料理の前に運ばれてくる小鉢や小皿に盛った小料理があります。いったいどういった意味があるのでしょうか。

●お通し
調理場に注文をまちがいなく通しましたとの意味やお客様を席にお通しするという意味から使われたようです。
「お客さんの注文を了解しました。仲居さん、さあどうぞお席のほうへお通しして」という意味の料理をいうそうです。
●突き出し
お客様の注文とは関係なく突き出すから 、「初仕事」という古い言いまわしから転じて「突き出し」と言うようになったようです。
ずいぶんと色気ある解釈で、江戸時代に遊女の初夜を「突き出し」といったところから、初出の料理を“初夜”にもじって、そう呼ぶようになった、とも言われています。
●先付け、先出し
「先付け」は、単純に主菜より先に出されることからと言えますが、本来は食事主体である(茶)懐石料理等では「向付け」「汁」「飯」が最初から出されることから、「向付け」の言葉に対応させ区別する意味で「先付け」と呼ばれるようです。
●前菜としての料理
フランス料理でのオードブルや中国料理での前菜に当たるのがお通しです。 これはコース料理などに初めから組み込まれています。会席料理で「お通し、先出し」は食欲をそそるためのもので、季節感のある素材が選ばれます。関東地域では「お通し」、関西地域では「つきだし」と呼ぶようです。
このように「突き出し」と「お通し」は本来はまったく違う意味でしたが、現在では混在して使用されているようです。出てくる料理はどこに行っても名前が違うだけで似たりよったりですからね。

●お通し・突き出しは断ることができる!?
嫌いなものなど、どうしても食べれないものが出てきた場合は取替えかもしくは断りましょう。良心的なお店なら対応してくれると思われます。問題は、断りをお店が了承しなかったときですね。
お通し・突き出しは席料としての側面もあって、この席料やサービス料を規制する法律はいまのところないようです。
●お通し・突き出しを断ることができる例
お通し・突き出しの代金の明示がなく、お通しに手をつけていないとき、お酒といっしょにお通しが運ばれてきて、サービスだと勘違いしていた場合 など、民法の「錯誤による無効」の解釈ができるようです。
しかし民法よりも商慣習が優先するという記述もあって、なかなか複雑なようです。
●お店の都合・お客様の都合
お通し・突き出しは、ときどきいるイレギュラーなお客さん(ビール1杯で長時間など)からも売り上げをあげることができたり、食材のロスをおさえることができるなど、お店側のメリットも有ります。
このような「お通し」ルールが何時、どこで始まったのかは定かでは有りません。
お通しは一品主体の関東でできあがり、突き出しは懐石料理の本場京都を中心に誕生したらしいのですが、最近はごちゃ混ぜになってしまっているようですね。