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毎日新聞2024/4/25 東京朝刊有料記事778文字
小林製薬の大阪工場に立ち入り検査に入る大阪市の職員を乗せた車両=大阪市淀川区で2024年3月30日、三村政司撮影
なるほドリ 小林製薬(こばやしせいやく)の紅(べに)こうじのサプリメントを摂取(せっしゅ)した人に健康被害が出ているね。健康食品の品質管理(ひんしつかんり)はどうなっているの?
記者 日本では健康食品は原則、食品として扱われます。医薬品(いやくひん)と違って、製造(せいぞう)や販売に国の承認(しょうにん)を得る必要はありません。品質管理は各事業者に委ねられています。
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Q サプリについても同じ?
A カプセルや錠剤(じょうざい)の形状をした健康食品については、厚生労働省(こうせいろうどうしょう)は普通の食品よりも厳しく、安全性への配慮を求めています。同省は2005年、製造管理のガイドライン「GMP」に沿うのが望ましいと通知しています。医薬品では守らなければならないものです。08年には第三者機関による認証(にんしょう)制度「健康食品GMP」が始まりました。GMPは「適正製造規範(てきせいせいぞうきはん)」と訳されます。衛生や空調の管理、異変があった際に記録する体制作りなどが求められます。工場ごとに認証を受けます。
Q 小林製薬の紅こうじサプリの製造工場は認証を取っていたの?
A 紅こうじ原料から錠剤などに加工していた岐阜県の工場は認証を受けていました。しかし、原材料を作っていた大阪市の工場は、取っていませんでした。
Q 二度とこうした健康被害は起きてほしくないね。
A まずは国による原因究明が急がれます。一方で、欧米ではサプリの位置づけが法律で定められ、GMPの順守が義務化されている国もあります。日本の対応は遅れているという指摘があります。再発防止策として、健康食品コンサルタントの武田猛(たけだたけし)さんは「安全性の確保や品質管理、リスクマネジメント(危機管理)について、国はもっと関与すべきだ」と話しています。(くらし科学環境部)