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毎日新聞 2023/6/17 07:30(最終更新 6/17 07:30) 660文字
中国貴州省にある直径500メートルの電波望遠鏡「天眼」=中国科学院国家天文台ホームページから
英科学誌ネイチャーを発行する学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーは15日、自然科学分野の質の高い研究論文への貢献度で、2022年に中国が米国を抜き、初めて世界1位になったと発表した。研究機関別でも上位10機関のうち6機関を中国が占め、巨額の研究投資を続ける中国の勢いが目立った。
このランキングは、同社傘下の調査機関が14年から毎年公表を続ける「ネイチャーインデックス」。物理科学▽化学▽生物科学▽地球環境科学――の4分野で、世界の著名な学術誌82誌に掲載された論文を調べ、それぞれの著者の出身国・地域や所属する研究機関をカウントした。集計された点数は「質の高い研究成果への貢献度」を表す。
22年の中国は上位10カ国で最大の伸びとなる前年比21・4%増加し、2位から1位に浮上。逆に米国は6・9%落とし、初めて2位に転落した。3位ドイツ、4位英国と続き、日本は前年と同じ5位だった。ただ、点数は前年から9・6%減少した。
研究機関別でも、上位10機関中6機関を中国が占めた。トップは前年に続き中国科学院で、2位の米ハーバード大、3位の独マックスプランク協会に差をつけた。日本勢は、東京大の18位が最高で、京都大44位▽大阪大74位▽東北大89位▽理化学研究所103位――となった。東北大以外は前年より順位を落とした。
ネイチャーインデックス創設者のデービッド・スインバンクス氏は「ここ数年の傾向をみると、中国は研究投資の結果、自然科学分野で米国を上回ることは疑いようもなく、時間の問題だった」と指摘した。【山口智】