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毎日新聞 2023/8/31 14:30(最終更新 8/31 14:30) 801文字
「RoboCup2023」準優勝報告会で競技のデモンストレーションをするチームのロボット=北九州市若松区で2023年7月26日午後2時47分、山下智恵撮影
世界の学術機関がロボット技術を競う「RoboCup2023」の一部門で、九州工業大院(北九州市)と北九州市立大(同)の29人でつくる混合チーム「Hibikino―Musashi@Home」が準優勝し、若松区の北九州学術研究都市で結果報告会と競技のデモンストレーションがあった。【山下智恵】
同カップは26年目。今年は7月6~9日にフランスで開催された。世界45カ国から2600人が参加。混合チームが参加したのは学術研究機関を対象にしたメジャー大会で、人と協力して働くロボット開発に関する技術を競う「@Home」部門。
11チームが参加し、全チームが性能の同じロボットを使用。ロボットを動かすソフトウエアの性能に関して「人を部屋へ案内する」「客に商品を届ける」など九つの課題を競った。東大やオックスフォード大、テキサス大など有名大のチームがひしめくなかで準優勝の成績を収めた。
デモンストレーションでは客に商品を届ける競技を再現した。椅子に座った人のなかから手を振る人の位置を認識。注文内容を音声認識し、品物を取り、再度届けることを実演した。手を振っても認識されない人などトラブルもあったが、一連動作に観客からは歓声が上がった。
今大会で、初めて対話型生成人工知能(AI)「チャットGPT」に代表される大規模言語モデルを活用。これまではプログラムを書くことで命令していたが、今回は通常の言葉で命令してロボットを動かした。一方、「レモンの後ろにある物を持ってきて」という言葉で命令すると、「後ろ」の概念をコンピューターが理解しない課題も見つかった。
混合チームのリーダー九工大院修士1年の磯本航世さん(22)は「今年は大規模言語モデルについて大学、企業、さまざまな機関が可能性に気付いた。研究開発として利用するだけでなく一歩先の活用方法を研究し、ロボットが社会に適応する環境を追及していきたい」と話した。