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毎日新聞2024/4/16 東京朝刊有料記事733文字
匿名・流動型犯罪グループの取り締まりに向け、各地の警察は対策本部を設置している=北海道警本部で2024年4月8日、伊藤遥撮影
なるほドリ 警察が新たな犯罪グループの対策の強化に乗り出したんだって?
記者 「匿名(とくめい)・流動(りゅうどう)型犯罪グループ」のことですね。警察庁が2023年夏に呼び始めました。略して「匿流(とくりゅう)」です。メンバーはSNS(ネット交流サービス)でつながり、氏名を明かさずアカウントでやりとりするなど匿名性が高く、メンバーも出たり入ったりするので流動性が高いのが特徴(とくちょう)です。
Q なぜ警察は対策を進めるの?
A 治安の脅威(きょうい)になっているためです。22~23年に「ルフィ」などを名乗る指示役が各地で起こしたとされる強盗事件(ごうとうじけん)を覚えているでしょうか。このグループが正に匿流でした。「闇(やみ)バイト」で実行役を募(つの)り、フィリピンなど海外から特殊詐欺(とくしゅさぎ)をしていた疑いもあります。暴力団とは異なり、グループのメンバーさえはっきりしない犯罪集団です。
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Q 匿流は他に何に関与(かんよ)しているの?
A うその説明をして屋根の修理費用をだまし取ったとして警視庁が今年1月に摘発(てきはつ)したリフォーム詐欺グループは、匿流だとみられています。警察は、悪質なホストクラブやオンラインカジノの背後にも匿流がいて、不当な利益を得ている可能性があるとみています。
Q 警察はどう取(と)り締(し)まっていくの?
A 「組織犯罪対策のあり方を大きく転換(てんかん)させなければならない」(露木(つゆき)康浩(やすひろ)警察庁長官)として、大きな繁華街(はんかがい)を抱(かか)える12都道府県警がプロジェクトチームを組むなど、目を光らせています。警察は情報収集して、実態解明を進めていく考えです。(社会部東京グループ)