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毎日新聞 2023/11/2 14:35(最終更新 11/2 14:36) 702文字
工事が休止する新宮市の仮称2号トンネル=和歌山県提供
和歌山県は1日、国道168号の道路改築工事に伴う新宮市相賀―高田間の「仮称2号トンネル」(長さ約2・7キロ、片側1車線)の工事で、掘削した土から継続的に基準値以上のフッ素やヒ素が検出されたことから、トンネル事業を休止すると発表した。継続すると残土処分費などで約200億円が増え、工事費が当初の約4倍の270億円に膨らむという。県は工事打ち切りを受注業者と協議しており、処理コスト縮減の対策後に工事契約を再発注する方針。【加藤敦久】
工事は3社の共同企業体(JV)が受注。落石などの懸念がある国道168号の代替道路として2021年度から工事を進めてきた。トンネルの掘削を高田側から開始し、26年2月までの工期だったが、全区間の1割程度を掘削した時点で中止を決めた。
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土壌汚染対策法では1リットルあたりの溶出量がフッ素が0・8ミリグラム、ヒ素が0・01ミリグラムまでとしているのに対し、フッ素が最大3・1ミリグラム、ヒ素が0・05ミリグラム検出された。土砂は御坊市内の管理型処分場に搬出してきたが、ヒ素などが検出され続け、工事契約自体を再発注する方針に転換。県道路建設課によると、すぐに人体に影響を及ぼす量ではないという。
今後、対策が講じられる見通しが立った後に、入札をし直すことなどを想定しているという。元々供用開始時期は未定だったが、今回の休止でその期間分だけ遅れることになる。
近くの仮称1号トンネル(長さ約980メートル)の工事でもヒ素などが検出されたが、工事費を大幅に増額して貫通している。2号トンネルでも着工前のボーリング調査でヒ素などが検出されていたが、想定以上に連続して検出されたという。