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毎日新聞 2023/9/13 12:49(最終更新 9/13 12:49) 610文字
地震を再現する世界最大級の装置。中央の黒い板が岩石=茨城県つくば市の防災科学技術研究所で2023年9月12日午後3時4分、信田真由美撮影
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は12日、地震を再現する世界最大規模の装置を使った実験を報道陣に公開した。二つの巨大な岩石を滑らせて地震のような滑りを起こし、メカニズムの解明を目指す。
装置は長さ7・5メートルと6メートルの二つの岩石(幅50センチ、高さ75センチ)を重ねて最大1200トンの圧力をかけ、下の岩石を最大1メートル滑らせることができる。「世界で公表されている試験機の中では一番大きい」と山下太主任研究員は話す。
地震を再現する世界最大級の装置。中央の黒い板が岩石=茨城県つくば市の防災科学技術研究所で2023年9月12日午後3時2分、信田真由美撮影
公開された実験では、圧力を300トンにして下の岩石を約10分かけて1センチ動かした。目に見えるほどの動きはなかったが、「ドン……、ドン……、ドン……」という音が続いた。岩石の間にたまった「ひずみ」が解消されて滑った時に生じる小さな地震の音だという。地震計で測定できる程度の小さな地震が100回程度観測された。
防災科研では、直径4センチ、長さ1・5メートルと段階的に岩石を大きくした装置を開発し、地震の再現を試みてきた。今回の装置で実験データが得られれば、マグニチュード(M)6~7程度の大きな地震の滑りやすさを推定できるようになるという。小さい岩石ではできなかった、岩石を部分ごとに滑らせることも可能になり、南海トラフ巨大地震のような「連動」の仕組みの解明にもつながるという。
山下さんは「地震を再現して地震発生のメカニズムを解明し、地震発生の予測につなげたい」と話した。【信田真由美】