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毎日新聞 2023/4/13 19:29(最終更新 4/13 19:29) 679文字
宇宙に打ち上げられる前の妖怪「アマビエ」が描かれたアルミ板(左)と、帰還したアルミ板=スペースBD提供
パンダが小麦色になって宇宙から帰ってきた――。宇宙関連ビジネスを手掛けるベンチャー企業「スペースBD」(東京都)が宇宙空間に送り出し、大量の宇宙線を浴びたグッズが地球に帰還した。損保ジャパンのキャラクター「ジャパンダ」や、疫病封じの妖怪「アマビエ」を描いたアルミ板などで、ゆるキャラたちは肌の色を変えながら過酷な宇宙の旅を楽しんだようだ。
「宇宙に夢と商いを」をモットーとするスペース社は2021年8月、宇宙空間でさまざまな物に宇宙線を浴びせて変化を観察し、地上に戻すプロジェクトを始めた。第1弾には、民間企業や研究・教育機関から10組が参加。ゆるキャラのアルミ板のほか、工業用ダイヤモンド▽木造人工衛星用の木材▽瞬間接着剤の宇宙試験装置――などを、国際宇宙ステーション(ISS)補給船に載せて打ち上げた。
ゆるキャラのアルミ板などは22年3月から約9カ月間、高度約400キロを周回するISSの船外設備に取り付けられた。強烈な宇宙線や紫外線を浴びながら、気温が最高約120度、最低氷点下150度に急変する過酷な環境にさらされ続けたという。
23年3月に日本に無事戻ってきたグッズたち。特に白黒柄のジャパンダやアマビエは、黄ばんだ本のように日焼けした状態になるなど、色に大きな変化が確認された。第2弾のグッズも3月に宇宙に旅立ったという。
アマビエは江島神社(神奈川県藤沢市)に奉納され、ゴールデンウイークをめどに展示される予定。スペース社は「地球に帰還した物は研究開発や教育、PRに活用してもらい、宇宙の民間ビジネスを広げていきたい」としいる。【中津川甫】