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毎日新聞 2023/6/9 03:00(最終更新 6/9 03:00) 有料記事 599文字
写真はイメージ=ゲッティ
人や動物の体内にあるアミノ酸「タウリン」は加齢とともに減るが、中年期の動物に毎日摂取させると長生きし、健康的になるとの研究結果を、米コロンビア大などのチームが8日、米科学誌サイエンスに発表した。マウスは寿命が1割延長。サルでも体重や脂肪の増加が抑えられ、骨が強くなった。タウリン欠乏が老化の要因だと示した。
人に補った場合の効果は未解明。欧州の中高年約1万2000人のデータでは、血中のタウリン濃度が高いと肥満や糖尿病が少なかった。チームは「毒になるとも考えられず、口から補える。臨床試験をする価値はある」とした。
タウリンはイカやタコ、貝などに多く含まれ、人の体内でも作られる。コレステロールを減らすなどの効果が知られているが、老化との関係はよく分かっていなかった。
チームはまず、年齢と血中タウリン濃度の関係を調査。マウスやサルで老いとともに低下し、人でも60歳だと5歳の3分の1と少なかった。
次に人間の45歳前後に相当するマウスに毎日1回溶液を与え、若いマウスと同等の血中濃度にすると、寿命が10~12%、人間の7~8年分延びた。骨量や筋力が増し、うつ症状が改善した。細胞レベルでは、老いたまま居座り組織を傷つける有害細胞が減り、DNAの損傷も抑えられた。
タウリンを毎日、6カ月間与えた中年のアカゲザルでも肥満や骨密度が改善。血糖値の低下や肝機能の維持といった好影響もみられた。(共同)