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新聞ですら間違えた「台湾問題」に対する日本政府の立場。「日本は台湾を中国の一部と認めている」と思い込む人たちの課題
/ 11/18(火) / 東洋経済オンライン
いわゆる「台湾有事」をめぐり、高市早苗首相は踏み込んだ発言をし、日中関係の焦点になってしまった。写真は11月11日に答弁している高市首相(写真:Bloomberg)
11月7日の衆議院予算委員会における高市早苗首相の「存立危機事態」に関する答弁が、いまなお大きな波紋を広げている。高市首相は「台湾に対し武力攻撃が発生する。海上封鎖を解くために米軍が来援し、それを防ぐために武力行使が行われる」という想定に言及。そして「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても『存立危機事態』になり得るケースだ」と述べた。これに中国が反発し、日本への渡航自粛要請を出す「対抗」手段にまで出ている。
首相の答弁を「撤回する必要はない/撤回すべき」といった評価にとどまらず、そもそもどのような条件が「存立危機事態」に該当するのか、またアメリカをはじめ日本も長年台湾海峡を巡って「曖昧戦略」を採用してきたにもかかわらず、なぜ今回あえて具体例を挙げたのか、その必要性や適切性が問われているのは確かだ。具体例を示したことでかえって「抑止」の幅が狭まり、戦略的柔軟性を弱めたのではないかという懸念も出ている。
■ イデオロギー先行で間違いも多い活発な議論
このように、実際のところ「台湾問題」(英語の Taiwan Issue に相当し、「台湾の地位・主権・国際的扱いをめぐる総合的な問題」を指す)をめぐる議論が、保守・リベラル双方で活発化している。ただ、議論の活発化とは別にこのテーマを議論するための前提や基本を踏まえて議論が行われているかも重要である。
意味ある議論を深めるためには中国と台湾との間にどのような歴史的な背景があり、双方がそれをどのように理解・主張しているのか、また日本やアメリカがいう「従来の見解」とその論拠になっている条約や声明などを共有しておくべきだろう。この議論を行ううえで日本社会には何が求められているのか指摘しておきたい。
なお、「台湾問題」と書くと、あたかも台湾側のみに問題が存在するような印象を与えかねない。そのため、前述したように「台湾問題」と表記するには上記のような説明を添えたり、それを理解しておいたりすることが望ましい。
さて、当然、戦争は起きてはならない。しかし残念ながら、現在の中国は台湾への武力行使の可能性を放棄していない。そのなかで約2300万人の台湾の人々は自らが獲得した自由と民主主義と人権を守るために備えざるを得ない状況に置かれている。
この問題を議論するうえでまず捨てるべきなのは、保守とリベラルの相互嫌悪が先に立ち、相手をやり込めるためだけの感情的応酬や、特定のイデオロギーに沿った情報だけを取り上げ、不都合な事実を見ようともせず間違いを拡散させる態度である。これは中国、台湾、そして日本やアメリカを含めてどこにとっても利益にならない。
こうした問題は匿名のSNS上の議論に限られない。台湾関連の情報を正確に把握することは、その分野を長年研究してきた地域研究者でさえ神経を尖らせる作業である。議論を活発に行うこと自体は、中国・台湾・日本のどこにとっても重要だ。ただ、残念ながら現在の日本では、自分に都合のいい台湾現地発の情報、あるいは中国のナラティブを鵜吞みにした情報発信がSNS上だけでなく大手メディアですらなされている。
例えば台湾の主要メディアがどのようなスタンスで報道しているのか、その背後にある歴史・人物・政治的文脈を理解しないまま、「自分の主張に沿っているから」という理由だけで「これが台湾現地の声だ」と思い込んで、そのまま議論を展開・拡散するのは危うい。また中国政府の主張があたかも事実であると鵜呑みにして情報を発信するのも危険だ。
これらの態度は、めぐりめぐって研究者や報道などが自らの「本業」に対する信憑性まで損ないかねず、十二分に慎重であるべきだ。実際、11月11日付の『東京新聞』の社説でも、今回の高市首相の発言について議論を行ううえでの論拠の扱い方に重大な問題があり、誤った言説が拡散され得る危険性を示していた。
■ 東京新聞も誤った論拠で社説を掲載
東京新聞の社説「高市首相と台湾有事 存立危機を軽く語るな」で何が問題だったのか。それは中国が繰り返し声高に主張してきた言説を、そのまま疑問もなく受け入れ、この問題の根本的な前提を再確認しないまま、誤った論拠で物事を断じている点にある。
社説は高市首相に「言葉を選ぶべき」と答弁の問題を指摘した。その趣旨には筆者も賛同するが、社説内で触れられていた台湾問題に関する議論には問題もある。
例えば、「日本は1972年の日中共同声明で、台湾を中国の一部とする中国の立場を『十分に理解し、尊重』すると明記し、台湾を国家と認めていない」という記述がある。この書きぶりは、1972年の日中共同声明の一部だけを切り取り、そこから直線的に「台湾を国家と認めていない」と断定している点で、同声明への「読解力」を欠いている。
この社説と同様に日本では、「台湾は中国の内政問題なのだから日本が口を出すべきではない」という議論を持ち出し、そこで議論を強制終了させようとする言説もある。しかし、これも日本を含む各国が台湾問題をめぐり、ぎりぎりのラインを探りながら展開してきた「曖昧戦略」を自ら水の泡に帰す言説だ。
東洋経済オンラインに掲載された法政大学の福田円教授による論考(「アメリカ政府が『台湾地位未定論』を表明。『未定論』はアメリカの一貫した立場だが、今表明したのは中国の主張に対抗するため」)でも指摘されているように、「近年の中国政府は、サンフランシスコ体制および同体制と補完的な関係にあったアメリカや日欧など旧西側諸国との『一つの中国』に関する部分的合意に触れず、それに代わってカイロ宣言、ポツダム宣言、および国連の中国代表権交代を決めた国連総会第2758号決議を強調する形で台湾への主権を主張している」。
これらの文書で実際に何が約束されてきたのか。中国が避けようとする「一つの中国」に関する部分的合意とは何か。歴史的経緯を振り返りながら確認したい。
1945年、終戦により日本の台湾統治は終わる。その前に1943年のカイロ宣言では、アメリカのルーズベルト大統領、イギリスのチャーチル首相、中華民国の蔣介石主席が共同声明を出し、「日本が中国から奪った領土(満州、台湾、澎湖諸島)は中華民国に返還されるべき」とした。これは戦後処理の方針表明であり、条約ではない。
■ 日本は台湾の帰属先を明言しなかった
日本は終戦するにあたりポツダム宣言(1945年)を受諾する。これは日本の降伏条件を定めた文書であり、連合国が日本に対して「カイロ宣言の条項は履行される」「日本の主権の範囲は、本州、北海道、九州、四国と小さな島々に限定」と明記した。しかし台湾の地位に関しては「将来の平和条約によって最終的に決定される」とされた。つまり、台湾の法的地位は日本と連合国間の講和条約まで保留されたのである。
そして結ばれたのが1951年のサンフランシスコ平和条約だった。同条約には中華民国政府と中華人民共和国政府の双方ともに出席していない。国民党と共産党の内戦によって中華民国政府は台湾に撤退し、中国大陸では中華人民共和国政府が樹立され、どちらを正統な中国政府とするか連合国内でも意見が割れて、両方とも招かれなかったためだ。それもあり、サンフランシスコ平和条約は日本政府が台湾を「放棄する」とだけして、帰属先を明言しない形で結ばれた。
その後、1952年に中華民国と日本との間で日華平和条約が締結され、この条約によって両国間の戦争状態は正式に終結し、2国間の外交関係が樹立された。ただ、この条約の適用範囲は、中華民国の実効支配地域(台湾・澎湖)にのみに限定された。そして中華民国政府が台湾を統治する実態は認めているものの、台湾の帰属先は明言されなかった。
1972年には、上記の日華平和条約が終了し、日本と中華人民共和国との間で日中共同声明が出される。その中で「内政干渉」か否かを判断するうえで重要なのは、次の2点だ。
第2項:「日本国政府は、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認する」
第3項:「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」
第2項の「承認する(recognize)」は法的な「政治承認」を意味する。問題は後者である。中国は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する(reiterate:繰り返し述べて強調する)」とする。それに対して日本は「この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し(fully understands and respects)、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」としている。ちなみにここでいう「ポツダム宣言第八項」とは上記にも提示した「カイロ宣言の条項は履行される」「日本の主権の範囲は、本州、北海道、九州、四国と小さな島々に限定」という部分である。
ここから客観的に読み取れるのは、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部」というのはあくまで中国側の主張であって、日本はそれを「承認(recognize)」しているわけではないということだ。日本は、中国がそのように表明している事情を「十分理解」し、その意見を「尊重する」と述べることで、相手のメンツには一定の配慮を示しつつも「賛同はしない」、しかし「議論の余地は残す」という外交の妙味を持たせている。
日本の外務省のサイトにはこの日中共同声明の英語版が補足的に掲載されているが、そこを見てみると日本側のニュアンスがより明確になる。「respect」は日本語だとあっさり「尊重する」と訳され、ポジティブな賛同の意味に誤解されがちだが、実際には agree(合意、賛同)やsupport(支持)より弱い表現であり、「否定はしないが、賛同もしない」、「相手の立場を踏まえているが距離をとる」というニュアンスを含む。
■ 日中英それぞれの言語でも齟齬がない
中国語のニュアンスはどうであるのか。日中共同声明における日本語の「承認する」の部分は、中国語では「承认」となりこれは日本語の「承認」とほぼ同じ意味で問題はない。一方で「重ねて表明する」に対応するのは、「重申」であり、これは文字通り「繰り返し述べて強調する(reiterate)」という意味を持ち、外交文脈では強調度の強い語として用いられる。
また、「十分理解し、尊重し」の部分は中国語で「充分理解和尊重」と表現されるが、これも日本語とほぼ同じニュアンスで“相手の立場を否定はしないが、同意も承認もしていない”という中立的な距離感を含んでいる。日中間でこの声明文の解釈をめぐって大きな齟齬が生まれるような余地はなく、日本語・英語・中国語いずれにおいても整合的であると言える。
参考までにアメリカの事例も見ておきたい。アメリカと中華人民共和国は国交樹立に関連した3つのコミュニケを発表しているが、とりわけ重要なのは、1978年に発表され、1979年に発効した「アメリカ合衆国と中華人民共和国との間の外交関係樹立に関するコミュニケ」である。ここでも重要なポイントは2つだ。
アメリカは「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」
The United States of America recognizes the Government of the People’s Republic of China as the sole legal Government of China.
「中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるという中国の立場をアクノレッジした」
The Government of the United States of America acknowledges the Chinese position that there is but one China and Taiwan is part of China.
1つ目は日本の場合と類似しており、「recognize」は法的な政府承認を意味する。問題は2つ目の 「アクノレッジ(acknowledge)」である。日本語だと慣習的に「認識する」と訳されるが、そのニュアンスは support(支持する)や recognize(承認する)よりも弱く、「中国がそのような主張をしていることは承知している」という距離をとった表現に近い。
ここであえて「認識する」と書かずに「アクノレッジ」と原語を示したのには理由がある。日本の外務省のサイトにおいても、この部分は単に「認識する」と訳されるのではなく、英語原文の「acknowledge」をそのまま示す形で紹介されている。単純に「認識する」とだけ書いてしまうと、本来の微妙なニュアンスである「支持も承認もしていないが、その立場を把握している」という距離感が伝わりにくいからだろう。
ここで再び先に問題があると指摘した東京新聞の議論に戻ろう。
「日本は1972年の日中共同声明で、台湾を中国の一部とする中国の立場を『十分理解し、尊重』すると明記し、台湾を国家と認めていない」と主張する場合、もし「日本国政府は、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認する」という部分を根拠に「台湾を国家と認めていない」と結論づけるのであれば、これも声明全体をきちんと読んで判断していないという意味で問題があるが、まだ議論の余地はあるかもしれない。
しかし、「十分に理解し、尊重する」の一文を根拠に「台湾を国家として認めていない」とまで言い切るのは、論拠としてはかなり説得力を欠く。すでに指摘したように日本は台湾の帰属先を明示しない形で戦後処理を進め、日中共同声明でもそれを踏まえているためで、台湾が国であるかの地位問題について触れていないからだ。
■ イデオロギーに沿った言説の拡散に危機感
今回の高市首相の発言は、従来の日本政府の立場を変えたものではないものの「曖昧戦略」から一歩踏み込んだものであり、今このタイミングで具体例を示す必要があったのかには疑問が残る。だからこそ彼女自身、すぐに「今後は特定のケースを想定したことを国会で明言することは慎む」と発言を修正した。アメリカにも同様の「踏み込み過ぎた発言」の事例があり、後に「従来の見解と変わらない」と火消しを図っている。そうした前例を考えれば、高市氏の迅速な修正は妥当な判断だったといえる。
今回、私がとりわけ遺憾に思ったのは、一部の左派・リベラルの言論が、日本政府自身の立場を踏まえずに、中国政府の主張をほとんど検証もせずに受け入れ、台湾のただでさえ狭い「国際的な空間」をさらに狭めてしまうことを手助けしていることである。日本の外交官たちが神経を尖らせながら練り上げてきた文言を雑に読み、そのうえで自分のイデオロギーに沿った言説が拡散していることに危機感を覚える。
台湾は、2300万人の生身の人間が暮らす場所だ。台湾人は、自らが獲得した自由と民主主義と人権を守るために、中国からの武力威嚇に備えざるを得ない状況に置かれている。リベラルが掲げる「普遍的価値」とは何なのか。いま一度、冷静に立ち止まり、台湾、中国に関するきちんとした知識を土台に、この議論を進めていくことを強く期待したい。
前原 志保 :九州大学准教授
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e18d3728dfa01207fe7b6511e195fd3348c2703?page=1
신문조차 잘못 본 대만 문제에 대한 일본 정부의 입장. '일본은 대만을 중국의 일부로 인정하고 있다'고 믿는 사람들의 과제 / 11/18(화) / 동양경제 온라인
이른바 「대만 유사」를 둘러싸고, 타카이치 사나에 수상은 깊이 있는 발언을 해, 일중 관계의 초점이 되어 버렸다. 사진은 11월 11일에 답변한 타카이치 수상 (사진: Bloomberg)
11월 7일 중의원 예산위원회의 다카이치 사나에 총리의 존립 위기 사태에 관한 답변이 아직도 큰 파장을 일으키고 있다. 다카이치 수상은 「대만에 대해 무력 공격이 발생한다. 해상봉쇄를 풀기 위해서 미군이 내원해, 그것을 막기 위해서 무력행사가 행해진다」라는 상정을 언급. 그리고 「전함을 사용해 무력의 행사를 수반하는 것이라면, 아무리 생각해도 「존립 위기 사태」가 될 수 있는 케이스다」라고 말했다. 이에 중국이 반발해 일본 도항 자제 요청을 내는 맞대응 수단으로까지 나서고 있다.
수상의 답변을 「철회할 필요는 없다 / 철회해야 한다」라는 평가에 머무르지 않고, 원래 어떤 조건이 「존립 위기 사태」에 해당하는지, 또 미국을 시작으로 일본도 오랜 세월 대만 해협을 둘러싸고 「애매한 전략」을 채용해 왔는데도, 왜 이번에 굳이 구체적인 예를 든 것인지, 그 필요성이나 적절성이 추궁당하고 있는 것은 확실하다. 구체적인 사례를 제시하면서 오히려 억지의 폭이 좁아져 전략적 유연성을 약화시킨 것 아니냐는 우려도 나온다.
■ 이데올로기 선행으로 오류도 많은 활발한 논의
이와 같이, 실제로는 「대만 문제」(영어의 Taiwan Issue에 상당하며, 「대만의 지위·주권·국제적 취급을 둘러싼 종합적인 문제」를 가리킨다)를 둘러싼 논의가 보수·리버럴 쌍방에서 활발해지고 있다. 단지, 논의의 활발화와는 별도로 이 테마를 논의하기 위한 전제나 기본을 근거로 하여 논의가 이루어지고 있는지도 중요하다.
의미 있는 논의를 심화시키기 위해서는 중국과 대만과의 사이에 어떠한 역사적인 배경이 있으며, 쌍방이 그것을 어떻게 이해·주장하고 있는지, 또 일본이나 미국이 말하는 「종전의 견해」와 그 논거가 되고 있는 조약이나 성명 등을 공유해 두어야 할 것이다. 이 논의를 실시하는데 있어서 일본 사회에는 무엇이 요구되고 있는지 지적해 두고 싶다.
덧붙여 「대만 문제」라고 쓰면, 마치 대만측에만 문제가 존재하는 듯한 인상을 줄 수 있다. 그러므로 앞서 언급한 바와 같이 '대만 문제'라고 표기하려면 위와 같은 설명을 곁들이거나 그것을 이해해 두는 것이 바람직하다.
그런데 당연히 전쟁은 일어나서는 안 된다. 그러나 유감스럽게도 현재의 중국은 대만에 대한 무력행사 가능성을 포기하지 않고 있다. 그 속에서 약 2300만 명의 대만 사람들은 자신이 획득한 자유와 민주주의와 인권을 지키기 위해 대비하지 않을 수 없는 상황에 처해 있다.
이 문제를 논의하면서 우선 버려야 할 것은 보수와 리버럴의 상호 혐오가 앞서고 상대를 괴롭히기 위한 감정적 응수나 특정 이데올로기에 따른 정보만을 들먹이며 불편한 사실을 보려고도 하지 않고 오류를 확산시키는 태도다. 이것은 중국, 대만, 그리고 일본이나 미국을 포함해서 어디에도 이익이 되지 않는다.
이러한 문제는 익명의 SNS상의 논의에 한정되지 않는다. 대만 관련 정보를 정확하게 파악하는 것은 오랜 기간 그 분야를 연구해 온 지역 연구자들조차도 촉각을 곤두세우는 작업이다. 논의를 활발히 하는 것 자체는 중국 대만 일본 어디에서도 중요하다. 단지, 유감스럽게도 현재의 일본에서는, 자신에게 편리한 대만 현지발의 정보, 혹은 중국의 내러티브를 통째로한 정보 발신이 SNS상 뿐만이 아니라 대기업 미디어로부터조차 행해지고 있다.
예를 들면 대만의 주요 미디어가 어떤 스탠스로 보도하고 있는지, 그 배후에 있는 역사·인물·정치적 문맥을 이해하지 못한 채, 「자신의 주장에 따르고 있기 때문」이라고 하는 이유만으로 「이것이 대만 현지의 소리다」라고 믿고, 그대로 논의를 전개·확산하는 것은 위험하다. 또 중국 정부의 주장이 마치 사실인 것처럼 믿고 정보를 발신하는 것도 위험하다.
이들의 태도는 돌고돌아 연구자나 보도 등이 자신의 본업에 대한 신빙성까지 훼손할 수 있어 충분히 신중해야 한다. 실제로 11월 11일자 도쿄신문 사설에서도 이번 다카이치 총리의 발언에 대해 논의하는 과정에서 논거를 다루는 방식에 중대한 문제가 있어 잘못된 언설이 확산될 수 있는 위험성을 보여줬다.
■ 도쿄신문도 잘못된 논거로 사설 게재
도쿄신문의 사설 '다카이치 총리와 대만 유사 존립 위기를 가볍게 말하지 말라'에서 무엇이 문제였는가. 그것은 중국이 거듭 주장해 온 언설을 그대로 의문 없이 받아들여 이 문제의 근본적인 전제를 재확인하지 않은 채 잘못된 논거로 일을 단정하고 있다는 점에 있다.
사설은 다카이치 총리에게 말을 골라야 한다고 답변의 문제를 지적했다. 그 취지에는 필자도 동의하지만, 사설 내에서 언급되고 있던 대만 문제에 관한 논의에는 문제도 있다.
예를 들면, 「일본은 1972년의 일중 공동 성명에서, 대만을 중국의 일부로 하는 중국의 입장을 「충분히 이해하고 존중」한다고 명기해, 대만을 국가로 인정하고 있지 않다」라고 하는 기술이 있다. 이 글은 1972년 중일 공동성명의 일부만을 잘라내고 거기서 직선적으로 대만을 국가로 인정하지 않는다고 단정하고 있다는 점에서 이 성명에 대한 독해력이 부족하다.
이 사설과 마찬가지로 일본에서는 대만은 중국의 내정 문제이므로 일본이 참견해서는 안 된다는 논의를 들고 나와 논의를 강제 종료시키려는 설도 있다. 그러나 이 역시 일본을 포함한 각국이 대만 문제를 놓고 아슬아슬한 선을 넘보며 전개해 온 애매모호한 전략을 스스로 물거품으로 돌리는 언설이다.
토요경제 온라인에 게재된 후쿠다 마도카(福田円) 호세이대 교수의 논고("미국 정부가 '대만 지위 미정론'을 표명. 「미정론」은 미국의 일관된 입장이지만, 지금 표명한 것은 중국의 주장에 대항하기 위해서」)에서도 지적되고 있듯이, 「최근의 중국 정부는, 샌프란시스코 체제 및 동체제와 보완적인 관계에 있던 미국이나 일본·유럽 등 구서방 제국과의 「하나의 중국」에 관한 부분적 합의에 언급하지 않고, 그에 대신해 카이로 선언, 포츠담 선언 및 유엔의 중국 대표권 교대를 결정한 유엔 총회 제2758호 결의를 강조하는 형태로 대만에 대한 주권을 주장하고 있다」.
이 문서들에서 실제로 무엇이 약속되어 왔는가. 중국이 피하려는 하나의 중국에 관한 부분적 합의란 무엇인가. 역사적 경위를 되새기면서 확인하고 싶다.
1945년 종전으로 일본의 대만 통치는 끝이 난다. 그 전에 1943년 카이로 선언에서는 미국의 루스벨트 대통령, 영국의 처칠 수상, 중화민국의 蔣개석 주석이 공동 성명을 내고, 「일본이 중국으로부터 빼앗은 영토(만주, 대만, 澎호 제도)는 중화민국에 반환되어야 한다」라고 했다. 이것은 전후 처리의 방침 표명이지, 조약은 아니다.
■ 일본은 대만 귀속처 밝히지 않았다
일본은 종전에 즈음하여 포츠담 선언(1945년)을 수락한다. 이는 일본의 항복 조건을 정한 문서로 연합국이 일본에 대해 "카이로 선언 조항은 이행된다" "일본의 주권 범위는 혼슈, 홋카이도, 규슈, 시코쿠 등 작은 섬들에 한정한다"고 명기했다. 그러나 대만의 지위에 관해서는 "장래의 평화 조약에 의해서 최종적으로 결정된다" 라고 되었다. 즉, 대만의 법적 지위는 일본과 연합국 간의 강화조약까지 보류된 것이다.
그리고 맺어진 것이 1951년 샌프란시스코 평화조약이었다. 이 조약에는 중화민국 정부와 중화인민공화국 정부 양측 모두 참석하지 않았다. 국민당과 공산당의 내전으로 중화민국 정부는 대만으로 철수했고, 중국 대륙에서는 중화인민공화국 정부가 수립돼 어느 쪽을 정통 중국 정부로 할지 연합국 내에서도 의견이 갈려 둘 다 초대받지 못했기 때문이다. 그렇기 때문에 샌프란시스코 평화조약은 일본 정부가 대만을 포기한다며 귀속처를 밝히지 않는 형태로 맺어졌다.
그 후 1952년 중화민국과 일본 간에 일화 평화 조약이 체결되었고, 이 조약에 따라 양국 간의 전쟁 상태는 정식으로 종결되고 양자 간의 외교 관계가 수립되었다. 단, 이 조약의 적용 범위는 중화민국의 실효 지배 지역(대만·팽호)에만 한정되었다. 그리고 중화민국 정부가 대만을 통치하는 실태는 인정하고 있지만, 대만의 귀속처는 명언되지 않았다.
1972년에는 위의 일본평화조약이 종료되어 일본과 중화인민공화국 간에 중일 공동성명이 나온다. 그 중 내정간섭 여부를 판단하는 데 중요한 것은 다음 두 가지다.
제2항 : "일본국 정부는 중화인민공화국 정부를 중국의 유일한 합법 정부로 승인한다."
제3항 : "중화인민공화국 정부는 대만이 중화인민공화국 영토의 불가분의 일부임을 거듭 표명한다. 일본 정부는 이 중화인민공화국 정부의 입장을 충분히 이해하고 존중하며 포츠담 선언 제8항에 근거한 입장을 견지한다
제2항의 "승인한다(recognize)"는 법적인 "정치승인"을 의미한다. 문제는 후자다. 중국은 '대만이 중화인민공화국 영토의 불가분의 일부임을 거듭 표명한다(reiterate: 반복적으로 말하고 강조한다)'고 한다. 그에 대해 일본은 「이 중화인민공화국의 입장을 충분히 이해하고 존중하며(fully understands and respects), 포츠담 선언 제8항에 근거한 입장을 견지한다」고 하고 있다. 덧붙여서 여기서 말하는 「포츠담 선언 제8항」이란 상기에도 제시한 「카이로 선언의 조항은 이행된다」「일본의 주권의 범위는 혼슈, 홋카이도, 큐슈, 시코쿠와 작은 섬들에 한정한다」라고 하는 부분이다.
여기서 객관적으로 읽을 수 있는 것은 '대만이 중화인민공화국 영토의 불가분의 일부'라는 것은 어디까지나 중국 측의 주장이지, 일본은 그것을 '승인(recognize)'하고 있는 것은 아니라는 것이다. 일본은 중국이 그와 같이 표명하고 있는 사정을 충분히 이해하고 그 의견을 존중한다고 함으로써 상대방의 체면에는 일정한 배려를 보이면서도 찬동은 하지 않는다, 그러나 논의의 여지는 남긴다라는 외교의 묘미를 갖게 하고 있다.
일본 외무성의 사이트에는 이 일중 공동성명의 영문판이 보충적으로 게재되어 있는데, 그것을 보면 일본측의 뉘앙스가 보다 명확해진다. 'respect'는 일본어로 번역되어 긍정적인 찬동의 의미로 오해되기 쉽지만, 실제로는 agree(합의, 찬동)나 support(지지)보다 약한 표현이며, '부정하지는 않지만, 찬동하지도 않는다', '상대의 입장을 근거로 하고 있지만 거리를 둔다'는 뉘앙스를 포함한다.
■ 일중영 각각의 언어에서도 어긋남이 없다
중국어의 뉘앙스는 어떤가. 중일공동성명에서의 일본어의 '승인하다' 부분은 중국어로는 '승인'이 되며, 이는 일본어의 '승인'과 거의 같은 의미로 문제가 없다. 한편으로 「거듭 표명하다」에 대응하는 것은 「중신」이며, 이것은 문자 그대로 「반복해 강조하다(reiterate)」라는 의미를 가지며, 외교 문맥에서는 강조도가 강한 말로서 이용된다.
또, 「충분히 이해하고, 존중하고」의 부분은 중국어로 「충분히 이해화 존중」이라고 표현되지만, 이것도 일본어와 거의 같은 뉘앙스로 "상대의 입장을 부정하지는 않지만, 동의도 승인도 하고 있지 않다"라고 하는 중립적인 거리감을 포함하고 있다. 중일 간에 이 성명문의 해석을 둘러싸고 큰 차이가 발생할 여지는 없으며, 일본어·영어·중국어 모두에서 정합적이라고 말할 수 있다.
참고로 미국의 사례도 보고 싶다. 미국과 중화인민공화국은 수교와 관련된 3개의 코뮈니케를 발표하였는데, 특히 중요한 것은 1978년에 발표되어 1979년에 발효된 '미합중국과 중화인민공화국 사이의 외교관계 수립에 관한 코뮈니케'이다. 여기서도 중요한 포인트는 두 가지다.
미국은 "중화인민공화국 정부가 중국의 유일한 합법 정부임을 승인한다."
The United States of America recognizes the Government of the People’s Republic of China as the sole legal Government of China.
중국은 단 하나이고 대만은 중국의 일부라는 중국의 입장을 애크놀리지(acknowledge)했다
The Government of the United States of America acknowledges the Chinese position that there is but one China and Taiwan is part of China.
첫 번째는 일본의 경우와 유사하며, 「recognize」는 법적인 정부 승인을 의미한다. 문제는 두 번째 '애크놀리지(acknowledge)'이다. 일본어로는 관습적으로 '인식한다'고 번역되지만, 그 뉘앙스는 support(지지한다)나 recognize(승인한다)보다 약하고, '중국이 그런 주장을 하고 있다는 것을 알고 있다'는 거리를 둔 표현에 가깝다.
여기서 굳이 '인식하다'라고 쓰지 않고 '애크놀리지'라고 원어를 나타낸 데는 이유가 있다. 일본 외무성 사이트에서도 이 부분은 단순히 '인식하다'로 번역되는 것이 아니라 영어 원문의 'acknowledge'를 그대로 보여주는 형태로 소개되고 있다. 단순히 인식한다고만 적어버리면 본래의 미묘한 뉘앙스인 지지도 승인도 하지 않았지만 그 입장을 파악하고 있다는 거리감이 전달되기 어렵기 때문일 것이다.
여기서 다시 먼저 문제가 있다고 지적한 도쿄신문의 논의로 돌아가보자.
"일본은 1972년 중일공동성명에서 대만을 중국의 일부로 하는 중국의 입장을 '충분히 이해하고 존중한다'고 명기하고 대만을 국가로 인정하지 않는다"고 주장할 경우 만약 "일본 정부는 중화인민공화국 정부를 중국의 유일한 합법정부로 승인한다"는 부분을 근거로 "대만을 국가로 인정하지 않는다"고 결론 내린다면 이 역시 성명 전체를 제대로 읽고 판단하지 않는다는 의미에서 문제가 있지만 아직 논란의 여지는 있을지 모른다.
그러나, 「충분히 이해하고 존중한다」의 일문을 근거로 「대만을 국가로서 인정하고 있지 않다」라고까지 단언하는 것은, 논거로서는 상당히 설득력이 없다. 이미 지적한 것처럼 일본은 대만의 귀속처를 명시하지 않는 형태로 전후 처리를 진행해, 일중 공동 성명에서도 그것을 근거로 하고 있기 때문이며, 대만이 국가인지의 지위 문제에 대해 언급하고 있지 않기 때문이다.
■ 이데올로기에 따른 언설 확산 위기감
이번 다카이치 총리의 발언은 기존 일본 정부의 입장을 바꾼 것은 아니지만 애매모호한 전략에서 한 발짝 더 나아간 것이어서 지금 이 시점에서 구체적인 예를 제시할 필요가 있었는지는 의문이 남는다. 그렇기 때문에 그녀 자신, 바로 「향후는 특정의 케이스를 상정한 것을 국회에서 명언하는 것은 삼가한다」라고 발언을 수정했다. 미국에도 같은 「지나친 발언」의 사례가 있어, 후에 「종래의 견해와 다르지 않다」라고 진화를 도모하고 있다. 그러한 전례를 생각하면, 타카이치씨의 신속한 수정은 타당한 판단이었다고 말할 수 있다.
이번에 내가 특히 유감스럽게 생각한 것은 일부 좌파·자유주의 언론이 일본 정부 자신의 입장을 감안하지 않고, 중국 정부의 주장을 거의 검증도 하지 않고 받아들여 대만의 가뜩이나 좁은 「국제적인 공간」을 더욱 좁혀 버리는 것을 돕고 있다는 것이다. 일본 외교관들이 신경을 곤두세우며 다듬어온 문구를 엉성하게 읽고, 게다가 자신의 이데올로기에 따른 언설이 확산되고 있는 것에 위기감을 느낀다.
대만은 2300만 명의 살아있는 인간이 사는 곳이다. 대만인들은 자신들이 획득한 자유와 민주주의와 인권을 지키기 위해 중국의 무력 위협에 대비하지 않을 수 없는 상황에 처해 있다. 리버럴이 내세우는 보편적 가치란 무엇인가. 다시 한번 냉정하게 멈춰 서서 대만, 중국에 대한 제대로 된 지식을 바탕으로 이 논의를 진행시켜 나가기를 강력히 기대한다.
마에하라 시호(前原 志保) 큐슈대학 준교수
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