|
毎日新聞 2023/8/29 12:30(最終更新 8/29 12:39) 744文字
浜松市
静岡県浜松市は28日、航空自衛隊浜松基地から基地内の有機フッ素化合物(PFAS)の調査を実施すると回答があったことを明らかにした。市が調査を要請していた。PFASは有害性が指摘されている。【山田英之】
市が公開した回答書は浜松基地司令の名前で8月25日付。PFASのうち発がん性が指摘されるPFOSを含めた基地内の調査を、市と調査方法や実施時期を調整したうえで実施する。基地内専用の水道用井戸は速やかに水質検査をする方針。
また、PFOSなどが含まれる泡消火剤について、2010年4月以降、浜松基地で訓練や火災での使用はないと回答した。10年以前の使用は引き続き確認を進め、判明次第、伝えるとしている。
市は市内を流れる河川で実施したPFASの調査結果を今月2日に公表した。浜松基地近くの北部承水路で暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)の5・6倍の280ナノグラム、北部承水路の支流で28倍の1400ナノグラムを検出した。
市によると、暫定指針値は体重50キロの人が毎日2リットルの水を一生涯にわたって体内に取り込んでも有害な影響がないと考えられる値。環境省が定めた。
浜松基地の回答を受けて、中野祐介市長は健康被害について「現時点で、どの程度の量が体内に入るとどういう健康被害が出るか確定的な知見がない。環境省が出すさまざまな知見を注視したい」と語った。現時点で住民らの血液検査をする考えはないという。
環境省が21年度に実施した調査によると、13都府県の河川や地下水など81地点で暫定指針値を超えた。東京都内では井戸水と住民の血液から高い濃度で検出された。沖縄県は環境省の調査対象に入っていないが20年に米軍普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が流出する事故が起きている。