処理費用の削減にもつなげる。子供たちに身近な学校給食を資源化することで、環境問題への関心も高めたい考えだ。
バイオガス発電は、食品廃棄物や家畜のふんなどを発酵させて生じるガスを集め、それを燃料に用いて発電する。石油や石炭など化石燃料を使った発電に比べ、CO2の排出量を大幅に抑えられる。太陽光や風力など他の再生可能エネルギーとは異なり、気象条件に左右されないのも利点だ。
食品廃棄物などを発酵させて生じるガスを燃料に発電するバイオガスプラントの内部=天童環境提供
天童市の小中学校など18施設から出る給食の食べ残しは、2022年度に1日平均で約140キロにも上った。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、食べ残しは増加傾向にある。これまでは焼却処分していたが、23年度からはバイオ発電事業に取り組む天童環境(同市)に処理を委託した。
新年度の学校給食が始まった11日、市内の小学校で出た食べ残し約70キロが天童市学校給食センターに集められた後、同センターで粉砕・脱水処理が施され、同社がリサイクル資源として回収した。山形県米沢市内のバイオガスプラントで発電し、電気は電力会社に販売される見通しだ。
この取り組みは天童市が22年、CO2排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言したことをきっかけに打ち出した。市学校給食センターの本田秀幸副所長は「子供たちがごみのことを考えるきっかけにしてほしい」と期待を寄せた。【神崎修一】