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毎日新聞 2023/5/20 12:30(最終更新 5/20 18:19) 498文字
月面農場のイメージ=ⒸJAXA
千葉大は人々が月面に長期滞在する時代を見据え、千葉県松戸市の松戸キャンパスに「宇宙園芸研究センター」をオープンさせた。国立大学で唯一、園芸学部を持つ同大の蓄積を生かし、「宇宙植物工場」の実現に向け、宇宙環境での食料生産技術を探る。
同大によると、2030年代には100~1000人程度が月面に居住すると想定され、食料確保が国際的な課題となっている。
同センターでは、特殊な装置を使って低重力、低圧などといった宇宙環境を再現。こうした環境で生育できる品種の開発を目指す「宇宙園芸育種」▽生産技術を開発する「高効率生産技術」▽限られた資源を循環させる「ゼロエミッション技術」の3部門で研究を進める。
千葉大宇宙園芸研究センターの開所を祝う高橋秀幸センター長(左)、中山俊憲学長(中央)、松岡延浩園芸研究院長=千葉県松戸市松戸の千葉大松戸キャンパスで2023年5月17日、長沼辰哉撮影
同大によると、宇宙環境での生産技術に特化した研究施設は全国でも珍しい。
17日に松戸キャンパスであった開所式で、高橋秀幸センター長は「研究結果を、地球上でも台風や害虫などの影響を受けない、効率的で安定した食料生産につなげたい」と話した。
「月面農場」の実現を目指し、無人化栽培の技術やリサイクル方法について検討を進めている宇宙航空研究開発機構(JAXA)などとの共同研究も予定している。【長沼辰哉】